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平均賃金はどう計算するのか──労働基準法12条の「三箇月間」を条文で確かめた

平均賃金はどう計算するのか──労働基準法12条の「三箇月間」を条文で確かめた
平均賃金はどう計算するのか──労働基準法12条の「三箇月間」を条文で確かめた

解雇予告手当や休業手当の説明で出てくる平均賃金は、どうやって計算するのか迷ったことはありませんか。

月給をそのまま30で割るのか、働いた日で割るのか、ボーナスは入るのか──人によって言うことが違うところです。

この記事は、平均賃金の計算式と、それを使う条文を、労働基準法と施行規則の言葉だけで確かめます。

結論は次の1行です。

条文の式は三箇月間の総額÷総日数で、これに最低保障の線が付いています。

条文の確認日は2026年10月17日です。

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平均賃金の計算式=労働基準法12条1項の「三箇月間」の総額を「総日数」で割る

平均賃金の定義は、労働基準法第十二条第一項の最初の一文にあります。

「この法律で平均賃金とは」と始まるので、労働基準法の中で平均賃金という語が出てきたら、すべてこの定義に戻る形です。

この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。

(労働基準法 第十二条第一項)

割られる側は三箇月間に支払われた賃金の総額、割る側はその期間の総日数です。

割る側が「労働した日数」ではなく「総日数」になっている点が、この定義の骨格になります。

式の部品条文の言葉根拠
いつの時点か算定すべき事由の発生した日第十二条第一項
どの期間かその日以前三箇月間第十二条第一項
割られる側その労働者に対し支払われた賃金の総額第十二条第一項
割る側その期間の総日数第十二条第一項
期間の数え始め直前の賃金締切日から起算第十二条第二項

「算定すべき事由」とは、解雇の予告、休業、業務上の負傷など、平均賃金を使う条文の出来事のことです。

どの出来事で平均賃金を使うかは、第二十条・第二十六条・第三十九条・第七十六条・第九十一条などに分かれて置かれています。

平均賃金の最低保障=12条1項ただし書と1号・2号の「百分の六十」

総日数で割る式だけだと、働いた日が少ない人は額がとても小さくなります。

そこで第一項には、下回ってはならない線を置くただし書が続いています。

ただし、その金額は、次の各号の一によつて計算した金額を下つてはならない。

(労働基準法 第十二条第一項)

賃金が、労働した日若しくは時間によつて算定され、又は出来高払制その他の請負制によつて定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の百分の六十

(労働基準法 第十二条第一項第一号)

日給・時給・出来高払制などの人は、働いた日数で割った額の6割が下限になります。

第二号は、月給などの部分と日給などの部分が混ざっている場合の線です。

賃金の一部が、月、週その他一定の期間によつて定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と前号の金額の合算額

(労働基準法 第十二条第一項第二号)

月や週で決まっている部分は総日数で割り、日や時間で決まっている部分は第一号の式で出して、2つを足す形です。

賃金の決め方下回ってはならない額根拠
日・時間・出来高払制その他の請負制賃金の総額÷その期間中に労働した日数×百分の六十第十二条第一項第一号
一部が月・週その他一定の期間で決まるその部分の総額÷その期間の総日数+第一号の金額第十二条第一項第二号
すべてが月・週などで決まるただし書の各号に当たらない(本文の式だけ)第十二条第一項本文

本文の式で出した額と、各号の式で出した額を比べて、低いほうに落ちないようにするのがただし書の働きです。

平均賃金の「三箇月間」はどこから数えるか=12条2項の「直前の賃金締切日」

三箇月間の数え始めは、第二項が決めています。

前項の期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。

(労働基準法 第十二条第二項)

給料に締め日がある会社では、出来事の日ではなく直前の締め日から三箇月間をさかのぼります。

締め日がない場合は、第一項の「算定すべき事由の発生した日以前三箇月間」がそのまま当てはまります。

賃金締切日三箇月間の起点根拠
ある直前の賃金締切日から起算第十二条第二項
ない算定すべき事由の発生した日以前三箇月間第十二条第一項
雇入後三箇月に満たない雇入後の期間第十二条第六項

「賃金の締切り」は第八十九条第二号が就業規則に定める事項に挙げているので、まず就業規則で締め日を確かめるのが近道です。

平均賃金から除く期間=12条3項の5つの号

三箇月間の中に、休んでいた期間などが入っていることがあります。

第三項は、そうした期間の日数と賃金を、期間と総額の両方から差し引くよう定めています。

前二項に規定する期間中に、次の各号のいずれかに該当する期間がある場合においては、その日数及びその期間中の賃金は、前二項の期間及び賃金の総額から控除する。

(労働基準法 第十二条第三項)

業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間

(労働基準法 第十二条第三項第一号)

産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業した期間

(労働基準法 第十二条第三項第二号)

使用者の責めに帰すべき事由によつて休業した期間

(労働基準法 第十二条第三項第三号)

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第二条第一号に規定する育児休業又は同条第二号に規定する介護休業(同法第六十一条第三項に規定する行政執行法人介護休業及び同法第六十一条の二第三項に規定する介護をするための休業を含む。第三十九条第十項において同じ。)をした期間

(労働基準法 第十二条第三項第四号)

試みの使用期間

(労働基準法 第十二条第三項第五号)

差し引くのは日数と賃金の両方なので、休んだ期間の分だけ平均賃金が下がることを防ぐ形になっています。

除く期間根拠
業務上の負傷・疾病の療養のために休業した期間第十二条第三項第一号
産前産後の女性が第六十五条によって休業した期間第十二条第三項第二号
使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間第十二条第三項第三号
育児休業・介護休業をした期間第十二条第三項第四号
試みの使用期間第十二条第三項第五号

私傷病で休んだ期間や、本人の都合で休んだ期間は、この5つの号に入っていません。

除く期間は、この列挙に当たるものだけになります。

産前産後の休業そのものの長さは、産前産後休業は何週間取れるのかを労働基準法65条で確かめた記事で確かめています。↓

平均賃金の「賃金の総額」に入れない賃金=12条4項の3つ

期間の次は、割られる側の「賃金の総額」に何を入れないかです。

第一項の賃金の総額には、臨時に支払われた賃金及び三箇月を超える期間ごとに支払われる賃金並びに通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないものは算入しない。

(労働基準法 第十二条第四項)

入れないのは臨時の賃金・三箇月を超える期間ごとの賃金・一定の範囲に属しない現物の3つです。

賞与のように三箇月を超える期間ごとに支払われる賃金は、この項で総額から外れます。

賃金の総額に算入しないもの根拠
臨時に支払われた賃金第十二条第四項
三箇月を超える期間ごとに支払われる賃金第十二条第四項
通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの第十二条第四項

逆に、通勤手当や家族手当のように毎月払われている手当は、第四項の列挙に入っていません。

割増賃金の基礎から外す第三十七条第五項とは、列挙の中身が別物です。

通貨以外のもののうち総額に入れる範囲は、第五項が省令に任せています。

賃金が通貨以外のもので支払われる場合、第一項の賃金の総額に算入すべきものの範囲及び評価に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

(労働基準法 第十二条第五項)

労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号。以下「法」という。)第十二条第五項の規定により、賃金の総額に算入すべきものは、法第二十四条第一項ただし書の規定による法令又は労働協約の別段の定めに基づいて支払われる通貨以外のものとする。

(労働基準法施行規則 第二条第一項)

施行規則第二条第一項は、第二十四条第一項ただし書の法令又は労働協約の別段の定めに基づいて支払われる通貨以外のものを、総額に入れる側に置いています。

通貨払の原則とそのただし書は、賃金支払の5原則を労働基準法24条で確かめた記事で並べています。↓

平均賃金と試みの使用期間=施行規則3条が12条3項の例外を置いている

第十二条第三項第五号は、試みの使用期間を除く期間に入れていました。

ところが、試みの使用期間の最中に出来事が起きると、その期間を除けば計算に使える日がほとんど残らなくなります。

試の使用期間中に平均賃金を算定すべき事由が発生した場合においては、法第十二条第三項の規定にかかわらず、その期間中の日数及びその期間中の賃金は、同条第一項及び第二項の期間並びに賃金の総額に算入する。

(労働基準法施行規則 第三条)

試用期間中に出来事が起きた場合は、その期間の日数と賃金を算入する側に切り替わります。

施行規則第三条は「法第十二条第三項の規定にかかわらず」と始まるので、第五号の控除を外す例外として読む形です。

場面試みの使用期間の扱い根拠
試用期間が終わった後に出来事が起きた日数と賃金を控除する第十二条第三項第五号
試用期間の最中に出来事が起きた日数と賃金を算入する施行規則第三条

試用期間中の解雇の線は、試用期間の解雇はどこまで自由かを労働契約法16条と労働基準法21条で確かめた記事で確かめています。↓

平均賃金が通常の式で出せない場合=12条6項・7項・8項と施行規則4条

入社したばかりの人や、日々雇われる人は、三箇月間の実績がそろいません。

第十二条の後半は、そうした場合の扱いを順に置いています。

雇入後三箇月に満たない者については、第一項の期間は、雇入後の期間とする。

(労働基準法 第十二条第六項)

雇入後三箇月に満たない人は、雇入後の期間で同じ式を使います。

日日雇い入れられる者については、その従事する事業又は職業について、厚生労働大臣の定める金額を平均賃金とする。

(労働基準法 第十二条第七項)

日日雇い入れられる者は、厚生労働大臣の定める金額が平均賃金になります。

第一項乃至第六項によつて算定し得ない場合の平均賃金は、厚生労働大臣の定めるところによる。

(労働基準法 第十二条第八項)

第一項から第六項までで算定できない場合も、厚生労働大臣の定めによります。

施行規則第四条は、そのうち2つの場面を都道府県労働局長に任せています。

法第十二条第三項第一号から第四号までの期間が平均賃金を算定すべき事由の発生した日以前三箇月以上にわたる場合又は雇入れの日に平均賃金を算定すべき事由の発生した場合の平均賃金は、都道府県労働局長の定めるところによる。

(労働基準法施行規則 第四条)

除く期間が三箇月以上にわたる場合と、雇入れの日に出来事が起きた場合は、都道府県労働局長の定めによります。

場面平均賃金の決まり方根拠
雇入後三箇月に満たない雇入後の期間で第一項の式第十二条第六項
日日雇い入れられる者厚生労働大臣の定める金額第十二条第七項
第三項第一号〜第四号の期間が三箇月以上にわたる都道府県労働局長の定めるところ施行規則第四条
雇入れの日に事由が発生都道府県労働局長の定めるところ施行規則第四条
第一項〜第六項で算定し得ない厚生労働大臣の定めるところ第十二条第八項

平均賃金を使う条文①解雇予告手当=第20条の「三十日分以上の平均賃金」

平均賃金がいちばん身近に出てくるのは、解雇の予告です。

使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。

三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。

(労働基準法 第二十条第一項)

予告なしの解雇なら、三十日分以上の平均賃金が支払う額の線になります。

第二項は、予告の日数と平均賃金の日数を組み合わせられる形にしています。

前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。

(労働基準法 第二十条第二項)

予告から解雇の日までが三十日に足りない場合は、足りない日数の分だけ平均賃金を支払えばよいという並びです。

予告手当の対象にならない人や支払いの時期は、解雇予告手当はいくらかを労働基準法20条・21条・12条で確かめた記事で確かめています。↓

平均賃金を使う条文②休業手当=第26条の「百分の六十以上」

会社の都合で休みになった日の手当も、平均賃金を物差しにしています。

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

(労働基準法 第二十六条)

休業手当の線は平均賃金の百分の六十以上です。

第十二条第三項第三号が「使用者の責めに帰すべき事由によつて休業した期間」を除く期間にしているので、休業が続いても平均賃金そのものは下がらない組み立てになります。

休業手当と民法の線の関係は、休業手当はいくら払われるのかを労働基準法26条と民法536条2項で確かめた記事で整理しています。↓

平均賃金を使う条文③年次有給休暇の賃金=第39条9項の3つの選び方

有給休暇を取った日の賃金にも、平均賃金が選択肢として出てきます。

使用者は、第一項から第三項までの規定による有給休暇の期間又は第四項の規定による有給休暇の時間については、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、それぞれ、平均賃金若しくは所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金又はこれらの額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した額の賃金を支払わなければならない。

(労働基準法 第三十九条第九項)

就業規則などで、平均賃金か、所定労働時間労働した場合の通常の賃金かを選ぶ形です。

健康保険法(大正十一年法律第七十号)第四十条第一項に規定する標準報酬月額の三十分の一に相当する金額

(労働基準法 第三十九条第九項)

労使協定を結んだ場合は、標準報酬月額の三十分の一を使う道もあります。

有給休暇の日の賃金決め方根拠
平均賃金就業規則その他これに準ずるもの第三十九条第九項本文
所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金就業規則その他これに準ずるもの第三十九条第九項本文
標準報酬月額の三十分の一に相当する金額労使の書面による協定第三十九条第九項ただし書

有給休暇が何日もらえるかの側は、有給休暇の日数を労働基準法39条の「十労働日」と加算の表で確かめた記事で確かめています。↓

平均賃金を使う条文④災害補償=第76条から第82条の「日分」

業務上のけがや病気の補償も、平均賃金の何日分という形で並んでいます。

労働者が前条の規定による療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の百分の六十の休業補償を行わなければならない。

(労働基準法 第七十六条第一項)

労働者が業務上死亡した場合においては、使用者は、遺族に対して、平均賃金の千日分の遺族補償を行わなければならない。

(労働基準法 第七十九条)

労働者が業務上死亡した場合においては、使用者は、葬祭を行う者に対して、平均賃金の六十日分の葬祭料を支払わなければならない。

(労働基準法 第八十条)

第七十五条の規定によつて補償を受ける労働者が、療養開始後三年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合においては、使用者は、平均賃金の千二百日分の打切補償を行い、その後はこの法律の規定による補償を行わなくてもよい。

(労働基準法 第八十一条)

障害補償と分割補償は、日数を別表に任せています。

労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり、治つた場合において、その身体に障害が存するときは、使用者は、その障害の程度に応じて、平均賃金に別表第二に定める日数を乗じて得た金額の障害補償を行わなければならない。

(労働基準法 第七十七条)

使用者は、支払能力のあることを証明し、補償を受けるべき者の同意を得た場合においては、第七十七条又は第七十九条の規定による補償に替え、平均賃金に別表第三に定める日数を乗じて得た金額を、六年にわたり毎年補償することができる。

(労働基準法 第八十二条)

どの補償も、平均賃金に日数や率を掛ける組み立てです。

補償平均賃金との関係根拠
休業補償療養中、平均賃金の百分の六十第七十六条第一項
障害補償平均賃金×別表第二に定める日数第七十七条
遺族補償平均賃金の千日分第七十九条
葬祭料平均賃金の六十日分第八十条
打切補償療養開始後三年を経過しても治らない場合、平均賃金の千二百日分第八十一条
分割補償平均賃金×別表第三に定める日数を六年にわたり毎年第八十二条

休業補償には、同種の労働者の賃金水準が動いたときに額を改訂する第七十六条第二項も付いています。

平均賃金と労災保険の給付基礎日額=労働者災害補償保険法8条1項

労災保険の給付も、出発点は労働基準法の平均賃金です。

給付基礎日額は、労働基準法第十二条の平均賃金に相当する額とする。

(労働者災害補償保険法 第八条第一項)

労災保険の給付基礎日額は平均賃金に相当する額と定められています。

同じ項の後半は、平均賃金を算定すべき事由の発生した日を、事故が発生した日又は診断によって疾病の発生が確定した日と読み替えています。

労働基準法第十二条の平均賃金に相当する額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められるときは、前項の規定にかかわらず、厚生労働省令で定めるところによつて政府が算定する額を給付基礎日額とする。

(労働者災害補償保険法 第八条第二項)

平均賃金に相当する額が適当でないと認められるときは、省令で定めるところにより政府が算定する額になります。

労災保険の療養の側の給付は、労災保険の療養補償給付はどこまで出るのかを条文で確かめた記事で確かめています。↓

平均賃金と減給の制裁=第91条の「一日分の半額」

就業規則で減給の制裁を定めるときの上限も、平均賃金で切られています。

就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

(労働基準法 第九十一条)

1回の減給は平均賃金の一日分の半額までです。

そのうえで、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならないという2つ目の線が重なります。

減給の線条文の言葉根拠
1回の額平均賃金の一日分の半額を超えない第九十一条
総額一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えない第九十一条

平均賃金で決まる額を払わないとき=第114条の付加金と第119条・第120条

平均賃金を物差しにした支払いを怠ると、裁判所が付加金の支払いを命じられる条文があります。

裁判所は、第二十条、第二十六条若しくは第三十七条の規定に違反した使用者又は第三十九条第九項の規定による賃金を支払わなかつた使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。

(労働基準法 第百十四条)

解雇予告手当・休業手当・有給休暇の賃金は、未払金と同一額の付加金の対象に入っています。

ただし、この請求は、違反のあつた時から五年以内にしなければならない。

(労働基準法 第百十四条)

罰則の条にも、平均賃金を使う条が名前を連ねています。

第十九条、第二十条、

(労働基準法 第百十九条第一号)

第七十五条から第七十七条まで、第七十九条、第八十条

(労働基準法 第百十九条第一号)

第二十三条から第二十七条まで

(労働基準法 第百二十条第一号)

第九十一条

(労働基準法 第百二十条第一号)

平均賃金を使う条付加金(第百十四条)罰則の条
第二十条(解雇予告手当)対象第百十九条第一号
第二十六条(休業手当)対象第百二十条第一号
第三十九条第九項(有給休暇の賃金)対象第百十九条第一号(第三十九条)
第七十六条・第七十七条・第七十九条・第八十条(災害補償)列挙に無い第百十九条第一号
第九十一条(減給の制裁)列挙に無い第百二十条第一号

未払いの分をさかのぼって請求できる年数は、残業代の時効を労働基準法115条と附則143条3項で確かめた記事で確かめています。↓

平均賃金についてよくある質問

平均賃金はどう計算しますか?

労働基準法第十二条第一項は、算定すべき事由の発生した日以前三箇月間に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額と定めています。

賃金締切日がある場合は、第二項により直前の賃金締切日から起算します。

割る日数は働いた日数ですか?

第一項本文の割る側は「その期間の総日数」です。

「労働した日数」で割るのは、日給・時給・出来高払制などの最低保障を定めた第一号の式です。

日給や時給の人の平均賃金に下限はありますか?

第十二条第一項第一号が、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の百分の六十を下回ってはならないとしています。

ボーナスは平均賃金に入りますか?

第十二条第四項は、三箇月を超える期間ごとに支払われる賃金を賃金の総額に算入しないとしています。

臨時に支払われた賃金も同じ項で外れます。

育児休業や労災で休んだ期間はどうなりますか?

第十二条第三項が、業務上の負傷・疾病の療養のための休業、産前産後の休業、使用者の責めに帰すべき事由による休業、育児休業・介護休業、試みの使用期間を、期間と賃金の総額の両方から控除するとしています。

入社して3か月たっていない人の平均賃金はどうなりますか?

第十二条第六項は、雇入後三箇月に満たない者について、第一項の期間を雇入後の期間とするとしています。

雇入れの日に算定すべき事由が発生した場合は、施行規則第四条により都道府県労働局長の定めるところによります。

平均賃金はどんな場面で使われますか?

解雇予告手当(第二十条)、休業手当(第二十六条)、有給休暇の賃金(第三十九条第九項)、災害補償(第七十六条から第八十二条)、減給の制裁の上限(第九十一条)などです。

労災保険の給付基礎日額も、労働者災害補償保険法第八条第一項が平均賃金に相当する額としています。

減給の制裁は平均賃金のいくらまでですか?

第九十一条は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならないとしています。

平均賃金を条文で確かめた結果の一覧

条文で確かめたこと
  • 平均賃金=算定すべき事由の発生した日以前三箇月間の賃金の総額÷その期間の総日数(第十二条第一項)
  • 日給・時給・出来高払制などは、労働した日数で割った額の百分の六十が下限(第十二条第一項第一号・第二号)
  • 賃金締切日がある場合は直前の賃金締切日から起算(第十二条第二項)
  • 業務上の療養・産前産後・使用者の責めによる休業・育児介護休業・試みの使用期間は、日数と賃金の両方を控除(第十二条第三項)
  • 試用期間の最中に事由が発生した場合は、その期間を算入(施行規則第三条)
  • 臨時の賃金・三箇月を超える期間ごとの賃金・一定の範囲に属しない現物は総額に入れない(第十二条第四項)
  • 雇入後三箇月未満は雇入後の期間、日日雇い入れは厚生労働大臣の定める金額(第十二条第六項・第七項)
  • 使う条文=解雇予告手当(第二十条)・休業手当(第二十六条)・有給休暇の賃金(第三十九条第九項)・災害補償(第七十六条〜第八十二条)・減給の制裁(第九十一条)
  • 労災保険の給付基礎日額は平均賃金に相当する額(労働者災害補償保険法第八条第一項)

自分の平均賃金を確かめるときは、まず締め日と三箇月間の範囲を決め、次に除く期間と除く賃金を外してから割ってみてください。

日給や時給の部分がある人は、第一号の式で出した額とも比べるのが条文の順番です。

個別の事情への当てはめは、事業場を管轄する労働基準監督署か弁護士に相談する領域になります。


あわせて読みたい

三箇月間の賃金の総額を数え直す手がかりになる賃金台帳の記入事項は、賃金台帳に何を書くのかを労働基準法108条と施行規則54条で確かめた記事で確かめています。↓

第八十一条の打切補償を支払うと外れる解雇の制限は、解雇制限とは何かを労働基準法19条で確かめた記事にまとめています。↓


参考文献

この記事で使った一次資料

条文の確認日は2026年10月17日です。

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