
家族を健康保険の被扶養者に入れられるのか、と迷ったことはありませんか。
親を入れたい、兄弟を入れたい、事実婚の相手の子を入れたい──どこまでが範囲なのかは、健康保険法の条文に列挙されています。
この記事は、その列挙と条件の言葉を、健康保険法の条文だけで確かめます。
結論から書くと、範囲を決めているのは第三条第七項の第一号から第四号までの4つの列挙です。
条文が置いている線は親族の種類と生計の維持と世帯の3つになります。
条文の確認日は2026年10月9日です。
被扶養者の定義が置かれている場所=健康保険法第3条第7項
「被扶養者」は日常の言葉ではなく、健康保険法が自分で定義している言葉です。
定義を並べた第三条の、第七項が担当しています。
この法律において「被扶養者」とは、次に掲げる者で、日本国内に住所を有するもの又は外国において留学をする学生その他の日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められるものとして厚生労働省令で定めるものをいう。
(健康保険法 第三条第七項)
柱書が求めているのは「次に掲げる者」であることと、日本国内の住所(またはその例外)の2つです。
つまり列挙に入る親族であることと、住所の条件を両方とも満たす形になります。
列挙そのものは、このあと見る第一号から第四号までの4つです。
健康保険法が何のための法律かは、第一条が定めています。
この法律は、労働者又はその被扶養者の業務災害(労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第七条第一項第一号に規定する業務災害をいう。)以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。
(健康保険法 第一条)
第一条の主語に「労働者又はその被扶養者」と並んでいるとおり、給付の相手は最初から2種類です。
被扶養者の第1号=直系尊属・配偶者・子・孫・兄弟姉妹で生計を維持される人
第一号は、同居していなくても入れる親族を並べています。
被保険者(日雇特例被保険者であった者を含む。以下この項において同じ。)の直系尊属、配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この項において同じ。)、子、孫及び兄弟姉妹であって、主としてその被保険者により生計を維持するもの
(健康保険法 第三条第七項第一号)
並んでいるのは、直系尊属、配偶者、子、孫、兄弟姉妹の5種類です。
この号の条件は主として生計を維持だけになります。
直系尊属は、父母・祖父母・曽祖父母のように上にさかのぼる血族を指す言葉です。
条文の括弧が、配偶者には「届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者」も含めます。
| 第一号に並ぶ人 | 条文の言葉 | 同一の世帯の条件 |
|---|---|---|
| 父母・祖父母など | 直系尊属 | 条文に書かれていない |
| 配偶者(事実婚を含む) | 配偶者 | 条文に書かれていない |
| 子 | 子 | 条文に書かれていない |
| 孫 | 孫 | 条文に書かれていない |
| 兄弟姉妹 | 兄弟姉妹 | 条文に書かれていない |
第一号の文には「同一の世帯に属し」という言葉がありません。
次に見る第二号以降には、その言葉が入っています。
被扶養者の第2号=三親等内の親族と「同一の世帯」の条件
第一号に並んでいない親族を扱うのが、第二号です。
被保険者の三親等内の親族で前号に掲げる者以外のものであって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの
(健康保険法 第三条第七項第二号)
ここで出てくるのが「三親等内の親族」という言葉です。
第二号は同一の世帯に属することを条件として足しています。
おじ・おば、おい・めい、配偶者の父母や兄弟姉妹は、第一号の5種類に入っていません。
第二号の「三親等内の親族で前号に掲げる者以外のもの」という言葉が、その人たちを受けています。
| 号 | 親族の範囲 | 生計の維持 | 同一の世帯 |
|---|---|---|---|
| 第一号 | 直系尊属・配偶者・子・孫・兄弟姉妹 | 必要 | 条文に書かれていない |
| 第二号 | 三親等内の親族で第一号以外のもの | 必要 | 必要 |
| 第三号 | 事実婚の配偶者の父母及び子 | 必要 | 必要 |
| 第四号 | 第三号の配偶者の死亡後のその父母及び子 | 必要 | 引き続き必要 |
第一号と第二号を分けている線は、同一の世帯に属するかどうかという1点です。
健康保険そのものが海外赴任で続くのかは、海外赴任で厚生年金・健康保険は続くのかを条文で確かめた記事に書いています。↓

被扶養者の第3号と第4号=事実婚の配偶者の父母及び子
第三号と第四号は、届出をしていない配偶者の家族を扱っています。
被保険者の配偶者で届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるものの父母及び子であって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの
(健康保険法 第三条第七項第三号)
対象は「その父母及び子」で、条件は同一の世帯と生計の維持の2つです。
前号の配偶者の死亡後におけるその父母及び子であって、引き続きその被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの
(健康保険法 第三条第七項第四号)
第四号は配偶者が亡くなったあとも続けて見るための号になります。
第四号の言葉は「引き続きその被保険者と同一の世帯に属し」で、同居が切れない前提に立つ号だ。
第三号と第四号を合わせると、事実婚の相手の父母と子だけが名指しされていることが分かります。
相手の兄弟姉妹は、第三号にも第四号にも書かれていません。
被扶養者に共通する条件=「主としてその被保険者により生計を維持するもの」
第一号から第四号までの4つに、同じ言葉が繰り返されています。
それが主としてその被保険者により生計を維持という言葉です。
金額の線は、第三条第七項の各号には書かれていません。
条文が置いているのは「主として」という言葉だけになります。
報酬という言葉そのものは、同じ第三条の第五項が定義しています。
この法律において「報酬」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。
ただし、臨時に受けるもの及び三月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。
(健康保険法 第三条第五項)
第五項のただし書は、臨時に受けるものと三月を超える期間ごとに受けるものを外しています。
三月を超える期間ごとに受けるものは、第六項で「賞与」と呼ばれています。
この法律において「賞与」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのもののうち、三月を超える期間ごとに受けるものをいう。
(健康保険法 第三条第六項)
ここで定義された言葉が、保険料や標準報酬の計算に使われる並びです。
被扶養者と日本国内の住所=第3条第7項の柱書と留学の例外
柱書には、親族の種類とは別の条件が置かれています。
日本国内に住所を有するもの又は外国において留学をする学生その他の日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められるものとして厚生労働省令で定めるもの
(健康保険法 第三条第七項)
原則は日本国内に住所を有することです。
例外として名指しされているのは外国において留学をする学生です。
そのほかの例外は「渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められるものとして厚生労働省令で定めるもの」とされ、中身は省令に預けられています。
条文の言葉だけで読めるのは、原則が住所で、留学が名指しの例外だということまでです。
海外で受けた診療の費用がどう戻るのかは、海外赴任の健康保険で海外療養費が戻る仕組みを条文で確かめた記事で確かめています。↓

被扶養者になれない人=第3条第7項ただし書の後期高齢者医療の被保険者等
第七項には、列挙を満たしても外れる人のためのただし書があります。
ただし、後期高齢者医療の被保険者等である者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者は、この限りでない。
(健康保険法 第三条第七項)
名指しされているのは「後期高齢者医療の被保険者等である者」です。
この言葉は第三条第一項第七号で定義された略称です。
後期高齢者医療の被保険者(高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)第五十条の規定による被保険者をいう。)及び同条各号のいずれかに該当する者で同法第五十一条の規定により後期高齢者医療の被保険者とならないもの(以下「後期高齢者医療の被保険者等」という。)
(健康保険法 第三条第一項第七号)
第一項第七号は、高齢者の医療の確保に関する法律第五十条の規定による被保険者と、同条各号のいずれかに該当する者で同法第五十一条の規定により後期高齢者医療の被保険者とならないものを、まとめて呼んでいます。
そのほかの除外は、ここでも厚生労働省令に預けられています。
| 区分 | 条文の場所 | 条文の言葉 |
|---|---|---|
| 範囲に入る親族 | 第三条第七項第一号〜第四号 | 直系尊属・配偶者・子・孫・兄弟姉妹/三親等内の親族/事実婚の配偶者の父母及び子 |
| 住所の条件 | 第三条第七項柱書 | 日本国内に住所を有するもの |
| 住所の例外 | 第三条第七項柱書 | 外国において留学をする学生その他厚生労働省令で定めるもの |
| 外れる人 | 第三条第七項ただし書 | 後期高齢者医療の被保険者等である者その他厚生労働省令で定める者 |
被扶養者が医療機関にかかったとき=第110条の家族療養費
範囲に入ると何が出るのかは、第百十条から第百十四条までに並んでいます。
被保険者の被扶養者が保険医療機関等のうち自己の選定するものから療養を受けたときは、被保険者に対し、その療養に要した費用について、家族療養費を支給する。
(健康保険法 第百十条第一項)
出る給付の名前は家族療養費で、受け取るのは被保険者です。
家族療養費の額は、第二項が3つの号に分けて決めています。
家族療養費の額は、第一号に掲げる額(当該療養に食事療養が含まれるときは当該額及び第二号に掲げる額の合算額、当該療養に生活療養が含まれるときは当該額及び第三号に掲げる額の合算額)とする。
当該療養(食事療養及び生活療養を除く。)につき算定した費用の額(その額が現に当該療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に療養に要した費用の額)に次のイからニまでに掲げる場合の区分に応じ、当該イからニまでに定める割合を乗じて得た額被扶養者が六歳に達する日以後の最初の三月三十一日の翌日以後であって七十歳に達する日の属する月以前である場合百分の七十被扶養者が六歳に達する日以後の最初の三月三十一日以前である場合百分の八十被扶養者(ニに規定する被扶養者を除く。)が七十歳に達する日の属する月の翌月以後である場合百分の八十第七十四条第一項第三号に掲げる場合に該当する被保険者その他政令で定める被保険者の被扶養者が七十歳に達する日の属する月の翌月以後である場合百分の七十当該食事療養につき算定した費用の額(その額が現に当該食事療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に食事療養に要した費用の額)から食事療養標準負担額を控除した額当該生活療養につき算定した費用の額(その額が現に当該生活療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に生活療養に要した費用の額)から生活療養標準負担額を控除した額
(健康保険法 第百十条第二項)
第一号が療養そのもの、第二号が食事療養、第三号が生活療養の額です。
当該食事療養につき算定した費用の額(その額が現に当該食事療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に食事療養に要した費用の額)から食事療養標準負担額を控除した額
(健康保険法 第百十条第二項第二号)
病院の窓口で払う形は、第四項と第五項が決めています。
被扶養者が第六十三条第三項第一号又は第二号に掲げる病院若しくは診療所又は薬局から療養を受けたときは、保険者は、その被扶養者が当該病院若しくは診療所又は薬局に支払うべき療養に要した費用について、家族療養費として被保険者に対し支給すべき額の限度において、被保険者に代わり、当該病院若しくは診療所又は薬局に支払うことができる。
(健康保険法 第百十条第四項)
前項の規定による支払があったときは、被保険者に対し家族療養費の支給があったものとみなす。
(健康保険法 第百十条第五項)
第四項の支払があれば家族療養費の支給があったものとみなすという作りです。
本人が働けなくなったときに出る給付は、傷病手当金の3分の2と通算1年6か月を健康保険法99条で確かめた記事で確かめています。↓

被扶養者の訪問看護と移送=第111条と第112条
家族療養費のほかに、2つの給付が並んでいます。
被保険者の被扶養者が指定訪問看護事業者から指定訪問看護を受けたときは、被保険者に対し、その指定訪問看護に要した費用について、家族訪問看護療養費を支給する。
(健康保険法 第百十一条第一項)
指定訪問看護を受けたときに出るのが、家族訪問看護療養費です。
被保険者の被扶養者が家族療養費に係る療養を受けるため、病院又は診療所に移送されたときは、家族移送費として、被保険者に対し、第九十七条第一項の厚生労働省令で定めるところにより算定した金額を支給する。
(健康保険法 第百十二条第一項)
病院まで運ばれたときに出るのが家族移送費になります。
どちらも、支給を受けるのは被扶養者ではなく被保険者です。
第百十一条第一項も第百十二条第一項も、「被保険者に対し」です。
被扶養者が亡くなったとき・出産したとき=第113条と第114条
第百十三条と第百十四条は、金額を政令に預けた短い条文です。
被保険者の被扶養者が死亡したときは、家族埋葬料として、被保険者に対し、第百条第一項の政令で定める金額を支給する。
(健康保険法 第百十三条)
被扶養者が死亡したときに出るのが、家族埋葬料です。
被保険者の被扶養者が出産したときは、家族出産育児一時金として、被保険者に対し、第百一条の政令で定める金額を支給する。
(健康保険法 第百十四条)
被扶養者が出産したときに出るのが家族出産育児一時金です。
| 被扶養者に起きたこと | 給付の名前 | 根拠の条文 |
|---|---|---|
| 医療機関で療養を受けた | 家族療養費 | 第百十条第一項 |
| 指定訪問看護を受けた | 家族訪問看護療養費 | 第百十一条第一項 |
| 病院又は診療所に移送された | 家族移送費 | 第百十二条第一項 |
| 死亡した | 家族埋葬料 | 第百十三条 |
| 出産した | 家族出産育児一時金 | 第百十四条 |
5つのどれも、支給の相手は被保険者です。
被扶養者への給付が止まる場合=第116条から第119条と第122条の準用
給付を行わない場合を並べた条文は、被保険者を主語にしています。
被保険者又は被保険者であった者が、自己の故意の犯罪行為により、又は故意に給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は、行わない。
(健康保険法 第百十六条)
被保険者が闘争、泥酔又は著しい不行跡によって給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は、その全部又は一部を行わないことができる。
(健康保険法 第百十七条)
この並びを被扶養者に当てはめる橋渡しが、第百二十二条です。
第百十六条、第百十七条、第百十八条第一項及び第百十九条の規定は、被保険者の被扶養者について準用する。
この場合において、これらの規定中「保険給付」とあるのは、「当該被扶養者に係る保険給付」と読み替えるものとする。
(健康保険法 第百二十二条)
第百二十二条が準用しているのは第百十六条・第百十七条・第百十八条第一項・第百十九条の4つです。
逆に、被保険者が施設に収容・拘禁されたときの扱いには、被扶養者を守る項が置かれています。
保険者は、被保険者又は被保険者であった者が前項各号のいずれかに該当する場合であっても、被扶養者に係る保険給付を行うことを妨げない。
(健康保険法 第百十八条第二項)
第百十八条第二項は被扶養者に係る保険給付を妨げないです。
保険者が文書の提出や受診を求められる相手にも、被扶養者が入っています。
保険者は、保険給付に関して必要があると認めるときは、保険給付を受ける者(当該保険給付が被扶養者に係るものである場合には、当該被扶養者を含む。第百二十一条において同じ。)に対し、文書その他の物件の提出若しくは提示を命じ、又は当該職員に質問若しくは診断をさせることができる。
(健康保険法 第五十九条)
第五十九条の括弧が「当該被扶養者を含む」と書いているとおりです。
被扶養者の資格の確かめ方=第3条第12項・第13項と第51条の3
窓口で資格をどう確かめるかも、同じ第三条が定義しています。
この法律において「被保険者等記号・番号」とは、保険者が被保険者又は被扶養者の資格を管理するための記号、番号その他の符号として、被保険者又は被扶養者ごとに定めるものをいう。
(健康保険法 第三条第十二項)
記号・番号は、被保険者と被扶養者のそれぞれについて定めるものとされています。
被保険者又は被扶養者の資格に係る情報(保険給付に係る費用の請求に必要な情報を含む。)の照会を行い
(健康保険法 第三条第十三項)
電子資格確認の定義にも被保険者又は被扶養者と並んでいます。
電子資格確認を受けられない状況のための条文が、第五十一条の三です。
被保険者又はその被扶養者が電子資格確認を受けることができない状況にあるときは、当該被保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、保険者に対し、当該状況にある被保険者若しくはその被扶養者の資格に係る情報として厚生労働省令で定める事項を記載した書面の交付又は当該事項の電磁的方法
(健康保険法 第五十一条の三第一項)
請求できるのは被保険者で、対象には被扶養者の資格の情報も入ります。
交付を受けた書面を提示して確認を受けられることは、第二項が定めています。
当該書面又は当該事項を厚生労働省令で定める方法により表示したものを提示することにより
(健康保険法 第五十一条の三第二項)
退職後に自分で健康保険を続ける道は、健康保険の任意継続と「20日以内」を条文で確かめた記事で確かめています。↓

被扶養者と保健事業・保険料率=第150条と第160条第4項
保険者が行う事業の相手にも、被扶養者が入っています。
健康教育、健康相談及び健康診査並びに健康管理及び疾病の予防に係る被保険者及びその被扶養者(以下この条において「被保険者等」という。)の自助努力についての支援その他の被保険者等の健康の保持増進のために必要な事業を行うように努めなければならない
(健康保険法 第百五十条第一項)
第百五十条は被保険者とその被扶養者をまとめて「被保険者等」と呼んでいます。
療養や出産のための資金の貸付けなども、第五項でこの「被保険者等」を相手にしています。
保険者は、被保険者等の療養のために必要な費用に係る資金若しくは用具の貸付けその他の被保険者等の療養若しくは療養環境の向上又は被保険者等の出産のために必要な費用に係る資金の貸付けその他の被保険者等の福祉の増進のために必要な事業を行うことができる。
(健康保険法 第百五十条第五項)
保険料率の調整にも、被扶養者の分布が出てきます。
支部被保険者及びその被扶養者の年齢階級別の分布状況と協会が管掌する健康保険の被保険者及びその被扶養者の年齢階級別の分布状況との差異によって生ずる療養の給付等に要する費用の額の負担の不均衡
(健康保険法 第百六十条第四項)
第百六十条第四項は、年齢階級別の分布の差で生じる不均衡を是正するための調整を定めています。
被扶養者が何人いるかで保険料の額が変わる、という書き方は条文にはありません。
被扶養者に第三者の行為で給付事由が生じたとき=第57条の損害賠償請求権
交通事故などで保険給付が行われたときの条文にも、被扶養者が名指しされています。
保険給付を受ける権利を有する者(当該給付事由が被保険者の被扶養者について生じた場合には、当該被扶養者を含む。次項において同じ。)が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する
(健康保険法 第五十七条第一項)
保険者が取得するのは損害賠償の請求権で、給付の価額が限度です。
第二項は、先に第三者から損害賠償を受けた場合の順番を決めています。
前項の場合において、保険給付を受ける権利を有する者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、保険者は、その価額の限度において、保険給付を行う責めを免れる。
(健康保険法 第五十七条第二項)
戸籍の無料証明についても、被扶養者に広げる項があります。
前項の規定は、被扶養者に係る保険給付を行う場合においては、被扶養者又は被扶養者であった者の戸籍について準用する。
(健康保険法 第百九十六条第二項)
第百九十六条第二項が、第一項を被扶養者又は被扶養者であった者の戸籍について準用しています。
被扶養者についてよくある質問
- 被扶養者に入れられる親族の範囲はどこまでですか?
-
第三条第七項第一号が直系尊属・配偶者・子・孫・兄弟姉妹を、第二号が三親等内の親族で第一号以外のものを挙げています。
第三号と第四号は、届出をしていない配偶者の父母及び子を挙げています。
- 同居していなくても被扶養者になれますか?
-
第一号に並ぶ直系尊属・配偶者・子・孫・兄弟姉妹の文には、同一の世帯に属することという条件が書かれていません。
第二号から第四号までには、同一の世帯に属することが条件として入ります。
- 被扶養者の収入はいくらまでと条文にありますか?
-
第三条第七項の各号の言葉は「主としてその被保険者により生計を維持するもの」で、金額は書かれていません。
- 海外に住む家族を被扶養者にできますか?
-
第三条第七項の柱書は、原則として日本国内に住所を有するものと定めています。
例外として名指しされているのは、外国において留学をする学生その他厚生労働省令で定めるものです。
- 事実婚の相手の子を被扶養者にできますか?
-
第三号が、届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある配偶者の父母及び子を挙げています。
条件は、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持することです。
- 被扶養者が病院にかかったとき何が出ますか?
-
第百十条第一項が、家族療養費を被保険者に対し支給すると定めています。
指定訪問看護は第百十一条、移送は第百十二条、死亡は第百十三条、出産は第百十四条です。
- 被保険者が刑事施設に拘禁されたら被扶養者の給付も止まりますか?
-
第百十八条第二項は、被保険者が同条第一項各号に該当する場合であっても、被扶養者に係る保険給付を行うことを妨げないと定めています。
- 後期高齢者医療の被保険者は被扶養者になれますか?
-
第三条第七項のただし書が、後期高齢者医療の被保険者等である者その他厚生労働省令で定める者はこの限りでないと定めています。
被扶養者を条文で確かめた結果の一覧
- 定義は健康保険法第三条第七項で、第一号から第四号までの4つの列挙
- 第一号=直系尊属・配偶者・子・孫・兄弟姉妹(同一の世帯の条件は書かれていない)
- 第二号=三親等内の親族で第一号以外のもの(同一の世帯が必要)
- 第三号・第四号=届出をしていない配偶者の父母及び子(同一の世帯が必要)
- 4つの号に共通する条件は「主としてその被保険者により生計を維持するもの」で、金額は条文にない
- 柱書の原則は日本国内に住所、名指しの例外は外国において留学をする学生
- ただし書で外れるのは後期高齢者医療の被保険者等である者その他省令で定める者
- 給付は家族療養費(第百十条)・家族訪問看護療養費(第百十一条)・家族移送費(第百十二条)・家族埋葬料(第百十三条)・家族出産育児一時金(第百十四条)
- 給付を行わない場合の準用は第百二十二条、被保険者の収容・拘禁の影響は第百十八条第二項が切り離している
家族を入れられるかを確かめるときは、親族の種類・生計の維持・同一の世帯・日本国内の住所の4点を条文の言葉に当てて読む形になります。
金額の線や省令に預けられた部分の当てはめは、加入している健康保険組合か全国健康保険協会の窓口に確かめる領域です。
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参考文献
- 健康保険法(e-Gov法令検索・デジタル庁)
条文の確認日は2026年10月9日です。

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