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解雇制限とは何か──労働基準法19条の「三十日間」を条文で確かめた

解雇制限とは何か──労働基準法19条の「三十日間」を条文で確かめた
解雇制限とは何か──労働基準法19条の「三十日間」を条文で確かめた

会社から退職を切り出されたとき、解雇制限という言葉を初めて見た人は少なくありません。

ケガで休んでいる最中や、産休の最中に解雇を通告されたら、それは法律で止まっているのか。

この記事は、その問いに答える条文を労働基準法と労働契約法の言葉だけで並べます。

結論は次のとおりです。

労働基準法第十九条は、2つの期間について解雇してはならないとまっすぐ書いています。

条文の確認日は2026年10月9日です。

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解雇制限とは何か=労働基準法19条が置く「解雇してはならない」期間

まず、根拠になる条文をそのまま読みます。

使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。

(労働基準法 第十九条第一項)

主語は使用者で、禁じられている行為は解雇です。

この一文に並んでいる期間は、業務上の負傷・疾病の療養で休業する期間とその後三十日間と、産前産後の休業期間とその後三十日間の2つになります。

「してはならない」という書き方なので、会社の判断でこの期間に解雇することは条文の言葉に合いません。

解雇制限がかかる期間期間の中身根拠
業務上の負傷・疾病療養のために休業する期間第十九条第一項
業務上の負傷・疾病休業する期間のその後三十日間第十九条第一項
産前産後第六十五条の規定によつて休業する期間第十九条第一項
産前産後休業する期間のその後三十日間第十九条第一項

条文に「解雇制限」という見出し語そのものは本文に出てこず、書かれているのは期間と禁止だけです。

期間の数え方も「その後三十日間」という言葉で決まっており、ほかの日数は置かれていません。

解雇制限の1つめ=業務上の負傷・疾病で療養のために休業する期間

1つめの期間は、仕事が原因のケガや病気で休んでいるときのものです。

条文の言葉は療養のために休業する期間で、負傷や疾病があるだけでは足りない形になっています。

第十九条第一項が「業務上」と限っているので、通勤の途中や私生活でのケガはこの一文の対象ではありません。

業務上の負傷・疾病の療養そのものについては、第七十五条が会社の補償を定めています。

労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかつた場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない。

(労働基準法 第七十五条第一項)

第七十五条で療養の補償を受ける労働者が、第十九条第一項の「療養のために休業する期間」に入る人になります。

ここで押さえたいのは、休業していることと療養していることの2つがそろって初めて期間に当たる点です。

休業が終わって職場に戻ったあとも、条文はさらに三十日間を禁止の期間に足しています。

業務上のケガや病気の治療費がどこまで出るかは、労災保険の療養補償給付を条文で確かめた記事で確かめています。↓

解雇制限の2つめ=産前産後の女性が休業する期間とその後三十日間

2つめの期間は、出産に関わる休業です。

第十九条第一項は「第六十五条の規定によつて休業する期間」と書いているので、長さは第六十五条で決まります。

使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。

(労働基準法 第六十五条第一項)

使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。

ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。

(労働基準法 第六十五条第二項)

第一項は請求があったときの産前の休業、第二項は産後の就業禁止です。

この2つの期間と、その後三十日間が解雇制限の対象になります。

産前産後の休業条文の言葉根拠
産前六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合第六十五条第一項
産後産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない第六十五条第二項
産後の例外産後六週間を経過した女性が請求し、医師が支障がないと認めた業務第六十五条第二項ただし書
休業のあとその後三十日間は解雇してはならない第十九条第一項

産前の休業は請求があってはじめて始まる形なので、請求していない期間は第六十五条第一項の休業ではありません。

産後八週間は請求の有無にかかわらず就業禁止と書かれており、第二項のただし書だけが例外を置いています。

産前産後休業の長さと手当の全体は、産前産後休業は何週間取れるのかを条文で確かめた記事で並べています。↓

解雇制限が外れる2つの例外=打切補償と天災事変

第十九条第一項には、ただし書が付いています。

ただし、使用者が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。

(労働基準法 第十九条第一項)

例外として並んでいるのは、打切補償を支払う場合と、天災事変その他やむを得ない事由で事業の継続が不可能となった場合の2つだけです。

条文の言葉に経営が苦しい・成績が悪いといった理由は置かれていません。

ただし書の例外条文の言葉行政官庁の認定
打切補償第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合条文に定めなし
天災事変その他やむを得ない事由事業の継続が不可能となつた場合第十九条第二項で必要

2つの例外は要件が違うだけでなく、手続の有無も違います。

打切補償のほうは第八十一条が金額まで決めており、天災事変のほうは第二項が手続を足しています。

打切補償で解雇制限が外れる線=労働基準法81条の「平均賃金の千二百日分」

打切補償の中身は、第八十一条に書かれています。

第七十五条の規定によつて補償を受ける労働者が、療養開始後三年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合においては、使用者は、平均賃金の千二百日分の打切補償を行い、その後はこの法律の規定による補償を行わなくてもよい。

(労働基準法 第八十一条)

条文が置いている数字は、療養開始後三年と平均賃金の千二百日分です。

三年を経過しても負傷または疾病がなおらない場合という条件が先に立っており、三年より前の打切補償は条文の言葉に当たりません。

ここでいう平均賃金の意味は、第十二条第一項に定義があります。

この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。

(労働基準法 第十二条第一項)

直前三箇月の賃金の総額を、その期間の総日数で割った金額です。

業務上の負傷で休業した期間は、第十二条第三項第一号で期間と賃金から控除される並びになっています。

業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間

(労働基準法 第十二条第三項第一号)

産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業した期間

(労働基準法 第十二条第三項第二号)

打切補償の要件条文の言葉根拠
対象第七十五条の規定によつて補償を受ける労働者第八十一条
条文の期間療養開始後三年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合第八十一条
金額平均賃金の千二百日分第八十一条
支払後の補償その後はこの法律の規定による補償を行わなくてもよい第八十一条
平均賃金の出し方以前三箇月間の賃金の総額をその期間の総日数で除した金額第十二条第一項

天災事変で解雇制限を外すときに要る行政官庁の認定=19条2項

ただし書の後段を使う場合には、手続が1つ足されています。

前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。

(労働基準法 第十九条第二項)

会社が自分で判断するだけでは足りず、行政官庁の認定を受けなければなりません。

「前項但書後段の場合」と限っているので、認定が必要なのは天災事変その他やむを得ない事由のほうです。

同じ認定の仕組みは、次に見る第二十条のただし書にも準用されています。

前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する。

(労働基準法 第二十条第三項)

第二十条第一項のただし書を使うときも、第十九条第二項が準用される形になります。

認定を受けたかどうかは、解雇を通告された側が会社に確かめられる事項です。

解雇制限と解雇予告の違い=労働基準法20条の「三十日前」

第十九条とよく一緒に出てくるのが、第二十条の解雇予告です。

この2つは別の条文で、禁じているものも違います。

使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。

(労働基準法 第二十条第一項)

三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。

(労働基準法 第二十条第一項)

第十九条は期間そのものの禁止、第二十条は予告か平均賃金かという手続の定めです。

第二十条第一項には、ただし書も置かれています。

但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。

(労働基準法 第二十条第一項)

予告の日数は、平均賃金を払って短縮することもできます。

前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。

(労働基準法 第二十条第二項)

比べる点解雇制限(第十九条)解雇予告(第二十条)
禁じていることその期間に解雇すること予告も平均賃金もなく解雇すること
対象になる人業務上の負傷・疾病で療養のため休業中の人、産前産後の休業中の人解雇しようとする労働者
条文の数字休業する期間及びその後三十日間少くとも三十日前・三十日分以上の平均賃金
例外打切補償の支払、天災事変その他やむを得ない事由天災事変その他やむを得ない事由、労働者の責に帰すべき事由
認定第二項でただし書後段に必要第三項で第十九条第二項を準用

第二十条に違反した使用者には、付加金の仕組みも用意されています。

裁判所は、第二十条、第二十六条若しくは第三十七条の規定に違反した使用者又は第三十九条第九項の規定による賃金を支払わなかつた使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。

(労働基準法 第百十四条)

予告なしに解雇されたときの金額の出し方は、解雇予告手当はいくらかを条文で確かめた記事でまとめています。↓

解雇予告が適用されない労働者と解雇制限の関係=労働基準法21条

第二十条には、適用の外に置かれた労働者が並んでいます。

前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。

(労働基準法 第二十一条)

日日雇い入れられる者

(労働基準法 第二十一条第一号)

二箇月以内の期間を定めて使用される者

(労働基準法 第二十一条第二号)

季節的業務に四箇月以内の期間を定めて使用される者

(労働基準法 第二十一条第三号)

試の使用期間中の者

(労働基準法 第二十一条第四号)

柱書が「前条の規定は」と書いているので、外されているのは第二十条です。

第十九条の解雇制限は第二十一条の列挙に載っていないため、この条文で外れる対象には入っていません。

また、第二十一条のただし書は、引き続き使用された場合に適用が戻る線を置いています。

但し、第一号に該当する者が一箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合、第二号若しくは第三号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合又は第四号に該当する者が十四日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない。

(労働基準法 第二十一条)

第二十一条各号条文の言葉適用が戻る線
第一号日日雇い入れられる者一箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合
第二号二箇月以内の期間を定めて使用される者所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合
第三号季節的業務に四箇月以内の期間を定めて使用される者所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合
第四号試の使用期間中の者十四日を超えて引き続き使用されるに至つた場合

第四号の「試の使用期間中の者」は、十四日を超えて引き続き使用されると第二十条が当てはまる並びです。

試用期間中の解雇をどの条文で見るかは、試用期間の解雇はどこまで自由かを条文で確かめた記事で確かめました。↓

解雇制限の期間が明けたあとも残る関所=労働契約法16条の「無効」

第十九条の期間を過ぎれば自由に解雇できる、という話ではありません。

期間にかかわらず当てはまる条文が、労働契約法第十六条です。

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

(労働契約法 第十六条)

条文が置いている線は客観的に合理的な理由と、社会通念上相当であると認められることの2つです。

この2つを欠く解雇は、権利を濫用したものとして無効とする、という条文です。

つまり、第十九条の期間と労働契約法第十六条は重ねて当たる関係になります。

条文見ているもの条文が書いている結論
労働基準法第十九条解雇してはならない期間解雇してはならない
労働基準法第二十条予告または平均賃金の手続予告をしなければならない/平均賃金を支払わなければならない
労働契約法第十六条理由の合理性と相当性その権利を濫用したものとして、無効とする
労働契約法第十五条懲戒の合理性と相当性当該懲戒は、無効とする

懲戒として解雇するときは、労働契約法第十五条の言葉も重なります。

使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

(労働契約法 第十五条)

懲戒解雇の線をどこで引くのかは、懲戒解雇はどこまで有効かを条文で確かめた記事で整理しています。↓

有期契約の期間中にかかる解雇制限=労働契約法17条の「やむを得ない事由」

期間の定めがある契約には、もう1つ別の制限が置かれています。

使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

(労働契約法 第十七条第一項)

契約期間が満了するまでの間は、やむを得ない事由がある場合でなければ解雇できないという書き方です。

労働契約法第十六条よりも条文の言葉が厳しい側に寄っている形になります。

同じ条の第二項は、契約期間の長さについての配慮も定めています。

使用者は、有期労働契約について、その有期労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その有期労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない。

(労働契約法 第十七条第二項)

有期契約の人が業務上の負傷で療養のため休業していれば、労働基準法第十九条と労働契約法第十七条の両方が当てはまる場面です。

解雇制限と並ぶ別の法律の解雇禁止=均等法9条・育児介護休業法10条

労働基準法第十九条のほかにも、解雇を禁じる条文は複数の法律に置かれています。

事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第六十五条第一項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第二項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

(男女雇用機会均等法 第九条第三項)

妊娠・出産や第六十五条の休業を理由とする解雇その他不利益な取扱いを、事業主に禁じる定めです。

妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。

ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない。

(男女雇用機会均等法 第九条第四項)

妊娠中と出産後一年を経過しない女性労働者への解雇は、無効とするという言葉で結んでいます。

育児休業・介護休業についても、同じ形の条文があります。

事業主は、労働者が育児休業申出等(育児休業申出及び出生時育児休業申出をいう。以下同じ。)をし、若しくは育児休業をしたこと又は第九条の五第二項の規定による申出若しくは同条第四項の同意をしなかったことその他の同条第二項から第五項までの規定に関する事由であって厚生労働省令で定めるものを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

(育児介護休業法 第十条)

事業主は、労働者が介護休業申出をし、又は介護休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

(育児介護休業法 第十六条)

労働基準監督署への申告を理由とする不利益な取扱いも、労働基準法の中で禁じられています。

使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならない。

(労働基準法 第百四条第二項)

禁じている条文理由にしてはならないこと条文の結論
労働基準法第十九条第一項(期間そのものの制限)解雇してはならない
男女雇用機会均等法第九条第二項女性労働者が婚姻したこと解雇してはならない
男女雇用機会均等法第九条第三項妊娠・出産・第六十五条の休業など解雇その他不利益な取扱いをしてはならない
男女雇用機会均等法第九条第四項(妊娠中・出産後一年以内の解雇)無効とする
育児介護休業法第十条育児休業申出等をし、育児休業をしたこと解雇その他不利益な取扱いをしてはならない
育児介護休業法第十六条介護休業申出をし、介護休業をしたこと解雇その他不利益な取扱いをしてはならない
労働基準法第百四条第二項行政官庁・労働基準監督官に申告したこと解雇その他不利益な取扱をしてはならない

第九条第四項のただし書は、事業主が証明したときを例外に置いています。

ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない。

(男女雇用機会均等法 第九条第四項)

解雇制限の違反に付く罰則=労働基準法119条の「六月以下の拘禁刑」

第十九条に違反した使用者への罰則は、第百十九条に置かれています。

次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。

(労働基準法 第百十九条)

どの条文の違反がこれに当たるかは、第一号の列挙で決まります。

第三条、第四条、第七条、第十六条、第十七条、第十八条第一項、第十九条、第二十条、第二十二条第四項、第三十二条、第三十四条、第三十五条、第三十六条第六項、第三十七条、第三十九条(第七項を除く。)、第六十一条、第六十二条、第六十四条の三から第六十七条まで、第七十二条、第七十五条から第七十七条まで、第七十九条、第八十条、第九十四条第二項、第九十六条又は第百四条第二項の規定に違反した者

(労働基準法 第百十九条第一号)

列挙の中に第十九条と第二十条の両方が入っています。

就業規則に書く事項の側からも、解雇は条文に出てきます。

退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

(労働基準法 第八十九条第三号)

退職に関する事項には、解雇の事由を含むという括弧が付いています。

解雇に関する書類の保存期間は、第百九条の五年間です。

使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。

(労働基準法 第百九条)

解雇制限の期間に解雇されたときに請求できる書面=労働基準法22条の証明書

解雇を通告されたら、理由を書面で出してもらうよう請求できます。

労働者が、第二十条第一項の解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。

ただし、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。

(労働基準法 第二十二条第二項)

予告がされた日から退職の日までの間に請求すれば、使用者は遅滞なく交付する義務を負います。

退職したあとに請求する場合は、第一項が根拠です。

労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。

(労働基準法 第二十二条第一項)

退職の事由が解雇のときは、その理由を含むと条文に書かれています。

請求する書面請求できる時期根拠
解雇の理由の証明書解雇の予告がされた日から退職の日までの間第二十二条第二項
退職時の証明書退職の場合第二十二条第一項
書かせてはならない事項労働者の請求しない事項第二十二条第三項

第三項は、請求しない事項を記入してはならないと定めています。

前二項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。

(労働基準法 第二十二条第三項)

証明書に書かれた理由と、第十九条の期間に当たるかどうかを突き合わせる形になります。

申告や相談の窓口は、第百四条第一項に置かれています。

事業場に、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。

(労働基準法 第百四条第一項)

解雇制限についてよくある質問

解雇制限はどの条文にありますか?

労働基準法第十九条第一項です。

業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間と、産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間について、解雇してはならないと定めています。

解雇制限の「三十日間」はいつから数えますか?

条文の言葉は「休業する期間及びその後三十日間」です。

休業する期間に続く三十日間が禁止の対象になります。

通勤中のケガも解雇制限の対象ですか?

第十九条第一項の言葉は「業務上負傷し、又は疾病にかかり」です。

条文の言葉は業務上の負傷・疾病なので、それ以外の原因はこの一文に書かれていません。

解雇制限が外れる場合はありますか?

第十九条第一項のただし書が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合と、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合の2つを置いています。

後段の場合は、第二項により行政官庁の認定が必要です。

打切補償はいくらですか?

第八十一条は、療養開始後三年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合に、平均賃金の千二百日分の打切補償を行うと定めています。

解雇制限と解雇予告はどう違いますか?

第十九条は、一定の期間について解雇してはならないと定めた条文です。

第二十条は、解雇しようとする場合に少くとも三十日前の予告か三十日分以上の平均賃金を求める条文です。

解雇制限の期間が終われば解雇は自由ですか?

労働契約法第十六条は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇を、権利を濫用したものとして無効とすると定めています。

この条文には期間の限定が置かれていません。

解雇制限に違反したらどうなりますか?

第百十九条第一号が第十九条を列挙しており、六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金と定めています。

解雇の理由の証明書は、第二十二条第二項により予告の日から退職の日までの間に請求できます。

解雇制限を条文で確かめた結果の一覧

条文で確かめたこと
  • 解雇制限の根拠は労働基準法第十九条第一項で、禁止の言葉は「解雇してはならない」
  • 対象は業務上の負傷・疾病の療養で休業する期間及びその後三十日間
  • もう1つの対象は第六十五条による産前産後の休業期間及びその後三十日間
  • 例外はただし書の2つ(第八十一条の打切補償、天災事変その他やむを得ない事由)
  • 打切補償は療養開始後三年と平均賃金の千二百日分(第八十一条)
  • 天災事変のほうは行政官庁の認定が必要(第十九条第二項)
  • 第二十条は予告か三十日分以上の平均賃金を求める別の条文
  • 期間の外でも労働契約法第十六条が理由の合理性と相当性を求める
  • 有期契約の期間中は労働契約法第十七条第一項が別に制限する
  • 第十九条違反は第百十九条第一号の罰則の列挙に入っている

解雇を通告されたら、まず第十九条の2つの期間に当たるかを見て、次に第二十条の予告と第二十二条の証明書を確かめる順番になります。

個別の事情への当てはめは、事業場を管轄する労働基準監督署か弁護士に相談する領域です。


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参考文献

この記事で使った一次資料

条文の確認日は2026年10月9日です。

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