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介護休業は何日取れるのか──育児介護休業法11条の「九十三日」と3回の分割を条文で確かめた

育児介護休業法11条が定める介護休業の日数(対象家族1人につき93日・3回まで分割)と、雇用保険法の給付率が本則40%・附則12条で67%になる関係を条文で確かめた記事のアイキャッチ
育児介護休業法11条が定める介護休業の日数(対象家族1人につき93日・3回まで分割)と、雇用保険法の給付率が本則40%・附則12条で67%になる関係を条文で確かめた記事のアイキャッチ

介護休業が何日取れるのかは、会社の制度ではなく法律が決めています。

数字は条文の中にそのまま置かれています。

この記事で確かめるのは、その日数がどの条のどこに出てくるのかだけです。

パンフレットも、人事の説明も、体験談も使いません。

使うのは、e-Gov法令検索が配信している育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律と、雇用保険法の本文だけです。

先に結論を書きます。

答えは対象家族1人につき通算93日で、3回まで分けられます。

条文の確認日は2026年9月26日です。

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介護休業が何日取れるかの答え=対象家族1人につき93日

日数の数字は、第十一条第二項の第二号に入っています。

条文は「何日まで取れる」という書き方をしていません。

「この場合はもう申し出られない」という書き方です。

前項の規定にかかわらず、介護休業をしたことがある労働者は、当該介護休業に係る対象家族が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該対象家族については、同項の規定による申出をすることができない。

一 当該対象家族について三回の介護休業をした場合

二 当該対象家族について介護休業をした日数(介護休業を開始した日から介護休業を終了した日までの日数とし、二回以上の介護休業をした場合にあっては、介護休業ごとに、当該介護休業を開始した日から当該介護休業を終了した日までの日数を合算して得た日数とする。第十五条第一項において「介護休業日数」という。)が九十三日に達している場合

上限は2つ同時にかかっています。

条文の号上限数え方
第一号三回同じ対象家族についての回数
第二号九十三日各回の開始日から終了日までの日数を合算

注意したいのは、九十三日の数え方です。

条文が言っているのは開始した日から終了した日までの日数の合算になります。

休業の途中にある土日や祝日も、この日数に入ります。

労働日だけを数える書き方は、この条文にはありません。

介護休業を3回まで分けられる根拠=第十一条第二項第一号

分割できるかどうかは、同じ第二項の第一号が決めています。

三回の介護休業をした場合は、もう申し出られません。

裏返すと、三回目までは分けて取れます。

回数と日数の関係(第十一条第二項)
  • 1回目に30日取った=残り63日・残り2回
  • 2回目に60日取った=残り3日・残り1回
  • 3回目に3日取った=どちらの上限にも達して終わり
  • 1回で93日を使い切った=回数が残っていても申し出られない

2つの上限は、どちらかに達した時点で止まります。

回数が残っていても日数が尽きれば終わりです。

なお、上限は対象家族1人ごとに数えます。

父について93日を使い切っても、母についてはまた93日からの出発です。

条文が「当該対象家族については」と限定しているためです。

親を2人とも介護する場合は、合計で186日まで休める計算になります。

回数も、それぞれに三回ずつ残っています。

条文が合算を求めているのは、あくまで同じ対象家族についての休業だけです。

介護休業の期間が終わる日の決まり方=第十五条

実際に休める期間の長さは、第十五条第一項が計算しています。

介護休業申出をした労働者がその期間中は介護休業をすることができる期間(以下「介護休業期間」という。)は、当該介護休業申出に係る介護休業開始予定日とされた日から介護休業終了予定日とされた日(その日が当該介護休業開始予定日とされた日から起算して九十三日から当該労働者の当該介護休業申出に係る対象家族についての介護休業日数を差し引いた日数を経過する日より後の日であるときは、当該経過する日。第三項において同じ。)までの間とする。

かっこの中が、この条文の本体です。

九十三日から、すでに使った介護休業日数を引きます。

その残りを超える日を終了予定日にしても、条文の側で切り詰められます。

申し出の書き方で93日を超えることはできないという形です。

すでに使った日数残る日数終了予定日を長く書いた場合
0日93日93日を経過する日で終わる
30日63日63日を経過する日で終わる
90日3日3日を経過する日で終わる

介護休業を申し出られる人の範囲=有期雇用の条件

誰が申し出られるのかは、第十一条第一項にあります。

労働者は、その事業主に申し出ることにより、介護休業をすることができる。

ただし、期間を定めて雇用される者にあっては、第三項に規定する介護休業開始予定日から起算して九十三日を経過する日から六月を経過する日までに、その労働契約が満了することが明らかでない者に限り、当該申出をすることができる。

原則は「労働者は」で始まっています。

正社員かどうかで分ける書き方は、本文にはありません。

条件が付いているのは、期間を定めて雇用される人だけです。

その条件は93日を経過する日から6か月を経過する日までに契約が満了することが明らかでないことになります。

見るのは「明らかかどうか」であって、更新される保証があるかどうかではありません。

条文が二重否定で書いているぶん、対象は広くなっています。

介護休業の対象家族に入る人

誰の介護なら休めるのかは、第二条第四号が定義しています。

四 対象家族配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)、父母及び子(これらの者に準ずる者として厚生労働省令で定めるものを含む。)並びに配偶者の父母をいう。

条文が並べているのは4つです。

対象家族(第二条第四号)
  • 配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)
  • 父母
  • 子
  • 配偶者の父母

祖父母・兄弟姉妹・孫は出てきません。

同じ条の第三号は、要介護状態の定義を置いています。

三 要介護状態負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、厚生労働省令で定める期間にわたり常時介護を必要とする状態をいう。

介護保険の要介護認定を条件にする書き方は、この定義にありません。

条文が見ているのは、常時介護を必要とする状態かどうかです。

介護休業が途中で終わる2つの事情

予定より早く終わる場合も、条文に書き込まれています。

第十五条第三項です。

一 介護休業終了予定日とされた日の前日までに、対象家族の死亡その他の労働者が介護休業申出に係る対象家族を介護しないこととなった事由として厚生労働省令で定める事由が生じたこと。

二 介護休業終了予定日とされた日までに、介護休業申出をした労働者について、労働基準法第六十五条第一項若しくは第二項の規定により休業する期間、育児休業期間、出生時育児休業期間又は新たな介護休業期間が始まったこと。

1つ目は、介護する相手がいなくなった場合です。

2つ目は、別の休業が始まった場合になります。

産前産後休業・育児休業・出生時育児休業と重なることはありません。

同時に2つの休業を取る形にはならないという整理です。

介護休業給付金の本則は百分の四十

休んでいる間のお金は、雇用保険法の側にあります。

率を決めているのは第六十一条の四第四項です。

長い条文ですが、率が出てくるのは末尾の1か所だけになります。

介護休業給付金の額は、一支給単位期間について、介護休業給付金の支給を受けることができる被保険者を受給資格者と、当該被保険者が当該介護休業給付金の支給に係る介護休業を開始した日の前日を受給資格に係る離職の日とみなして第十七条の規定を適用した場合に算定されることとなる賃金日額に相当する額(次項において「休業開始時賃金日額」という。)に次の各号に掲げる支給単位期間の区分に応じて当該各号に定める日数(次項において「支給日数」という。)を乗じて得た額の百分の四十に相当する額とする。

本則に書いてある率は百分の四十です。

計算の形は、休業開始時賃金日額に支給日数を掛けて、その40%になります。

条文の言葉中身
休業開始時賃金日額休業開始前の賃金から計算した1日あたりの額
支給日数原則は三十日(終了月はその月の実日数)
百分の四十本則の給付率

介護休業給付金が67%になる根拠=附則第十二条

案内でよく見る67%は、本則の条文には出てきません。

出どころは附則です。

第十二条介護休業を開始した被保険者に対する第六十一条の四第四項の規定の適用については、当分の間、同項中「百分の四十」とあるのは、「百分の六十七」とする。

読み替えの規定です。

期限は日付ではなく当分の間と書かれた形になっています。

どこ率性格
第六十一条の四第四項(本則)百分の四十恒久の規定
附則第十二条百分の六十七当分の間の読み替え

67%は暫定措置の数字です。

条文の側に終了の日付が入っていないため、いつまで続くかは本文からは読み取れません。

介護休業給付金をもらうための12か月の条件

率の前に、そもそも支給されるかどうかの条件があります。

第六十一条の四第一項の末尾です。

(当該介護休業を開始した日前二年間に疾病、負傷その他厚生労働省令で定める理由により引き続き三十日以上賃金の支払を受けることができなかつた被保険者については、当該理由により賃金の支払を受けることができなかつた日数を二年に加算した期間(その期間が四年を超えるときは、四年間))に、みなし被保険者期間が通算して十二箇月以上であつたときに、支給単位期間について支給する。

条件は、休業を開始した日の前2年間に、みなし被保険者期間が通算12か月以上あることです。

病気などで30日以上賃金を受けられなかった期間があるときは、その日数を2年に足せる形です。

足せる上限は4年間とかっこの中に置かれています。

なお第三項が、支給単位期間を3か月までと区切っています。

93日の休業のうち、給付金の対象になるのはこの範囲です。

介護休業の申出を会社が拒めない根拠=第十二条第一項

申し出たあとに会社が断れるのかは、第十二条第一項が1文で決めています。

事業主は、労働者からの介護休業申出があったときは、当該介護休業申出を拒むことができない。

条件も例外も付いていない、短い条文です。

拒むことができない、と言い切っています。

承認・許可という言葉は、この条のどこにも出てきません。

さらに第十六条が、申し出たこと自体への報復を止めています。

事業主は、労働者が介護休業申出をし、又は介護休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

禁じられているのは解雇だけではありません。

条文は解雇その他不利益な取扱いと広く書いています。

減給・降格・契約を更新しないことも、この文言の射程に入ります。

介護休業の開始日を会社がずらせる2週間の指定

会社の側に残されている手は、開始日の指定だけです。

第十二条第三項にあります。

事業主は、労働者からの介護休業申出があった場合において、当該介護休業申出に係る介護休業開始予定日とされた日が当該介護休業申出があった日の翌日から起算して二週間を経過する日(以下この項において「二週間経過日」という。)前の日であるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該介護休業開始予定日とされた日から当該二週間経過日までの間のいずれかの日を当該介護休業開始予定日として指定することができる。

動かせる幅は、申出の翌日から数えて2週間までです。

申し出た日希望した開始日会社が指定できる範囲
4月1日4月3日4月3日から4月15日までのいずれかの日
4月1日4月20日指定できない(2週間より先のため)

2週間より先の日を希望していれば、会社が動かす余地はありません。

ずらせるのは開始日だけで、拒否や短縮はできないという作りです。

介護休業とは別枠の介護休暇=年5労働日

短い休みには、別の制度が用意されています。

第十六条の五第一項の介護休暇です。

要介護状態にある対象家族の介護その他の厚生労働省令で定める世話を行う労働者は、その事業主に申し出ることにより、一の年度において五労働日(要介護状態にある対象家族が二人以上の場合にあっては、十労働日)を限度として、当該世話を行うための休暇(以下「介護休暇」という。)を取得することができる。

こちらは九十三日とは別の枠になります。

制度上限数え方根拠
介護休業対象家族1人につき九十三日・三回暦の日数第十一条第二項
介護休暇一の年度に五労働日(2人以上なら十労働日)労働日第十六条の五第一項

介護休暇の上限は、暦の日ではなく労働日での数え方になります。

対象家族が2人以上いる場合は、十労働日まで増えるのが特徴です。

年度の区切りは第四項が置いています。

事業主が別段の定めをしない限り、4月1日から翌年3月31日までです。

介護休業給付金の支給単位期間が93日とずれる理由

休業の上限は93日ですが、給付の計算はそれと同じ区切りではありません。

第六十一条の四第三項が、支給単位期間を定義しています。

この条において「支給単位期間」とは、介護休業をした期間(当該介護休業を開始した日から起算して三月を経過する日までの期間に限る。)を、当該介護休業を開始した日又は各月においてその日に応当し、かつ、当該介護休業をした期間内にある日(その日に応当する日がない月においては、その月の末日。以下この項及び次項第二号において「休業開始応当日」という。)から各翌月の休業開始応当日の前日(当該介護休業を終了した日の属する月にあつては、当該介護休業を終了した日)までの各期間に区分した場合における当該区分による一の期間をいう。

かっこの中に「三月を経過する日までの期間に限る」と入っています。

休める上限は93日、給付の対象は3か月という書き分けです。

制度上限根拠
休業できる期間通算九十三日育児介護休業法 第十一条第二項第二号
給付金の対象になる期間開始日から三月を経過する日まで雇用保険法 第六十一条の四第三項

月の長さによっては、93日と3か月が1日から2日ずれます。

休めた日と給付の出る日が必ず一致するとは限らない、というのが条文からの読み方です。

また、支給日数は原則が三十日と第四項第一号に置かれています。

終了した月だけは、その月の実日数で計算する形です。

この区切り方は、月給の締め日とも会社の給与計算とも関係しません。

基準になるのは、あくまで休業を開始した日です。

介護休業と近い制度の見分け方
  • 介護休業=要介護状態の対象家族を介護するための休業(第二条第二号)
  • 介護休暇=介護その他の世話を行うための休暇(第十六条の五第一項)
  • 育児休業=子を養育するためにする休業(第二条第一号)

3つはどれも同じ法律の中にありますが、上限も数え方も別々です。

条文の側で用語が定義されているため、名前の似た制度を取り違えることはありません。

介護と同じく、家族の事情で休む制度には育児休業があります。

その間のお金の計算は、育児休業給付金の67%を条文で確かめた記事で計算しました。↓

休業の間の社会保険の扱いを知りたい場合は、別の条文を見ることになります。

加入が続くかどうかは、雇用保険の加入条件を条文で確かめた記事が対応します。↓

介護休業について、条文から確かめられなかったこと

この記事で扱ったのは、条文に書いてあることだけです。

読んでも出てこなかったものを並べます。

条文に書かれていないこと
  • 常時介護を必要とする状態かどうかの具体的な判断の物差し
  • 介護休業中に会社が賃金を払う義務があるかどうか
  • 介護休業給付金の申請書の書き方と提出先の窓口
  • 附則第十二条の「当分の間」がいつ終わるのか
  • 祖父母や兄弟姉妹を介護する場合の休み方

以上は条文の本体に出てきません。

個別の事情に当てはめた判断は、都道府県労働局またはハローワークの領域です。

介護休業についてよくある質問

介護休業は対象家族ごとに何日取れますか?

育児介護休業法第十一条第二項第二号が、通算して九十三日に達した場合は申し出られないと定めています。

上限は対象家族1人ごとに数えます。

介護休業を分けて取ることはできますか?

同じ第二項の第一号が、三回の介護休業をした場合は申し出られないとしています。

三回目までは分けられます。

契約社員でも介護休業を申し出られますか?

第十一条第一項のただし書きが条件を置いています。

介護休業開始予定日から九十三日を経過する日から六月を経過する日までに労働契約が満了することが明らかでない人に限られます。

介護休業給付金の率は67%ではないのですか?

雇用保険法第六十一条の四第四項の本則は百分の四十です。

六十七パーセントは附則第十二条が「当分の間」として置いている読み替えの数字になります。

九十三日は土日を除いて数えますか?

第十一条第二項第二号は、介護休業を開始した日から終了した日までの日数と定義しています。

労働日だけを数えるという書き方はありません。

介護休業を条文で確かめた結果の一覧

条文だけで確かめられたことを並べます。

条文で確かめた結果
  • 上限は対象家族1人につき通算九十三日と三回の2つ(第十一条第二項)
  • 九十三日は開始日から終了日までの暦の日数を合算して数える
  • 申し出の書き方で九十三日を超えても、第十五条第一項が切り詰める
  • 有期雇用の条件は「契約の満了が明らかでないこと」(第十一条第一項ただし書)
  • 対象家族は配偶者・父母・子・配偶者の父母の4つ(第二条第四号)
  • 対象家族の死亡や別の休業の開始で、期間は途中で終わる(第十五条第三項)
  • 給付金の本則は百分の四十(雇用保険法第六十一条の四第四項)
  • 六十七パーセントは附則第十二条の「当分の間」の読み替え
  • 給付には休業開始前2年間にみなし被保険者期間12か月以上が要る

条文を読むときの軸は、日数よりどの上限に先に当たるかです。

回数と日数のどちらかが尽きた時点で、申し出はできなくなります。


あわせて読みたい

休んだ期間の賃金がどう扱われるかは、休業手当の6割を条文で確かめた記事が近い論点です。↓

参考文献

この記事で使った一次資料

条文の確認日は2026年9月26日です。

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