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賃金台帳には何を書くのか──労働基準法108条と労働基準法施行規則54条の「賃金計算の基礎となる事項」を条文で確かめた

賃金台帳には何を書くのか──労働基準法108条と労働基準法施行規則54条の「賃金計算の基礎となる事項」を条文で確かめた
賃金台帳には何を書くのか──労働基準法108条と労働基準法施行規則54条の「賃金計算の基礎となる事項」を条文で確かめた

残業代が合っているかを後から確かめたいとき、手がかりになるのが会社が作る賃金台帳です。

給与明細は毎月手元に来ますが、労働時間数や延長時間数まで1人分そろって残る帳簿は別にあります。

この記事は、その帳簿に何を書くことになっているのかを、労働基準法と施行規則の言葉だけで確かめます。

条文の確認日は2026年10月9日です。

結論から書くと、記入する事項は施行規則54条1項の8つの号で決まっています。

「給与明細と同じもの」ではなく、労働日数・労働時間数・延長時間数まで入る帳簿として条文に置かれています。

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賃金台帳を作る義務の条文=労働基準法第108条の「各事業場ごとに」

出発点は、労働基準法の第百八条です。

見出しがそのまま「賃金台帳」になっている1項だけの条文になります。

使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。

(労働基準法 第百八条)

主語は使用者で、作る単位は「各事業場ごとに」です。

会社単位ではなく事業場単位で調製する書き方になっています。

記入の時期も条文にあり、賃金支払の都度遅滞なくと書いてあります。

年に1回まとめて作る、という形は、この言葉には合いません。

記入する中身は、条文が3つに分けています。

「賃金計算の基礎となる事項」と「賃金の額」、そして「その他厚生労働省令で定める事項」です。

つまり具体的な項目は省令に預けられているという構造になります。

賃金台帳に記入する事項=労働基準法施行規則第54条第1項の8つの号

第百八条が預けた「厚生労働省令で定める事項」の中身が、施行規則の第五十四条第一項です。

使用者は、法第百八条の規定によつて、次に掲げる事項を労働者各人別に賃金台帳に記入しなければならない。

(労働基準法施行規則 第五十四条第一項)

ここで押さえたいのは労働者各人別にという言葉です。

事業場全体の集計表ではなく、1人ごとの欄を作る形になります。

続く各号が、記入する事項の並びです。

氏名

(労働基準法施行規則 第五十四条第一項第一号)

性別

(労働基準法施行規則 第五十四条第一項第二号)

賃金計算期間

(労働基準法施行規則 第五十四条第一項第三号)

労働日数

(労働基準法施行規則 第五十四条第一項第四号)

号記入する事項条文の言葉
第一号氏名氏名
第二号性別性別
第三号賃金計算期間賃金計算期間
第四号労働日数労働日数
第五号労働時間数労働時間数
第六号延長時間数・休日労働時間数・深夜労働時間数その延長時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数
第七号賃金の種類ごとの額基本給、手当その他賃金の種類毎にその額
第八号控除した額賃金の一部を控除した場合には、その額

第一号から第四号までは、人を特定する事項と期間・日数です。

第五号から第八号までが、時間と金額の中身になります。

8つの号のどこにも「振込先」や「住所」という言葉は入っていないのが条文の並びです。

賃金台帳の労働時間の欄=労働基準法施行規則第54条第1項第5号・第6号

残業代を確かめるときに効くのが、第五号と第六号です。

まず第五号が、労働時間数そのものを記入する号になります。

労働時間数

(労働基準法施行規則 第五十四条第一項第五号)

次の第六号は、どういう働き方をした時間を分けて書くかを決めています。

法第三十三条若しくは法第三十六条第一項の規定によつて労働時間を延長し、若しくは休日に労働させた場合又は午後十時から午前五時(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時)までの間に労働させた場合には、その延長時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数

(労働基準法施行規則 第五十四条第一項第六号)

第六号は延長・休日・深夜の3つに分けて記入する書き方です。

深夜の時間帯も号の中に書いてあり、午後十時から午前五時までが原則になります。

厚生労働大臣が必要と認めた地域・期間については、午後十一時から午前六時までです。

第六号の労働時間数の数え方には、第二項が置かれています。

前項第六号の労働時間数は当該事業場の就業規則において法の規定に異なる所定労働時間又は休日の定をした場合には、その就業規則に基いて算定する労働時間数を以てこれに代えることができる。

(労働基準法施行規則 第五十四条第二項)

就業規則で法と違う所定労働時間や休日を定めた事業場は、その就業規則に基づいて算定した労働時間数に代えられるという定めです。

延長・休日・深夜にかかる率そのものは、割増賃金の率を労働基準法37条と政令で確かめた記事で時間外・休日・深夜ごとに並べています。↓

賃金台帳の金額の欄=労働基準法施行規則第54条第1項第7号・第8号と第3項

金額を書く欄は、第七号と第八号の2つに分かれています。

第七号は、支払う側の内訳です。

基本給、手当その他賃金の種類毎にその額

(労働基準法施行規則 第五十四条第一項第七号)

「賃金の種類毎にその額」なので、基本給と各手当を分けて書く形になります。

第八号は、引いた側です。

法第二十四条第一項の規定によつて賃金の一部を控除した場合には、その額

(労働基準法施行規則 第五十四条第一項第八号)

第八号が指している法第二十四条第一項は、賃金支払の原則を置いた条文になります。

賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。

(労働基準法 第二十四条第一項)

全額払いの原則があるため、控除したときはその額を帳簿に残す並びです。

通貨以外のもので払った賃金については、評価総額を記入するという第三項があります。

第一項第七号の賃金の種類中に通貨以外のもので支払われる賃金がある場合には、その評価総額を記入しなければならない。

(労働基準法施行規則 第五十四条第三項)

通貨払い・全額払いを含む5つの原則は、賃金支払の5原則を労働基準法24条で確かめた記事で1つずつ並べています。↓

賃金台帳で記入しなくてよい欄がある労働者=労働基準法施行規則第54条第5項

8つの号のうち、記入を要しない欄が置かれている労働者もいます。

根拠は第五項です。

法第四十一条各号のいずれかに該当する労働者及び法第四十一条の二第一項の規定により労働させる労働者については第一項第五号及び第六号は、これを記入することを要しない。

(労働基準法施行規則 第五十四条第五項)

外れるのは第五号と第六号=労働時間の欄だけです。

氏名・賃金計算期間・賃金の額などの欄は外れていません。

ここで引かれている法第四十一条は、労働時間・休憩・休日の規定を外す条文になります。

この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。

(労働基準法 第四十一条)

事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者

(労働基準法 第四十一条第二号)

もう1つ引かれている法第四十一条の二第一項は、いわゆる高度プロフェッショナル制度の条文です。

この章で定める労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定は、対象労働者については適用しない

(労働基準法 第四十一条の二第一項)

労働者の区分記入を要しない号根拠
法第四十一条各号のいずれかに該当する労働者第五号・第六号施行規則第五十四条第五項
法第四十一条の二第一項により労働させる労働者第五号・第六号施行規則第五十四条第五項
日々雇い入れられる者(一箇月を超えて引続き使用される者を除く)第三号施行規則第五十四条第四項
上記以外の労働者なし(第一号から第八号まで全部)施行規則第五十四条第一項

第四項が外しているのは、日々雇い入れられる者の第三号(賃金計算期間)です。

日々雇い入れられる者(一箇月を超えて引続き使用される者を除く。)については、第一項第三号は記入するを要しない。

(労働基準法施行規則 第五十四条第四項)

条文が外しているのはこの3通りだけで、ほかの区分は並んでいません。

第四十一条第二号の「監督若しくは管理の地位にある者」の線は、管理監督者に残業代は出ないのかを労働基準法41条で確かめた記事で条文の言葉から確かめています。↓

賃金台帳の様式=労働基準法施行規則第55条の様式第20号・第21号

帳簿の形も省令で決まっています。

第五十五条が、どの様式で調製するかを分けている条文です。

法第百八条の規定による賃金台帳は、常時使用される労働者(一箇月を超えて引続き使用される日々雇い入れられる者を含む。)については様式第二十号日々雇い入れられる者(一箇月を超えて引続き使用される者を除く。)については様式第二十一号によつて、これを調製しなければならない。

(労働基準法施行規則 第五十五条)

分かれ目は常時使用されるかどうかの1点です。

1か月を超えて引き続き使用される日々雇い入れられる者は、常時使用される労働者の側に含める書き方になっています。

労働者の区分様式根拠
常時使用される労働者様式第二十号施行規則第五十五条
一箇月を超えて引続き使用される日々雇い入れられる者様式第二十号施行規則第五十五条
日々雇い入れられる者(一箇月を超えて引続き使用される者を除く)様式第二十一号施行規則第五十五条

第五十四条第四項が第三号(賃金計算期間)を外していたのも、この様式第二十一号の側の労働者です。

様式の分かれ方と、記入を要しない号の分かれ方が同じ線で引かれていることになります。

賃金台帳と労働者名簿・年次有給休暇管理簿の「あわせて調製」=労働基準法施行規則第55条の2

3つの帳簿を1つの書類にできる、という条文も置かれています。

使用者は、年次有給休暇管理簿、第五十三条による労働者名簿又は第五十五条による賃金台帳をあわせて調製することができる。

(労働基準法施行規則 第五十五条の二)

「できる」と書かれた条文なので、別々に作る形も残る並びです。

ここに出てくる労働者名簿の根拠は、法第百七条です。

使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者(日日雇い入れられる者を除く。)について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない。

(労働基準法 第百七条第一項)

名簿に記入する事項は、施行規則第五十三条第一項が並べています。

法第百七条第一項の労働者名簿(様式第十九号)に記入しなければならない事項は、同条同項に規定するもののほか、次に掲げるものとする。

(労働基準法施行規則 第五十三条第一項)

年次有給休暇管理簿の根拠は、施行規則第二十四条の七です。

使用者は、法第三十九条第五項から第七項までの規定により有給休暇を与えたときは、時季、日数及び基準日(第一基準日及び第二基準日を含む。)を労働者ごとに明らかにした書類(第五十五条の二及び第五十六条第三項において「年次有給休暇管理簿」という。)を作成し、当該有給休暇を与えた期間中及び当該期間の満了後五年間保存しなければならない。

(労働基準法施行規則 第二十四条の七)

帳簿作る義務の条文記入事項の条文様式
賃金台帳法第百八条施行規則第五十四条第一項様式第二十号・第二十一号
労働者名簿法第百七条第一項施行規則第五十三条第一項様式第十九号
年次有給休暇管理簿施行規則第二十四条の七施行規則第二十四条の七(時季・日数・基準日)条文に様式の定めなし

3つは根拠の条文が別で、あわせて調製できるのは第五十五条の二があるからという順番になります。

賃金台帳の保存期間=労働基準法第109条の「五年間」と附則第143条第1項の「三年間」

作った帳簿をいつまで持っておくかは、第百九条です。

使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。

(労働基準法 第百九条)

条文の本文の数字は五年間です。

ただし、この条文の適用には附則が置かれています。

第百九条の規定の適用については、当分の間、同条中「五年間」とあるのは、「三年間」とする。

(労働基準法 第百四十三条第一項)

「当分の間」は「五年間」を「三年間」と読み替える、という定めになります。

読み替えの期限は条文に書かれておらず、「当分の間」という言葉のままです。

条文条文の数字附則第143条第1項の読み替え
法第百九条五年間当分の間「三年間」
法第百十四条ただし書(付加金の請求期間)五年当分の間「三年」(附則第百四十三条第二項)
法第百十五条(賃金の請求権の時効)五年間当分の間「三年間」(附則第百四十三条第三項・退職手当を除く)

保存期間・付加金・時効の3つが同じ附則で五年から三年へ読み替えられている並びです。

時効の側の読み替えは、残業代の時効を労働基準法115条と附則143条3項で確かめた記事で条文の言葉から確かめています。↓

賃金台帳の保存期間の起算日=労働基準法施行規則第56条第1項第2号の「最後の記入をした日」

何年間かが決まっても、どこから数えるかは別の条文です。

施行規則第五十六条第一項が、書類ごとの起算日を並べています。

法第百九条の規定による記録を保存すべき期間の計算についての起算日は次のとおりとする。

(労働基準法施行規則 第五十六条第一項)

賃金台帳については、最後の記入をした日

(労働基準法施行規則 第五十六条第一項第二号)

賃金台帳の起算日は最後の記入をした日です。

退職の日ではなく、記入のほうを基準にする書き方になっています。

さらに、支払期日が後ろにずれる場合の定めも第二項に置かれています。

前項の規定にかかわらず、賃金台帳又は賃金その他労働関係に関する重要な書類を保存すべき期間の計算については、当該記録に係る賃金の支払期日が同項第二号又は第五号に掲げる日より遅い場合には、当該支払期日を起算日とする。

(労働基準法施行規則 第五十六条第二項)

書類起算日根拠
労働者名簿労働者の死亡、退職又は解雇の日施行規則第五十六条第一項第一号
賃金台帳最後の記入をした日施行規則第五十六条第一項第二号
雇入れ又は退職に関する書類労働者の退職又は死亡の日施行規則第五十六条第一項第三号
災害補償に関する書類災害補償を終わつた日施行規則第五十六条第一項第四号
賃金その他労働関係に関する重要な書類その完結の日施行規則第五十六条第一項第五号
賃金台帳(支払期日が後の場合)当該支払期日施行規則第五十六条第二項

第二項は、第二号または第五号の日より賃金の支払期日が遅いときに、その支払期日を起算日に置き換える定めです。

最後の記入より支払期日が後ろにある月があると、起算日はそちらへ動きます。

賃金台帳を作らないときの罰=労働基準法第120条第1号の「三十万円以下の罰金」

第百八条と第百九条には、罰則の条文もつながっています。

次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。

(労働基準法 第百二十条)

どの条文の違反が入るかは、第一号の列挙の中にあります。

第百六条から第百九条までの規定に違反した者

(労働基準法 第百二十条第一号)

第百八条(賃金台帳)と第百九条(記録の保存)は、この第一号の範囲に入る並びです。

帳簿の提出を求める権限の側も条文にあります。

労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる。

(労働基準法 第百一条第一項)

虚偽の記載をした帳簿書類を出した場合は、同じ第百二十条の第四号に書かれています。

帳簿書類の提出をせず、又は虚偽の記載をした帳簿書類の提出をした者

(労働基準法 第百二十条第四号)

作らない・保存しないと第一号、虚偽の記載だと第四号という分かれ方です。

賃金台帳を労働者の側から確かめるときの条文=労働基準法第104条と第106条

賃金台帳そのものを労働者に見せる義務は、第百八条にも第五十四条にも書かれていません。

周知の義務を置いた第百六条第一項の列挙にも、賃金台帳という言葉は入っていません。

使用者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨、就業規則、第十八条第二項、第二十四条第一項ただし書、第三十二条の二第一項、第三十二条の三第一項、第三十二条の四第一項、第三十二条の五第一項、第三十四条第二項ただし書、第三十六条第一項、第三十七条第三項、第三十八条の二第二項、第三十八条の三第一項並びに第三十九条第四項、第六項及び第九項ただし書に規定する協定並びに第三十八条の四第一項及び同条第五項(第四十一条の二第三項において準用する場合を含む。)並びに第四十一条の二第一項に規定する決議を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない。

(労働基準法 第百六条第一項)

周知の対象は法令の要旨・就業規則・協定・決議です。

一方、違反する事実があるときに動かせる条文は、第百四条に置かれています。

事業場に、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。

(労働基準法 第百四条第一項)

使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならない。

(労働基準法 第百四条第二項)

第一項は労働者が申告できること、第二項は申告を理由とする不利益取扱いの禁止です。

帳簿を直接取り寄せる条文ではなく、監督機関を動かす側の条文という位置づけになります。

申告を受けた監督機関がどこまで動くかは、労働基準監督署への相談を労働基準法97条から105条で確かめた記事で権限ごとに並べています。↓

賃金台帳の記入事項と賃金の定義=労働基準法第11条の「名称の如何を問わず」

第七号の「賃金の種類毎にその額」を読むときに、賃金という言葉の範囲が効いてきます。

定義は第十一条です。

この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。

(労働基準法 第十一条)

労働の対償として払うものは名称を問わず賃金に当たります。

手当の名前が何であっても、第七号の「手当その他賃金の種類」の側に並ぶ形になります。

賃金台帳の欄対応する条文条文の言葉
賃金計算期間施行規則第五十四条第一項第三号賃金計算期間
基本給・各手当の額施行規則第五十四条第一項第七号基本給、手当その他賃金の種類毎にその額
現物で払った賃金施行規則第五十四条第三項その評価総額を記入しなければならない
控除額施行規則第五十四条第一項第八号賃金の一部を控除した場合には、その額
賃金の範囲法第十一条名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの

帳簿の欄と条文の言葉を1対1で突き合わせられるのが、この省令の作りです。

年で額を決める働き方でも台帳の欄が変わらない理由は、年俸制で残業代は出ないのかを労働基準法24条・37条で確かめた記事で確かめています。↓

賃金台帳についてよくある質問

賃金台帳は給与明細と同じものですか?

施行規則第五十四条第一項は、氏名・性別・賃金計算期間・労働日数・労働時間数・延長時間数等・賃金の種類ごとの額・控除額の8つを記入する事項として並べています。

労働日数や労働時間数の欄が条文に置かれている点が、支払額の通知とは別の並びです。

賃金台帳は誰が作りますか?

法第百八条の主語は使用者で、各事業場ごとに調製するよう定めています。

記入の時期は「賃金支払の都度遅滞なく」とされています。

賃金台帳に労働時間を書かなくてよい人はいますか?

施行規則第五十四条第五項は、法第四十一条各号のいずれかに該当する労働者と、法第四十一条の二第一項により労働させる労働者について、第五号と第六号を記入することを要しないと定めています。

外れるのは第五号・第六号で、ほかの号は外れていません。

賃金台帳は何年保存しますか?

法第百九条の本文は五年間です。

附則第百四十三条第一項により、当分の間は「三年間」と読み替えられます。

賃金台帳の保存期間はいつから数えますか?

施行規則第五十六条第一項第二号は、賃金台帳については最後の記入をした日を起算日と定めています。

第二項は、賃金の支払期日が同項第二号の日より遅い場合に、その支払期日を起算日とするとしています。

賃金台帳の様式は決まっていますか?

施行規則第五十五条は、常時使用される労働者については様式第二十号、日々雇い入れられる者(一箇月を超えて引続き使用される者を除く)については様式第二十一号によって調製すると定めています。

労働者名簿と1つの書類にできますか?

施行規則第五十五条の二は、年次有給休暇管理簿、第五十三条による労働者名簿、第五十五条による賃金台帳をあわせて調製することができると定めています。

賃金台帳を作らないと罰則はありますか?

法第百二十条第一号は、第百六条から第百九条までの規定に違反した者を挙げており、同条の本文は三十万円以下の罰金に処するとしています。

帳簿書類の提出をせず、又は虚偽の記載をした帳簿書類の提出をした者は、同条第四号に置かれています。

賃金台帳を条文で確かめた結果の一覧

条文で確かめたこと
  • 作る義務=法第百八条(各事業場ごと・賃金支払の都度遅滞なく記入)
  • 記入する事項=施行規則第五十四条第一項の第一号から第八号(労働者各人別)
  • 労働時間の欄=第五号(労働時間数)と第六号(延長・休日・深夜の時間数)
  • 金額の欄=第七号(賃金の種類毎の額)と第八号(控除した額)・現物は第三項で評価総額
  • 第五号・第六号が外れるのは法第四十一条各号の労働者と法第四十一条の二第一項の対象労働者(第五項)
  • 第三号が外れるのは日々雇い入れられる者(第四項)
  • 様式=施行規則第五十五条の様式第二十号・様式第二十一号
  • 労働者名簿・年次有給休暇管理簿とあわせて調製できる(施行規則第五十五条の二)
  • 保存期間=法第百九条の五年間、附則第百四十三条第一項により当分の間は三年間
  • 起算日=施行規則第五十六条第一項第二号の「最後の記入をした日」(第二項の例外あり)
  • 罰則=法第百二十条第一号(三十万円以下の罰金)

残業代の計算を後から確かめたいときは、第五号と第六号の欄が実際に埋まっているかが見どころになります。

個別の事情への当てはめは、事業場を管轄する労働基準監督署か弁護士に相談する領域です。


あわせて読みたい

労働時間の規定が外れる対象労働者の条件は、高度プロフェッショナル制度の対象を労働基準法41条の2で確かめた記事で整理しています。↓

有給休暇の管理簿に残る日数の決まりは、有給休暇の日数を労働基準法39条で確かめた記事にまとめています。↓


参考文献

この記事で使った一次資料

条文の確認日は2026年10月9日です。

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