
夜勤のシフトに入ったとき、深夜手当は何時から付くのか気になったことはありませんか。
22時から、0時から、終電を過ぎてから──職場の説明はばらばらで、どれが法律の線なのか分かりにくいところです。
この記事は、深夜手当が付く時間帯と率を、労働基準法と施行規則の言葉だけで確かめます。
結論から書きます。
条文が切っている線は午後十時から午前五時で、率は二割五分以上です。
条文の確認日は2026年10月9日です。
深夜手当という言葉の位置=労働基準法が使う語は「割増賃金」
最初に押さえたいのは、「深夜手当」という言葉そのものが労働基準法の条文に出てこないことです。
条文の側で使われているのは「割増賃金」という語になります。
その割増賃金を並べているのが、第三十七条です。
見出しは「時間外、休日及び深夜の割増賃金」で、深夜の分は第四項に置かれています。
使用者が、午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
(労働基準法 第三十七条第四項)
つまり深夜手当という語は条文に無いのに、中身は第三十七条第四項にあるという形です。
給与明細に「深夜手当」「深夜割増」「夜勤手当」など別の名前で載っていても、根拠の条文はこの第四項をたどることになります。
| 呼び方 | 条文での位置 | 条文が使っている語 |
|---|---|---|
| 深夜手当・深夜割増 | 第三十七条第四項 | 割増賃金 |
| 残業代・時間外手当 | 第三十七条第一項 | 割増賃金 |
| 休日手当 | 第三十七条第一項 | 割増賃金 |
| 夜勤手当(深夜以外の時間帯の手当) | 条文に定めなし | ― |
4行目のように、会社が独自に付ける手当は条文の外にあります。
条文の言葉で確かめられるのは、あくまで第三十七条第四項の割増賃金の部分です。
深夜手当が付く時間帯=第37条第4項の「午後十時から午前五時まで」
第四項の時間帯は、原則と例外の2段で書かれています。
午後十時から午前五時まで
(労働基準法 第三十七条第四項)
原則の線は午後10時から翌朝5時までで、22時が開始、5時が終了です。
例外として、同じカッコの中に別の時刻が置かれています。
(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)
(労働基準法 第三十七条第四項)
この例外は、厚生労働大臣が地域又は期間を定めた場合に限られます。
定めがなければ、原則の午後十時から午前五時までが当てはまります。
| 区分 | 深夜手当が付く時間帯 | 根拠 |
|---|---|---|
| 原則 | 午後10時から午前5時まで | 第三十七条第四項本文 |
| 厚生労働大臣が地域又は期間を定めた場合 | 午後11時から午前6時まで | 第三十七条第四項カッコ内 |
| 満18才に満たない者の使用禁止の時刻 | 午後10時から午前5時まで | 第六十一条第一項 |
| 児童(第五十六条第二項の許可)の使用禁止の時刻 | 午後8時から午前5時まで | 第六十一条第五項 |
「0時から深夜」「終電後から深夜」という説明は、条文のどこにも根拠がありません。
条文の数字は「午後十時」と「午前五時」の2つだけです。
深夜手当の率=第37条第4項が置いている線は「二割五分以上」
時間帯の次に見るのは率です。
第四項の後半が、支払う額の線を決めています。
その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
(労働基準法 第三十七条第四項)
条文の線は二割五分以上で、上限は第四項に書かれていません。
第一項の時間外・休日の割増賃金には「二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率」という書き方があり、政令が間に入ります。
通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
(労働基準法 第三十七条第一項)
これに対して第四項は、政令を経ずに「二割五分以上」と直接書いています。
第四項の率を下回る取り扱いは、条文の言葉に合いません。
時間外・休日の側の率がいくらになるかは、割増賃金の率を労働基準法37条と政令で確かめた記事で時間外・休日・深夜ごとに並べています。↓

深夜手当の単価の出し方=労働基準法施行規則19条1項の各号
「通常の労働時間の賃金の計算額」の出し方は、施行規則第十九条第一項にあります。
法第三十七条第一項の規定による通常の労働時間又は通常の労働日の賃金の計算額は、次の各号の金額に法第三十三条若しくは法第三十六条第一項の規定によつて延長した労働時間数若しくは休日の労働時間数又は午後十時から午前五時(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時)までの労働時間数を乗じた金額とする。
(労働基準法施行規則 第十九条第一項)
柱書の中に「午後十時から午前五時」が入っているので、深夜の時間数も同じ各号の金額に乗じる形です。
各号は、賃金を何の単位で決めているかで分かれています。
時間によつて定められた賃金については、その金額
(労働基準法施行規則 第十九条第一項第一号)
日によつて定められた賃金については、その金額を一日の所定労働時間数(日によつて所定労働時間数が異る場合には、一週間における一日平均所定労働時間数)で除した金額
(労働基準法施行規則 第十九条第一項第二号)
月によつて定められた賃金については、その金額を月における所定労働時間数(月によつて所定労働時間数が異る場合には、一年間における一月平均所定労働時間数)で除した金額
(労働基準法施行規則 第十九条第一項第四号)
| 第十九条第一項 | 賃金の決め方 | 1時間あたりの金額 |
|---|---|---|
| 第一号 | 時間 | その金額 |
| 第二号 | 日 | 1日の所定労働時間数で割る |
| 第三号 | 週 | 週における所定労働時間数で割る |
| 第四号 | 月 | 月における所定労働時間数で割る |
| 第五号 | 月、週以外の一定の期間 | 前各号に準じて算定した金額 |
| 第六号 | 出来高払制その他の請負制 | 賃金の総額を総労働時間数で割る |
| 第七号 | 二以上の賃金からなる場合 | 各号で算定した金額の合計額 |
月給で働く人なら、月における所定労働時間数で割った額が1時間あたりの単価になります。
各号のどれにも含まれない賃金の扱いは、第二項が決めています。
休日手当その他前項各号に含まれない賃金は、前項の計算においては、これを月によつて定められた賃金とみなす。
(労働基準法施行規則 第十九条第二項)
休日手当のように第一項各号に入らない賃金は、月によって定められた賃金とみなして計算します。
深夜手当の基礎に入れない賃金=第37条第5項と施行規則21条
単価を出すときに基礎から外す賃金も、条文で決まっています。
第一項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。
(労働基準法 第三十七条第五項)
この項は「第一項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金」と書いているので、深夜の分にも同じく当てはまります。
「厚生労働省令で定める賃金」の中身は、施行規則第二十一条です。
法第三十七条第五項の規定によつて、家族手当及び通勤手当のほか、次に掲げる賃金は、同条第一項及び第四項の割増賃金の基礎となる賃金には算入しない。
(労働基準法施行規則 第二十一条)
住宅手当
(労働基準法施行規則 第二十一条第三号)
一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金
(労働基準法施行規則 第二十一条第五号)
| 算入しない賃金 | 根拠 |
|---|---|
| 家族手当 | 第三十七条第五項 |
| 通勤手当 | 第三十七条第五項 |
| 別居手当 | 施行規則第二十一条第一号 |
| 子女教育手当 | 施行規則第二十一条第二号 |
| 住宅手当 | 施行規則第二十一条第三号 |
| 臨時に支払われた賃金 | 施行規則第二十一条第四号 |
| 一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金 | 施行規則第二十一条第五号 |
外すのはこの7つの列挙だけで、ここに並んでいない手当は基礎に入る側です。
役職手当や資格手当のように条文の列挙に無い手当を基礎から外すと、単価がその分だけ小さくなります。
明細の手当名を、この7つと1つずつ突き合わせてみてください。
深夜手当と残業代が重なるとき=施行規則20条1項の「五割以上」
夜まで残業が伸びると、時間外と深夜の2つが同じ時間に重なります。
その重なった時間の率は、施行規則第二十条第一項が決めています。
法第三十三条又は法第三十六条第一項の規定によつて延長した労働時間が午後十時から午前五時(厚生労働大臣が必要であると認める場合は、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時)までの間に及ぶ場合においては、使用者はその時間の労働については、第十九条第一項各号の金額にその労働時間数を乗じた金額の五割以上(その時間の労働のうち、一箇月について六十時間を超える労働時間の延長に係るものについては、七割五分以上)の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
(労働基準法施行規則 第二十条第一項)
延長した労働時間が深夜に及んだ分は五割以上になります。
同じ項のカッコの中に、もう1段の数字が置かれています。
(その時間の労働のうち、一箇月について六十時間を超える労働時間の延長に係るものについては、七割五分以上)
(労働基準法施行規則 第二十条第一項)
1か月の延長が六十時間を超えた部分が深夜に及ぶと、七割五分以上になります。
| 重なり方 | 条文の率 | 根拠 |
|---|---|---|
| 深夜だけ(所定労働時間内の深夜) | 二割五分以上 | 法第三十七条第四項 |
| 時間外+深夜 | 五割以上 | 施行規則第二十条第一項 |
| 1か月60時間超の時間外+深夜 | 七割五分以上 | 施行規則第二十条第一項カッコ内 |
| 休日労働+深夜 | 六割以上 | 施行規則第二十条第二項 |
この表の率は、どれも条文に書かれている下限です。
就業規則でこれより高い率を定めることはできますが、下回る定めは条文の言葉に合いません。
手当の中に時間外の分をあらかじめ含める形については、固定残業代が有効になる条件を労働基準法37条で確かめた記事で整理しています。↓

深夜手当と休日労働が重なるとき=施行規則20条2項の「六割以上」
休日に出て、そのまま深夜までかかった時間はどうなるのか。
施行規則第二十条の第二項が、休日の側を分けて書いています。
法第三十三条又は法第三十六条第一項の規定による休日の労働時間が午後十時から午前五時(厚生労働大臣が必要であると認める場合は、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時)までの間に及ぶ場合においては、使用者はその時間の労働については、前条第一項各号の金額にその労働時間数を乗じた金額の六割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
(労働基準法施行規則 第二十条第二項)
休日の労働が深夜に及んだ分は六割以上です。
第一項が「延長した労働時間」、第二項が「休日の労働時間」と書き分けているので、時間外の重なりと休日の重なりは別の項で読む形になります。
休日労働に第一項の六十時間のカッコが付いていないのも、条文を並べて見れば分かります。
第二項の数字は六割以上の1つだけです。
| 施行規則第二十条 | 対象の時間 | 率 |
|---|---|---|
| 第一項 | 法第三十三条又は法第三十六条第一項により延長した労働時間が深夜に及ぶ場合 | 五割以上(60時間超の部分は七割五分以上) |
| 第二項 | 法第三十三条又は法第三十六条第一項による休日の労働時間が深夜に及ぶ場合 | 六割以上 |
深夜手当の時間帯が動く場合=「午後十一時から午前六時まで」の読み方
第三十七条第四項のカッコと、施行規則第十九条・第二十条のカッコには、同じ別の時刻が置かれています。
いずれも「厚生労働大臣が必要であると認める場合」の地域又は期間についての定めです。
午後十時から午前五時(厚生労働大臣が必要であると認める場合は、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時)まで
(労働基準法施行規則 第二十条第二項)
条文の構えは、原則が午後十時から午前五時まで、厚生労働大臣の定めがある地域又は期間だけ午後十一時から午前六時までというものです。
厚生労働大臣は、必要であると認める場合においては、前項の時刻を、地域又は期間を限つて、午後十一時及び午前六時とすることができる。
(労働基準法 第六十一条第二項)
第六十一条第二項も、満十八才未満の使用禁止の時刻について同じ時刻の動かし方を置いています。
このように、時刻を動かす主体は条文上どれも厚生労働大臣です。
会社や事業場の都合で深夜の時間帯を勝手にずらす定めは、条文の言葉の中にありません。
深夜手当より前に置かれている禁止=労働基準法61条の満十八才未満の深夜業
深夜に働いた分の割増賃金とは別に、そもそも深夜に働かせてはならない人の定めがあります。
第六十一条の見出しは「深夜業」です。
使用者は、満十八才に満たない者を午後十時から午前五時までの間において使用してはならない。
ただし、交替制によつて使用する満十六才以上の男性については、この限りでない。
(労働基準法 第六十一条第一項)
満十八才に満たない者は、原則として午後十時から午前五時までの間に使用できません。
ただし書で、交替制によって使用する満十六才以上の男性だけが原則の外に置かれています。
交替制によつて労働させる事業については、行政官庁の許可を受けて、第一項の規定にかかわらず午後十時三十分まで労働させ、又は前項の規定にかかわらず午前五時三十分から労働させることができる。
(労働基準法 第六十一条第三項)
交替制によって労働させる事業は、行政官庁の許可を受けて午後十時三十分まで、又は午前五時三十分からに動かせます。
第一項及び第二項の時刻は、第五十六条第二項の規定によつて使用する児童については、第一項の時刻は、午後八時及び午前五時とし、第二項の時刻は、午後九時及び午前六時とする。
(労働基準法 第六十一条第五項)
第五十六条第二項で使用する児童は午後8時から午前5時までが禁止の時刻になります。
年齢と交替制、許可の有無で、どの時刻が当てはまるかが変わる並びです。
| 対象 | 深夜業の禁止の時刻 | 根拠 |
|---|---|---|
| 満18才に満たない者(原則) | 午後10時から午前5時まで | 第六十一条第一項本文 |
| 交替制によって使用する満16才以上の男性 | 第一項の適用なし | 第六十一条第一項ただし書 |
| 交替制によって労働させる事業(行政官庁の許可) | 午後10時30分まで/午前5時30分から | 第六十一条第三項 |
| 第五十六条第二項により使用する児童 | 午後8時から午前5時まで | 第六十一条第五項 |
深夜手当と管理監督者=第41条が外すのは「労働時間、休憩及び休日」
「管理職だから深夜手当は出ない」という説明に当たる条文は、第四十一条です。
まず柱書が、何を外すのかを書いています。
この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
(労働基準法 第四十一条)
事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
(労働基準法 第四十一条第二号)
柱書が挙げているのは「労働時間、休憩及び休日に関する規定」で、深夜という語は入っていません。
条文の言葉のうえでは深夜の割増賃金は外れない並びになっています。
第二号が見ているのも「監督若しくは管理の地位にある者」かどうかで、役職名そのものではありません。
第四十一条第二号が外す範囲は、管理監督者に残業代は出ないのかを条文で確かめた記事で柱書の言葉から確かめています。↓

深夜手当を受け取らない選び方=第66条3項と育児介護休業法19条の請求
深夜に働くこと自体を止める請求も、条文に置かれています。
妊産婦については第六十六条第三項です。
使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない。
(労働基準法 第六十六条第三項)
妊産婦が請求した場合、使用者は深夜業をさせてはなりません。
小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者については、育児介護休業法第十九条第一項が同じ形の請求を置いています。
事業主は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者であって次の各号のいずれにも該当しないものが当該子を養育するために請求した場合においては、午後十時から午前五時までの間(以下この条及び第二十条の二において「深夜」という。)において労働させてはならない。
(育児介護休業法 第十九条第一項)
ここでも深夜の定義は午後十時から午前五時まででそろえられています。
同じ項には、請求が通らない場合のただし書と3つの号が付いています。
ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない。
(育児介護休業法 第十九条第一項)
当該事業主に引き続き雇用された期間が一年に満たない労働者
(育児介護休業法 第十九条第一項第一号)
要介護状態にある対象家族を介護する労働者には、第二十条が第十九条を準用しています。
前条第一項から第三項まで及び第四項(第二号を除く。)の規定は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者について準用する。
(育児介護休業法 第二十条第一項)
請求の期間と期限は、第十九条第二項が決めています。
一月以上六月以内の期間に限る
(育児介護休業法 第十九条第二項)
妊産婦に関わる休業の側の数字は、産前産後休業は何週間取れるのかを労働基準法65条で確かめた記事で確かめています。↓

深夜手当の記録=第108条と施行規則54条1項6号の「深夜労働時間数」
あとから深夜の分を数え直すときの手がかりが、会社が作る賃金台帳です。
使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。
(労働基準法 第百八条)
記入する事項は、施行規則第五十四条第一項に並んでいます。
法第三十三条若しくは法第三十六条第一項の規定によつて労働時間を延長し、若しくは休日に労働させた場合又は午後十時から午前五時(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時)までの間に労働させた場合には、その延長時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数
(労働基準法施行規則 第五十四条第一項第六号)
台帳には深夜労働時間数そのものの欄が置かれています。
賃金の種類ごとの額も、同じ第一項の第七号が記入事項にしています。
基本給、手当その他賃金の種類毎にその額
(労働基準法施行規則 第五十四条第一項第七号)
記入しなくてよい労働者は、第五項に限られています。
法第四十一条各号のいずれかに該当する労働者及び法第四十一条の二第一項の規定により労働させる労働者については第一項第五号及び第六号は、これを記入することを要しない。
(労働基準法施行規則 第五十四条第五項)
第五号(労働時間数)と第六号(延長・休日・深夜の時間数)の欄が外れるのは、第四十一条各号の労働者と第四十一条の二第一項で労働させる労働者です。
深夜手当を払わないときの罰則=第119条が第37条と第61条を挙げている並び
第三十七条と第六十一条は、どちらも罰則の条に名前が挙がっています。
次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
(労働基準法 第百十九条)
第一号の列挙の中に、第三十七条と第六十一条が並んでいます。
第三十二条、第三十四条、第三十五条、第三十六条第六項、第三十七条、第三十九条(第七項を除く。)、第六十一条
(労働基準法 第百十九条第一号)
深夜の割増賃金の不払いは罰則が置かれた条の違反という位置づけです。
金額や期間の当てはめではなく、条文に名前が挙がっているかどうかだけをここでは確かめました。
深夜手当についてよくある質問
- 深夜手当は何時から付きますか?
-
労働基準法第三十七条第四項は「午後十時から午前五時まで」と定めています。
厚生労働大臣が必要であると認める場合は、その定める地域又は期間について午後十一時から午前六時までとされています。
- 深夜手当の率は何%ですか?
-
第三十七条第四項は、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払うよう定めています。
第一項の時間外・休日の割増賃金と違い、政令を経ずに条文が直接「二割五分以上」と定めている形です。
- 残業が深夜に及んだときの率はどうなりますか?
-
施行規則第二十条第一項が、延長した労働時間が午後十時から午前五時までの間に及ぶ場合について五割以上と定めています。
その時間の労働のうち、一箇月について六十時間を超える労働時間の延長に係るものは七割五分以上です。
- 休日に深夜まで働いたときの率はどうなりますか?
-
施行規則第二十条第二項が、休日の労働時間が午後十時から午前五時までの間に及ぶ場合について六割以上と定めています。
- 深夜手当の1時間あたりの単価はどう出しますか?
-
施行規則第十九条第一項の各号が、賃金の決め方ごとの金額を定めています。
月によって定められた賃金は、第四号により月における所定労働時間数で除した金額です。
- 単価の基礎に入れない手当は何ですか?
-
第三十七条第五項の家族手当・通勤手当と、施行規則第二十一条の別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われた賃金・一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金です。
第二十一条の柱書は、この算入しない定めが「同条第一項及び第四項の割増賃金の基礎となる賃金」に当たるものとしています。
- 管理職には深夜手当が付かないのですか?
-
第四十一条の柱書が適用しないとしているのは「労働時間、休憩及び休日に関する規定」で、深夜という語は入っていません。
- 深夜に働かせてはならない人はいますか?
-
第六十一条第一項が、満十八才に満たない者について午後十時から午前五時までの間の使用を禁じています(交替制によって使用する満十六才以上の男性を除く)。
妊産婦が請求した場合は第六十六条第三項、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が請求した場合は育児介護休業法第十九条第一項が深夜の労働を禁じています。
深夜手当を条文で確かめた結果の一覧
- 「深夜手当」という語は労働基準法に無く、条文の語は「割増賃金」(第三十七条第四項)
- 時間帯は午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣の定めがある地域・期間は午後十一時から午前六時まで)
- 率は二割五分以上(第三十七条第四項)
- 時間外が深夜に及ぶ分は五割以上、60時間超の部分は七割五分以上(施行規則第二十条第一項)
- 休日労働が深夜に及ぶ分は六割以上(施行規則第二十条第二項)
- 単価は施行規則第十九条第一項の各号、基礎に入れない賃金は第三十七条第五項と施行規則第二十一条の7つ
- 第四十一条が適用しないのは労働時間・休憩・休日の規定で、深夜という語は柱書に無い
- 満十八才未満の深夜業の禁止は第六十一条、請求による禁止は第六十六条第三項と育児介護休業法第十九条
- 賃金台帳には深夜労働時間数の欄がある(施行規則第五十四条第一項第六号)
明細を見るときは、深夜に働いた時間数と、その時間が時間外や休日と重なっていたかを分けて数えてみてください。
重なり方で当てはまる率が変わるのが、施行規則第二十条の構えです。
個別の事情への当てはめは、事業場を管轄する労働基準監督署か弁護士に相談する領域になります。
あわせて読みたい
年で額を決める賃金でも深夜の割増賃金が外れない理由は、年俸制で残業代は出ないのかを条文で確かめた記事で確かめています。↓

払われていない分をさかのぼって請求できる期間は、残業代の時効を労働基準法115条で確かめた記事にまとめています。↓

参考文献
- 労働基準法(e-Gov法令検索・デジタル庁)
- 労働基準法施行規則(e-Gov法令検索・デジタル庁)
- 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(e-Gov法令検索・デジタル庁)
条文の確認日は2026年10月9日です。

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