
遅刻や不注意を理由に「今月は減給にする」と言われたとき、どこまで引かれるのか気になったことはありませんか。
給料の何割まで、何か月まで、と職場の説明はまちまちで、法律の線がどこにあるのか分かりにくいところです。
この記事は、減給の上限と、その上限の測り方を、労働基準法と労働契約法の言葉だけで確かめます。
結論は次のとおりです。
条文の線は1回は平均賃金1日分の半額で、総額にも別の線があります。
条文の確認日は2026年10月17日です。
減給の上限の結論=労働基準法91条の「一回の額」と「総額」の2つの線
減給の上限を決めているのは、労働基準法第九十一条の1か条です。
見出しは「制裁規定の制限」で、項は1つしかありません。
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。
(労働基準法 第九十一条)
この1文には、「一回の額」と「総額」という2つの線が並んでいます。
1つ目は、1回の減給の額が平均賃金の一日分の半額を超えてはならないという線です。
2つ目は、減給の総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならないという線になります。
条文は2つの線を「、」でつなぎ、どちらも「超えてはならない」で受けています。
片方だけ守っていればよいという書き方にはなっていません。
| 線 | 条文の言葉 | 何を基準に測るか |
|---|---|---|
| 1回の減給の線 | 一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え | 平均賃金(第十二条) |
| 減給の合計の線 | 総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超え | 一賃金支払期の賃金の総額 |
| 2つの線の関係 | 超えてはならない | 両方に当てはまる |
このあとの章では、2つの線を1つずつ、基準になる言葉までさかのぼって確かめていきます。
減給という語の位置=第91条の主語は「就業規則で減給の制裁を定める場合」
第九十一条が対象にしているのは、就業規則で減給の制裁を定める場合です。
対象を絞る言葉は、条文の最初の一節に置かれています。
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては
(労働基準法 第九十一条)
ここで使われている語は「減給の制裁」で、制裁の一種としての減給を指しています。
制裁を就業規則に書く根拠は、第八十九条の第九号です。
柱書は、常時十人以上の労働者を使用する使用者に就業規則の作成と届出を義務づけています。
常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。
次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
(労働基準法 第八十九条)
表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
(労働基準法 第八十九条第九号)
第九号は「表彰及び制裁の定めをする場合」に、その種類及び程度を就業規則の記載事項にしています。
減給を制裁として使うなら、減給という種類と、その程度が就業規則に載る並びです。
| 条文 | 減給との関わり | 条文の言葉 |
|---|---|---|
| 第八十九条柱書 | 就業規則の作成と届出 | 常時十人以上の労働者を使用する使用者 |
| 第八十九条第九号 | 制裁の種類と程度を記載 | 表彰及び制裁の定めをする場合 |
| 第九十一条 | 減給の制裁の上限 | 一回の額/総額 |
| 労働契約法第十五条 | 懲戒が無効になる場合 | 権利を濫用したもの |
減給1回の上限=「平均賃金の一日分の半額」の読み方
1つ目の線は、1回の減給の額を平均賃金の一日分の半額までに抑えるものです。
一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え
(労働基準法 第九十一条)
基準は月給ではなく平均賃金で、その一日分の半分が1回の上限になります。
ここで「一日分」と書かれているので、月給の額をそのまま半分にする読み方は条文に合いません。
まず平均賃金を出し、その一日分を求め、さらにその半額をとるという3段の順番です。
| 段 | 求めるもの | 根拠 |
|---|---|---|
| 1段目 | 平均賃金(1日あたりの金額) | 第十二条第一項 |
| 2段目 | 平均賃金の一日分 | 第九十一条 |
| 3段目 | その半額=1回の減給の上限 | 第九十一条 |
平均賃金は、第十二条で「その期間の総日数で除した金額」と定めている1日あたりの金額です。
そのため、2段目の「一日分」は平均賃金そのものの額にあたります。
平均賃金が同じように基準として使われる場面は、解雇予告手当の金額を労働基準法20条・21条・12条で確かめた記事で20条の側から確かめています。↓

減給の基準になる平均賃金=第12条1項の「以前三箇月間」
1回の上限を出すには、平均賃金の出し方を先に押さえる必要があります。
定義は第十二条第一項です。
この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。
(労働基準法 第十二条第一項)
分子は以前三箇月間に支払われた賃金の総額、分母はその期間の総日数です。
分母が「総日数」なので、働いた日だけでなく休日も含めた暦の日数で割る形になります。
同じ項のただし書には、計算した金額の下限が置かれています。
ただし、その金額は、次の各号の一によつて計算した金額を下つてはならない。
(労働基準法 第十二条第一項)
賃金が、労働した日若しくは時間によつて算定され、又は出来高払制その他の請負制によつて定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の百分の六十
(労働基準法 第十二条第一項第一号)
日給や時間給、出来高払制で働く人は、労働した日数で除した金額の百分の六十が下限です。
期間の起点は、第二項が賃金締切日で決めています。
前項の期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。
(労働基準法 第十二条第二項)
賃金締切日があるなら、直前の賃金締切日からさかのぼって三箇月間を数えます。
雇入後三箇月に満たない者については、第一項の期間は、雇入後の期間とする。
(労働基準法 第十二条第六項)
雇入後三箇月に満たない人は、雇入後の期間で計算することになります。
減給の計算から外す期間と賃金=第12条3項・4項の控除
平均賃金の三箇月間の中には、日数からも賃金からも外す期間があります。
前二項に規定する期間中に、次の各号のいずれかに該当する期間がある場合においては、その日数及びその期間中の賃金は、前二項の期間及び賃金の総額から控除する。
(労働基準法 第十二条第三項)
| 第十二条第三項 | 外す期間 |
|---|---|
| 第一号 | 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間 |
| 第二号 | 産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業した期間 |
| 第三号 | 使用者の責めに帰すべき事由によつて休業した期間 |
| 第四号 | 育児休業又は介護休業をした期間 |
| 第五号 | 試みの使用期間 |
これらの期間は、日数と賃金の両方から同時に外すのが条文の形です。
休業で賃金が少なかった期間をそのまま入れると平均賃金が下がるため、その分を除いて計算する並びになっています。
賃金の総額に入れないものは、第四項が別に挙げています。
第一項の賃金の総額には、臨時に支払われた賃金及び三箇月を超える期間ごとに支払われる賃金並びに通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないものは算入しない。
(労働基準法 第十二条第四項)
臨時に支払われた賃金と、三箇月を超える期間ごとに支払われる賃金は、総額に入れません。
通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないものも、同じ項で総額から外されています。
同じ平均賃金で額が決まる休業の手当については、休業手当の「6割」を労働基準法26条で確かめた記事で並べています。↓

減給の総額の上限=「一賃金支払期における賃金の総額の十分の一」
2つ目の線は、1回ごとの額ではなく、減給の合計に掛かるものです。
総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。
(労働基準法 第九十一条)
合計の線は賃金総額の十分の一で、測る単位は一賃金支払期です。
1回ごとの額が半額の線の内側に収まっていても、回数が重なれば合計が増えます。
その合計を、一賃金支払期の賃金の総額の十分の一までで止めるのが2つ目の線です。
一賃金支払期の単位は、賃金の支払いの定めから決まります。
賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。
(労働基準法 第二十四条第二項)
毎月1回払う職場なら、その月1回分の支払いが一賃金支払期の単位になります。
| 比べるもの | 1回の線 | 総額の線 |
|---|---|---|
| 基準になる額 | 平均賃金の一日分 | 一賃金支払期における賃金の総額 |
| 割合 | 半額 | 十分の一 |
| 何を抑えるか | 1回ごとの減給の額 | その支払期の減給の合計 |
| 根拠 | 第九十一条前段 | 第九十一条後段 |
条文は、総額の線を超えた分をどう扱うかまでは定めていません。
この記事では、条文にある「超えてはならない」という線だけを確かめました。
減給の定めを置く手続き=第90条の意見聴取と施行規則49条の届出
減給を含む就業規則を作るとき、会社は労働者の側の意見を聴く手続きを踏みます。
使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
(労働基準法 第九十条第一項)
意見を聴く相手は、過半数で組織する労働組合か、それがなければ労働者の過半数を代表する者です。
届け出るときは、その意見を記した書面を付けます。
使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない。
(労働基準法 第九十条第二項)
ここで条文が求めているのは意見を聴くことで、同意を得ることではありません。
届出の先は、施行規則第四十九条が決めています。
使用者は、常時十人以上の労働者を使用するに至つた場合においては、遅滞なく、法第八十九条の規定による就業規則の届出を所轄労働基準監督署長にしなければならない。
(労働基準法施行規則 第四十九条第一項)
常時十人以上を使用するに至った場合は、遅滞なく所轄労働基準監督署長に届け出る形です。
労働契約法の側も、就業規則の変更の手続きをこの2か条に送っています。
就業規則の変更の手続に関しては、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第八十九条及び第九十条の定めるところによる。
(労働契約法 第十一条)
減給の定めを知らせる方法=第106条と施行規則52条の2の周知
就業規則に減給の定めを書いても、働く人がそれを見られなければ意味がありません。
第百六条は、就業規則を労働者に周知させる義務を置いています。
使用者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨、就業規則
(労働基準法 第百六条第一項)
周知の方法は、施行規則第五十二条の二が3つに限っています。
常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。
(労働基準法施行規則 第五十二条の二第一号)
書面を労働者に交付すること。
(労働基準法施行規則 第五十二条の二第二号)
3つ目は、ファイルに記録し、各作業場に労働者がその内容を常時確認できる機器を置く方法になります。
自分の職場の就業規則で制裁の種類と程度の欄を探すのが、減給の定めの有無を確かめる近道です。
労働契約法第七条も、周知させていた就業規則を労働契約の内容に結びつけています。
使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。
(労働契約法 第七条)
減給と賃金の全額払=第24条1項の「その全額を支払わなければならない」
減給は、本来払うはずの賃金から一部を引く形をとります。
そこで並べて読みたいのが、賃金の支払いの原則を定める第二十四条第一項です。
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。
(労働基準法 第二十四条第一項)
原則は「その全額を支払わなければならない」で、同じ項のただし書に控除できる場合が置かれています。
法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
(労働基準法 第二十四条第一項)
控除できるのは、法令に別段の定めがある場合か、過半数の労働組合又は過半数を代表する者との書面による協定がある場合です。
第九十一条は、減給の制裁を就業規則で定めるときの額の線を定めている条になります。
全額払を含む5つの原則は、賃金支払の5原則を労働基準法24条で確かめた記事で1つずつ確かめています。↓

減給が無効になる場合=労働契約法15条の「権利を濫用したもの」
額が第九十一条の線の内側でも、減給という懲戒そのものが無効になる場合が条文に置かれています。
使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。
(労働契約法 第十五条)
懲戒は権利の濫用なら無効になる、というのが第十五条の構えです。
判断の材料として条文が挙げるのは、労働者の行為の性質及び態様その他の事情です。
そのうえで、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合に無効としています。
| 見る点 | 労働契約法第十五条の言葉 |
|---|---|
| 前提 | 使用者が労働者を懲戒することができる場合において |
| 材料 | 当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情 |
| 理由 | 客観的に合理的な理由を欠き |
| 相当性 | 社会通念上相当であると認められない場合 |
| 結果 | その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする |
第九十一条が額の上限を決め、第十五条が懲戒そのものの有効性を決める、という2本立ての並びです。
同じ第十五条が解雇の場面でどう働くかは、懲戒解雇はどこまで有効かを労働契約法15条・16条で確かめた記事で確かめています。↓

減給と同意なしの賃下げ=労働契約法8条・9条・10条が置く別の筋
「減給」という言葉は、制裁ではなく給料の額そのものを下げる意味でも使われます。
この場合に当たるのは第九十一条ではなく、労働契約の内容の変更を定める労働契約法の条です。
労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。
(労働契約法 第八条)
労働条件の変更は、労働者と使用者の合意によってできるのが第八条の原則です。
使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。
(労働契約法 第九条)
合意なく就業規則を変えて労働者の不利益に変更することはできないと第九条が定めています。
その例外として、第十条が周知と合理性を条件に置いています。
変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。
(労働契約法 第十条)
| 減給の意味 | 当たる条文 | 条文の軸 |
|---|---|---|
| 制裁としての減給 | 労働基準法第九十一条・労働契約法第十五条 | 額の上限と懲戒の有効性 |
| 合意による賃金の変更 | 労働契約法第八条 | 合意 |
| 就業規則の変更による賃金の引下げ | 労働契約法第九条・第十条 | 合意なしは原則不可・周知と合理性 |
減給と損害の弁償=第16条の「賠償予定の禁止」と第17条
ミスで会社に損害が出たとき、減給とは別に「弁償」の話が出ることがあります。
その前に置かれているのが、第十六条の賠償予定の禁止です。
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
(労働基準法 第十六条)
禁じられているのは違約金や損害賠償額をあらかじめ決める契約です。
「ミス1回につき◯円引く」と先に額を決めておく定めは、この条の言葉に照らして読むことになります。
前借金と賃金の相殺も、第十七条が別に禁じています。
使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。
(労働基準法 第十七条)
第十六条が退職の場面でどう効くかは、退職の引き止めはどこまで有効かを条文で確かめた記事で第五条・第二十三条と並べています。↓

減給と就業規則・労働契約の関係=第92条・第93条と労働契約法12条・13条
就業規則の減給の定めが、法令に反していたらどうなるのか。
第九十二条が、就業規則と法令の上下を決めています。
就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。
(労働基準法 第九十二条第一項)
行政官庁は、法令又は労働協約に牴触する就業規則の変更を命ずることができる。
(労働基準法 第九十二条第二項)
就業規則は法令に反してはならず、行政官庁は牴触する就業規則の変更を命ずることができます。
労働契約法第十三条は、法令に反する部分について第七条・第十条・第十二条を適用しないとしています。
就業規則が法令又は労働協約に反する場合には、当該反する部分については、第七条、第十条及び前条の規定は、当該法令又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約については、適用しない。
(労働契約法 第十三条)
就業規則と個別の労働契約の関係は、第九十三条が労働契約法第十二条に送っています。
労働契約と就業規則との関係については、労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第十二条の定めるところによる。
(労働基準法 第九十三条)
就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。
この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。
(労働契約法 第十二条)
就業規則で定める基準に達しない労働契約の部分は、無効になり、就業規則で定める基準によります。
減給の上限を守らないときの罰則=第120条1号に第91条が挙がっている並び
第九十一条の線を超える減給は、罰則の条に名前が挙がっています。
次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
(労働基準法 第百二十条)
第八十九条、第九十条第一項、第九十一条
(労働基準法 第百二十条第一号)
第九十一条は三十万円以下の罰金の対象に挙がる条です。
同じ列挙に、就業規則の作成と届出(第八十九条)と意見聴取(第九十条第一項)も並んでいます。
周知の第百六条も、同じ第一号の「第百六条から第百九条まで」に入っています。
ここでは、条文に名前が挙がっているかどうかだけを確かめました。
減給についてよくある質問
- 減給の上限はいくらですか?
-
労働基準法第九十一条は、1回の額が平均賃金の一日分の半額を超えてはならないと定めています。
あわせて、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならないとしています。
- 減給の「平均賃金」とは何ですか?
-
第十二条第一項が、算定すべき事由の発生した日以前三箇月間に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額と定めています。
- 月給の半分まで減給できるのですか?
-
第九十一条の1回の線は、月給ではなく平均賃金の一日分の半額です。
合計の線も、一賃金支払期における賃金の総額の十分の一とされています。
- 1回分の線と総額の線は、どちらか一方を守ればよいのですか?
-
第九十一条は2つの線を並べ、どちらも「超えてはならない」で受けています。
- 就業規則に書いていない減給はできますか?
-
第九十一条の主語は「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合」です。
第八十九条第九号は、制裁の定めをする場合にその種類及び程度を就業規則の記載事項にしています。
- 額が線の内側なら、どんな減給でも有効ですか?
-
労働契約法第十五条は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない懲戒を、権利を濫用したものとして無効としています。
- 会社の業績が悪いという理由で給料を下げるのも減給ですか?
-
制裁ではない賃金の変更は、労働契約法第八条の合意、第九条・第十条の就業規則の変更の条で読むことになります。
第九条は、合意なく就業規則を変更して労働者の不利益に労働条件を変更することはできないとしています。
- 減給の上限を超えた会社に罰則はありますか?
-
第百二十条第一号が第九十一条を挙げ、三十万円以下の罰金に処するとしています。
減給を条文で確かめた結果の一覧
- 減給の上限は労働基準法第九十一条の1か条で、見出しは「制裁規定の制限」
- 1回の額は平均賃金の一日分の半額まで
- 総額は一賃金支払期における賃金の総額の十分の一まで
- 平均賃金は以前三箇月間の賃金の総額をその期間の総日数で除した金額(第十二条第一項)
- 休業期間などは日数と賃金の両方から外す(第十二条第三項)
- 制裁の種類と程度は就業規則の記載事項(第八十九条第九号)、作るときは意見聴取(第九十条)
- 懲戒が権利の濫用なら無効(労働契約法第十五条)
- 制裁ではない賃金の引下げは労働契約法第八条から第十条の筋
- 第九十一条違反は三十万円以下の罰金の対象(第百二十条第一号)
明細で減給を見つけたら、まず就業規則の制裁の欄を開き、減給の定めがあるかを確かめてみてください。
そのうえで、平均賃金の一日分の半額と、その支払期の賃金総額の十分の一の2つの線を当てはめます。
個別の事情への当てはめは、事業場を管轄する労働基準監督署か弁護士に相談する領域になります。
あわせて読みたい
就業規則を変えて労働条件を下げる場合の線は、労働条件の不利益変更を労働契約法9条と10条で確かめた記事で確かめています。↓

減給の記録が残る帳簿の中身は、賃金台帳に何を書くのかを労働基準法108条で確かめた記事にまとめています。↓

参考文献
条文の確認日は2026年10月17日です。

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