
有給休暇の日数は、会社が決めるものではありません。
労働基準法の条文に、数字がそのまま書いてあります。
この記事は、その数字がどの条にどう書かれているのかだけを確かめます。
就業規則も、人事の説明も、体験談も使いません。
使うのは、e-Gov法令検索が配信している労働基準法と労働基準法施行規則の本文だけです。
先に結論を書きます。
出発点は六箇月で十労働日で、そこから継続勤務年数ごとに加算されます。
条文の確認日は2026年9月26日です。
有給休暇の日数の出発点=6か月と10労働日
最初に、いちばん短い条文を見ます。
第三十九条第一項です。
使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
この1文に、条件と日数の両方が入っています。
条件は六箇月間継続勤務と全労働日の八割以上出勤の2つです。
この2つを満たしたときに、十労働日が発生します。
| 条文の言葉 | 意味 |
|---|---|
| 雇入れの日から起算して六箇月間 | 入社日から数えて6か月 |
| 継続勤務 | 在籍が続いていること |
| 全労働日の八割以上出勤 | 働くはずだった日の8割以上に出たこと |
| 継続し、又は分割した十労働日 | まとめてでも、ばらばらでも10日 |
注意したいのは、条文が「十労働日」と書いていて「十日」とは書いていない点です。
数えるのは暦の日ではなく、労働日です。
また、主語は「使用者は」で、文末は「与えなければならない」になっています。
つまり、申請を待つ義務ではなく、与える義務という形になります。
- 起点は雇入れの日(第一項「雇入れの日から起算して六箇月間」)
- 第二項の「六箇月経過日」も同じ雇入れの日から計算する
- 試用期間を除くという例外は、条文に置かれていない
条文の数え方には、もう1つ細かい点があります。
第一項が置いている「六箇月間継続勤務し」の起点は、雇入れの日です。
試用期間中であっても、雇入れの日から数え始めます。
条文が試用期間を除く例外を置いていないためです。
第二項の「六箇月経過日」も、同じ雇入れの日から計算されます。
転職して間もない人にとっては、この起点がそのまま最初の発生日になります。
有給休暇の日数が毎年増える仕組み=継続勤務年数ごとの加算
2年目以降の日数は、第二項が決めています。
使用者は、一年六箇月以上継続勤務した労働者に対しては、雇入れの日から起算して六箇月を超えて継続勤務する日(以下「六箇月経過日」という。)から起算した継続勤務年数一年ごとに、前項の日数に、次の表の上欄に掲げる六箇月経過日から起算した継続勤務年数の区分に応じ同表の下欄に掲げる労働日を加算した有給休暇を与えなければならない。
条文が指している表の中身は、同じ第二項の末尾に置かれています。
加算される労働日は次のとおりです。
| 六箇月経過日から起算した継続勤務年数 | 加算される労働日 | 合計の日数 |
|---|---|---|
| (加算なし=第一項) | — | 10日 |
| 一年 | 一労働日 | 11日 |
| 二年 | 二労働日 | 12日 |
| 三年 | 四労働日 | 14日 |
| 四年 | 六労働日 | 16日 |
| 五年 | 八労働日 | 18日 |
| 六年以上 | 十労働日 | 20日 |
合計の列は、第一項の十労働日に条文の加算を足したものです。
条文にあるのは加算の側だけで、合計の数字は条文に出てきません。
上限は六年以上の20日で、そこから先は増えません。
ここも増え方が一定ではなく、三年目で一気に二労働日ぶん増えるのが特徴です。
なお第二項にはただし書きがあり、その1年の出勤が八割未満だった場合は、その次の1年は与えなくてよいと定めています。
勤続年数が進んでいても、出勤率の条件は毎年かかります。
週の所定労働日数が少ない人の有給休暇の日数=比例付与の表
パートタイムや週3日勤務の場合は、第三項が別の数え方を置いています。
条文そのものは日数を書かず、厚生労働省令に預けています。
次に掲げる労働者(一週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間以上の者を除く。)の有給休暇の日数については、前二項の規定にかかわらず、これらの規定による有給休暇の日数を基準とし、通常の労働者の一週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数(第一号において「通常の労働者の週所定労働日数」という。)と当該労働者の一週間の所定労働日数又は一週間当たりの平均所定労働日数との比率を考慮して厚生労働省令で定める日数とする。
預け先は、労働基準法施行規則第二十四条の三です。
そこに「三十時間」「五・二日」という数字が出てきます。
法第三十九条第三項の厚生労働省令で定める時間は、三十時間とする。
法第三十九条第三項の通常の労働者の一週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数は、五・二日とする。
つまり週の所定労働時間が30時間以上なら、比例付与ではなく通常の日数になります。
週4日勤務でも、1日の時間が長くて週30時間以上あるなら、出発点は同じ10日です。
30時間未満で、かつ週の所定労働日数が4日以下の場合に、同条第三項の表が使われます。
| 週所定労働日数 | 一年間の所定労働日数 | 6か月 | 1年6か月 | 2年6か月 | 3年6か月 | 4年6か月 | 5年6か月 | 6年6か月以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 四日 | 百六十九日から二百十六日まで | 七日 | 八日 | 九日 | 十日 | 十二日 | 十三日 | 十五日 |
| 三日 | 百二十一日から百六十八日まで | 五日 | 六日 | 六日 | 八日 | 九日 | 十日 | 十一日 |
| 二日 | 七十三日から百二十日まで | 三日 | 四日 | 四日 | 五日 | 六日 | 六日 | 七日 |
| 一日 | 四十八日から七十二日まで | 一日 | 二日 | 二日 | 二日 | 三日 | 三日 | 三日 |
この表は施行規則第二十四条の三第三項の本文にそのまま載っている数字です。
週1日勤務でも、6か月の時点で一日は発生します。
ゼロと書かれた欄は、表の中に1つもありません。
有給休暇の日数のうち会社が時季を指定する5日
2019年から加わったのが第七項です。
使用者は、第一項から第三項までの規定による有給休暇(これらの規定により使用者が与えなければならない有給休暇の日数が十労働日以上である労働者に係るものに限る。以下この項及び次項において同じ。)の日数のうち五日については、基準日(継続勤務した期間を六箇月経過日から一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日をいう。以下この項において同じ。)から一年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。
ここで注目したいのは、かっこ書きの条件です。
対象は十労働日以上の人だけと条文が限定しています。
比例付与で7日しかない人には、この義務はかかりません。
そして義務を負うのは労働者ではなく使用者です。
労働者が5日取らなければならない、という書き方はしていません。
さらに第八項が、二重取りを防ぐ形を置いています。
前項の規定にかかわらず、第五項又は第六項の規定により第一項から第三項までの規定による有給休暇を与えた場合においては、当該与えた有給休暇の日数(当該日数が五日を超える場合には、五日とする。)分については、時季を定めることにより与えることを要しない。
自分で請求して取った日数は、その5日から差し引かれます。
自分で5日以上取っていれば、会社の指定は不要という形です。
有給休暇の日数を時間で使える上限=5日分
時間単位で取る仕組みは、第四項にあります。
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めた場合において、第一号に掲げる労働者の範囲に属する労働者が有給休暇を時間を単位として請求したときは、前三項の規定による有給休暇の日数のうち第二号に掲げる日数については、これらの規定にかかわらず、当該協定で定めるところにより時間を単位として有給休暇を与えることができる。
条文が挙げている第二号は、次の書き方になっています。
二 時間を単位として与えることができることとされる有給休暇の日数(五日以内に限る。)
上限は「五日以内」で、かっこの中に入っています。
条件も2つあります。
- 事業場の過半数組合、または過半数代表者との書面による協定があること
- 協定で対象者の範囲と日数(五日以内)を定めていること
- 労働者が時間を単位として請求したこと
労使協定が無い事業場では、時間単位での取得はできません。
条文が「与えることができる」と書いているとおり、義務ではなく選択肢です。
有給休暇の日数を数えるときの出勤率8割の中身
八割という条件を見るときに、必ず問題になるのが休んだ日の扱いです。
第十項が、出勤とみなす期間を並べています。
労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第二条第一号に規定する育児休業又は同条第二号に規定する介護休業をした期間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業した期間は、第一項及び第二項の規定の適用については、これを出勤したものとみなす。
条文がみなしているのは、次の4つです。
- 業務上の負傷・疾病の療養のために休業した期間
- 育児休業をした期間
- 介護休業をした期間
- 産前産後の女性が第六十五条によって休業した期間
私傷病の欠勤は、この4つに入りません。
条文が「業務上」と限定しているためです。
また、第十項が挙げているのは第一項と第二項への適用です。
比例付与の第三項は、この文言に入っていません。
有給休暇の日数が消えるまでの期間=2年
使わなかった日数がいつまで残るのかは、第三十九条には書かれていません。
時効の条文は第百十五条です。
この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から二年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。
この条文は、請求権を2つに分けています。
| 請求権の種類 | 条文の期間 |
|---|---|
| 賃金の請求権 | 五年間 |
| 災害補償その他の請求権(賃金を除く) | 二年間 |
有給休暇を取る権利は賃金の請求権ではありません。
そのため後ろの「二年間」のほうに入ります。
発生した年に使わなかった日数は、翌年に繰り越されて、そこで消えます。
2年分より多くは積み上がらない、というのが条文からの読み方です。
有給休暇の日数の間に払われる賃金の3つの決め方
休んだ日にいくら払われるかは、第九項が決めています。
使用者は、第一項から第三項までの規定による有給休暇の期間又は第四項の規定による有給休暇の時間については、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、それぞれ、平均賃金若しくは所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金又はこれらの額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した額の賃金を支払わなければならない。
条文が並べている選択肢は3つです。
| 条文の言葉 | 中身 |
|---|---|
| 平均賃金 | 直前3か月の賃金総額をもとに計算した額 |
| 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金 | いつもどおり働いたときの賃金 |
| 標準報酬月額の三十分の一に相当する金額 | 労使協定を結んだ場合に限って選べる額 |
3つ目は、同じ第九項のただし書きに置かれています。
ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、その期間又はその時間について、それぞれ、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第四十条第一項に規定する標準報酬月額の三十分の一に相当する金額(その金額に、五円未満の端数があるときは、これを切り捨て、五円以上十円未満の端数があるときは、これを十円に切り上げるものとする。)又は当該金額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した金額を支払う旨を定めたときは、これによらなければならない。
どれを使うかは「就業規則その他これに準ずるもので定める」と条文が指定しています。
- 第一項から第三項までの有給休暇の「期間」
- 第四項の時間単位で取った有給休暇の「時間」
- 端数は五円未満を切り捨て、五円以上十円未満を十円に切り上げ
端数の処理まで条文に書き込まれているのが、この項の特徴です。
金額の計算の細部まで法律の側で決めているのは、めずらしい書き方といえます。
どの項で発生した日数でも、賃金の決め方は共通です。
その都度、会社が選び直せる形にはなっていません。
有給休暇の日数を会社がずらせる場面=時季変更権
いつ取るかを決めるのは誰かは、第五項にあります。
使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。
ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。
この1文は、原則とただし書きの2つに分かれます。
原則は、労働者の請求する時季に与えなければならない、です。
会社の承認を条件にする書き方は、条文のどこにもありません。
| 部分 | 条文の言葉 | 効果 |
|---|---|---|
| 原則 | 労働者の請求する時季に与えなければならない | 取る日を決めるのは労働者 |
| ただし書き | 事業の正常な運営を妨げる場合 | 会社が他の時季に変えられる |
| 変えた先 | 他の時季にこれを与える | 与えないという選択肢はない |
ただし書きが会社に認めているのは、日をずらすことだけです。
与えない、という選択肢は条文にありません。
また、ずらせるのは「事業の正常な運営を妨げる場合」に限られます。
忙しいかどうかの基準は、条文に数字として出てこないのが実際です。
有給休暇の日数のうち労使協定で一括して割り当てられる部分
会社が全員の休む日をあらかじめ決める仕組みも、条文にあります。
第六項です。
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第一項から第三項までの規定による有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、これらの規定による有給休暇の日数のうち五日を超える部分については、前項の規定にかかわらず、その定めにより有給休暇を与えることができる。
ここで効いてくるのが、日数の線の引き方になります。
対象は「五日を超える部分」だけです。
10日ある人なら、会社が一括して割り当てられるのは5日ぶんが限度です。
- 10日ある人=5日を超える部分=5日まで
- 20日ある人=5日を超える部分=15日まで
- 比例付与で7日の人=5日を超える部分=2日まで
残る5日は、第五項の原則に戻ります。
つまり本人が請求した時季に与える必要があり、会社が勝手に埋めることはできません。
| 項 | 決めていること | 労使協定 |
|---|---|---|
| 第四項 | 時間単位で取れる日数(五日以内) | 必要 |
| 第五項 | 取る日を決めるのは労働者(原則) | 不要 |
| 第六項 | 五日を超える部分の一括割り当て | 必要 |
| 第七項 | 五日について会社が時季を指定する義務 | 不要 |
第六項も、第四項と同じく書面による労使協定が前提です。
協定が無ければ、この仕組みそのものが使えません。
なお、余った日数を会社に買い取ってもらえるかどうかは、この条文とは別の論点になります。
買取が認められる場面については、有給休暇の買取を条文で確かめた記事で整理しています。↓

退職するときにまとめて使う場合の扱いも、条文の読み方が変わります。
退職日までの消化については、退職の有給消化を条文で確かめた記事にまとめました。↓

有給休暇の日数について、条文から確かめられなかったこと
この記事で扱ったのは、条文と省令に書いてあることだけです。
読んでも出てこなかったものを並べます。
- 半日単位で取る仕組み(条文にあるのは時間単位だけ)
- 会社が時季変更権を使えるかどうかの具体的な線
- 繰り越した日数と新しい日数のどちらから先に消化するかの順番
- 退職時に残っている日数の買い取り価格
- 「全労働日」に何を含めるかの細かい数え方
以上は条文の本体に出てきません。
個別の事情に当てはめた判断は、労働基準監督署または弁護士の領域です。
有給休暇の日数についてよくある質問
- 入社して6か月たつ前に有給休暇の日数はもらえますか?
-
条文の上では発生しません。
第三十九条第一項が「六箇月間継続勤務し」と条件を置いているためです。
会社が独自に前倒しで与えることを禁じる条文はありません。
- 週3日のパートでも有給休暇の日数はありますか?
-
あります。
労働基準法施行規則第二十四条の三第三項の表で、週所定労働日数三日の人は6か月の時点で五日と定められています。
- 有給休暇の日数は最大で何日まで増えますか?
-
第三十九条第二項の表では、六年以上で十労働日の加算が上限です。
第一項の十労働日と合わせると20日になります。
繰り越し分を含めた合計の上限は、条文には書かれていません。
- 有給休暇の日数のうち5日は必ず取らないといけませんか?
-
条文が義務を負わせているのは使用者です。
第三十九条第七項は「使用者は」で始まり、「与えなければならない」で終わっています。
対象は与えられる日数が十労働日以上の人に限られます。
- 使わなかった有給休暇の日数はいつ消えますか?
-
第百十五条の二年間の時効が働きます。
有給休暇を取る権利は賃金の請求権ではないためです。
有給休暇の日数を条文で確かめた結果の一覧
条文だけで確かめられたことを並べます。
- 出発点は第三十九条第一項の「六箇月」「十労働日」
- 条件は継続勤務と、全労働日の八割以上の出勤の2つ
- 2年目以降は第二項の表で加算され、六年以上の加算十労働日が上限
- 週30時間未満で週4日以下の人は施行規則第二十四条の三第三項の表で決まる
- 第七項の5日の時季指定義務は、十労働日以上の人だけが対象
- 時間単位で取れるのは労使協定があるときの五日以内(第四項)
- 業務上の負傷・育児休業・介護休業・産前産後休業は出勤とみなす(第十項)
- 使わなかった日数は第百十五条の二年間で時効消滅する
- 休んだ日の賃金は平均賃金・通常の賃金・標準報酬月額の三十分の一の3つから就業規則で定める
条文を読むときの軸は、日数そのものよりどの項が自分に当たるかです。
週の所定労働時間が30時間を超えるかどうかで、見る表が変わります。
あわせて読みたい
働いた時間そのものの上限については、36協定の限度時間を条文で確かめた記事が対応します。↓

参考文献
条文の確認日は2026年9月26日です。

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