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高年齢雇用継続給付はいくら出るのか──雇用保険法61条の「百分の七十五」と「百分の十」を条文で確かめた

高年齢雇用継続給付はいくら出るのか──雇用保険法61条の「百分の七十五」と「百分の十」を条文で確かめた
高年齢雇用継続給付はいくら出るのか──雇用保険法61条の「百分の七十五」と「百分の十」を条文で確かめた

定年のあと同じ会社で働き続けると、給料が下がることがあります。

その下がり分を雇用保険が埋めるという説明で出てくるのが高年齢雇用継続給付です。

ただ、いくら下がったら出るのか、いくら出るのかを数字で言える人は多くありません。

この記事は、出る線と出る率が条文のどこに書かれているかを、雇用保険法と雇用保険法施行規則の言葉だけで並べます。

条文の確認日は2026年10月9日です。

先に結論を書くと、条文の線は賃金が七十五%未満で出るで、乗せる率は最大でも十%でした。

TOC

高年齢雇用継続給付という名前の位置=雇用保険法10条6項の「雇用継続給付」

まず、この言葉が雇用保険法のどこに置かれているかを見ます。

雇用保険が払う給付の全体は、第十条に並んでいる4種類です。

失業等給付は、求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付及び雇用継続給付とする。

(雇用保険法 第十条第一項)

4つのうちの「雇用継続給付」の中身を決めているのが、同じ条の第六項になります。

雇用継続給付は、次のとおりとする。

(雇用保険法 第十条第六項)

高年齢雇用継続基本給付金及び高年齢再就職給付金(第六節第一款において「高年齢雇用継続給付」という。)

(雇用保険法 第十条第六項第一号)

介護休業給付金

(雇用保険法 第十条第六項第二号)

第一号のカッコの中で、2つの給付金をまとめた呼び名として「高年齢雇用継続給付」が定義されています。

つまりこの語は、高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金の2つを指す、条文上の総称という位置づけです。

第十条の項給付の種類この記事との関係
第二項・第三項求職者給付(基本手当など)離職して仕事を探す間の給付
第四項就職促進給付(就業促進手当など)第六十一条の二第四項で選び合いになる
第五項教育訓練給付別の款の給付
第六項第一号高年齢雇用継続基本給付金・高年齢再就職給付金この2つが高年齢雇用継続給付
第六項第二号介護休業給付金同じ雇用継続給付の別の給付金

離職して仕事を探す間の基本手当については、基本手当の所定給付日数を雇用保険法22条・23条で確かめた記事で日数を並べています。↓

高年齢雇用継続給付の前提になる六十五歳までの雇用=高年齢者雇用安定法8条・9条

この給付が働く場面を作っているのは、定年の年齢を決めた別の法律です。

定年の下限は、高年齢者雇用安定法の第八条に置かれています。

事業主がその雇用する労働者の定年(以下単に「定年」という。)の定めをする場合には、当該定年は、六十歳を下回ることができない。

ただし、当該事業主が雇用する労働者のうち、高年齢者が従事することが困難であると認められる業務として厚生労働省令で定める業務に従事している労働者については、この限りでない。

(高年齢者雇用安定法 第八条)

六十五歳までの雇用については、第九条が3つの措置を並べています。

定年(六十五歳未満のものに限る。以下この条において同じ。)の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の六十五歳までの安定した雇用を確保するため、次の各号に掲げる措置(以下「高年齢者雇用確保措置」という。)のいずれかを講じなければならない。

(高年齢者雇用安定法 第九条第一項)

当該定年の引上げ

(高年齢者雇用安定法 第九条第一項第一号)

継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。以下同じ。)の導入

(高年齢者雇用安定法 第九条第一項第二号)

当該定年の定めの廃止

(高年齢者雇用安定法 第九条第一項第三号)

第二号の継続雇用制度で働き直すときに賃金が下がる場面が、高年齢雇用継続給付の出番になります。

条文の言葉は「安定した雇用を確保する」までで、賃金の額をいくらにするかまでは決めていません。

賃金が下がった分を補う話は、雇用保険法の側に置かれている仕組みです。

定年と継続雇用の条文そのものは、定年は何歳からかを高年齢者雇用安定法8条・9条で確かめた記事で1条ずつ見ています。↓

高年齢雇用継続給付が出る賃金の線=雇用保険法61条1項の「百分の七十五」

ここからが本題で、どこまで下がったら出るのかという線です。

高年齢雇用継続基本給付金の根拠は、第六十一条第一項になります。

当該被保険者が六十歳に達した日(当該被保険者が第一号に該当しなくなつたときは、同号に該当しなくなつた日)を受給資格に係る離職の日とみなして第十七条(第三項を除く。)の規定を適用した場合に算定されることとなる賃金日額に相当する額(以下この条において「みなし賃金日額」という。)に三十を乗じて得た額の百分の七十五に相当する額を下るに至つた場合に、当該支給対象月について支給する。

(雇用保険法 第六十一条第一項)

比べる相手は「みなし賃金日額に三十を乗じて得た額」で、六十歳時点の賃金を1か月分に直した額です。

その額の百分の七十五に相当する額を下ることが、支給の条件として書かれています。

「下るに至つた場合」なので、ちょうど七十五%の額では条文の条件に当たりません。

支払を受けられなかった賃金がある月の扱いも、同じ第一項のカッコの中に置かれています。

支給対象月において非行、疾病その他の厚生労働省令で定める理由により支払を受けることができなかつた賃金がある場合には、その支払を受けたものとみなして算定した賃金の額

(雇用保険法 第六十一条第一項)

ここでいう「厚生労働省令で定める理由」は、雇用保険法施行規則の第百一条の三に並んでいます。

法第六十一条第一項の厚生労働省令で定める理由は、次のとおりとする。

(雇用保険法施行規則 第百一条の三)

非行

(雇用保険法施行規則 第百一条の三第一号)

疾病又は負傷

(雇用保険法施行規則 第百一条の三第二号)

事業所の休業

(雇用保険法施行規則 第百一条の三第三号)

前各号に掲げる理由に準ずる理由であつて、公共職業安定所長が定めるもの

(雇用保険法施行規則 第百一条の三第四号)

この4つに当たる月は、実際に受け取っていない賃金も受け取ったものとして計算する並びになります。

高年齢雇用継続給付の対象になる月=雇用保険法61条2項の「支給対象月」

第一項が繰り返し使う「支給対象月」の中身は、第二項が決めています。

この条において「支給対象月」とは、被保険者が六十歳に達した日の属する月から六十五歳に達する日の属する月までの期間内にある月(その月の初日から末日まで引き続いて、被保険者であり、かつ、介護休業給付金又は育児休業給付金、出生時育児休業給付金若しくは出生後休業支援給付金の支給を受けることができる休業及び教育訓練休暇給付金の支給を受けることができる休暇の取得をしなかつた月に限る。)をいう。

(雇用保険法 第六十一条第二項)

期間の両端は、六十歳に達した日の属する月から六十五歳に達する日の属する月までです。

さらにカッコの中で、その月の初日から末日まで引き続いて被保険者であることが条件に足されています。

月の途中で退職した月や、月の途中で入社した月は、この条件に当たりません。

介護休業給付金や育児休業給付金などを受けられる休業を取った月も、第二項のカッコで外れる並びです。

支給対象月に当たるか条文の言葉根拠
六十歳に達した日の属する月より前当たらない第六十一条第二項
六十五歳に達する日の属する月より後当たらない第六十一条第二項
月の初日から末日まで引き続いて被保険者でない月当たらない第六十一条第二項のカッコ
介護休業給付金を受けられる休業を取った月当たらない第六十一条第二項のカッコ
育児休業給付金・出生時育児休業給付金を受けられる休業を取った月当たらない第六十一条第二項のカッコ
教育訓練休暇給付金を受けられる休暇を取った月当たらない第六十一条第二項のカッコ

月をまたぐ働き方をしている人は、どの月がこの定義に当たるかを先に数えることになります。

高年齢雇用継続給付が出ない2つの場合=雇用保険法61条1項第一号・第二号

第一項の本文のあとには、支給しない場合を並べたただし書があります。

ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。

(雇用保険法 第六十一条第一項)

第一号は、雇用保険に入っていた期間の長さを見ています。

当該被保険者を受給資格者と、当該被保険者が六十歳に達した日又は当該支給対象月においてその日に応当する日(その日に応当する日がない月においては、その月の末日。)を第二十条第一項第一号に規定する基準日とみなして第二十二条第三項及び第四項の規定を適用した場合に算定されることとなる期間に相当する期間が、五年に満たないとき。

(雇用保険法 第六十一条第一項第一号)

第二十二条第三項の算定基礎期間に相当する期間が五年に満たないときは、この号に当たります。

前二項の算定基礎期間は、これらの規定の受給資格者が基準日まで引き続いて同一の事業主の適用事業に被保険者として雇用された期間(当該雇用された期間に係る被保険者となつた日前に被保険者であつたことがある者については、当該雇用された期間と当該被保険者であつた期間を通算した期間)とする。

(雇用保険法 第二十二条第三項)

第二号は、その月に実際に払われた賃金の額を見ています。

当該支給対象月に支払われた賃金の額が、三十五万六千四百円(その額が第七項の規定により変更されたときは、その変更された額。以下この款において「支給限度額」という。)以上であるとき。

(雇用保険法 第六十一条第一項第二号)

条文に書かれた支給限度額は三十五万六千四百円で、支給限度額以上なら出ないという切り方です。

この額は第七項で動くので、カッコの中に「その額が第七項の規定により変更されたときは、その変更された額」と置かれています。

雇用保険に入る条件そのものは、雇用保険の加入条件を条文とハローワークの一次資料で確かめた記事で確かめています。↓

高年齢雇用継続給付の率=雇用保険法61条5項第一号の「百分の十」

次に、額をどう出すのかという率の話です。

高年齢雇用継続基本給付金の額は、第五項が2つの区分で決めています。

高年齢雇用継続基本給付金の額は、一支給対象月について、次の各号に掲げる区分に応じ、当該支給対象月に支払われた賃金の額に当該各号に定める率を乗じて得た額とする。

(雇用保険法 第六十一条第五項)

掛ける相手は、その月に払われた賃金の額です。

当該賃金の額が、みなし賃金日額に三十を乗じて得た額の百分の六十四に相当する額未満であるとき 百分の十

(雇用保険法 第六十一条第五項第一号)

第一号の区分は六十四%未満まで下がった場合で、率は率は最大で百分の十と書かれた十%になります。

六十四%未満まで下がっていない場合は、第二号の率になります。

前号に該当しないとき みなし賃金日額に三十を乗じて得た額に対する当該賃金の額の割合が逓増する程度に応じ、百分の十から一定の割合で逓減するように厚生労働省令で定める率

(雇用保険法 第六十一条第五項第二号)

第二号は率そのものを書かず、「百分の十から一定の割合で逓減するように厚生労働省令で定める率」としています。

賃金の低下が小さいほど率も小さくなる、という向きだけが条文に置かれている形です。

賃金の低下の度合い根拠の号条文が定める率
みなし賃金月額の六十四%未満まで下がった第六十一条第五項第一号百分の十
六十四%以上七十五%未満の範囲に下がった第六十一条第五項第二号百分の十から逓減する省令の率
七十五%に相当する額を下っていない第六十一条第一項本文支給しない
その月の賃金が支給限度額以上第六十一条第一項第二号支給しない

第五項のただし書は、賃金と給付金の合計が支給限度額を超える場合の上限も置いています。

ただし、その額に当該賃金の額を加えて得た額が支給限度額を超えるときは、支給限度額から当該賃金の額を減じて得た額とする。

(雇用保険法 第六十一条第五項)

賃金と給付金を足した額が支給限度額で頭打ちになる、という計算です。

高年齢雇用継続給付の逓減する率の出し方=雇用保険法施行規則101条の4

第五項第二号が省令に投げた率は、雇用保険法施行規則の第百一条の四が決めています。

法第六十一条第五項第二号の厚生労働省令で定める率は、第一号に掲げる額から第二号及び第三号に掲げる額の合計額を減じた額を第二号に掲げる額で除して得た率とする。

(雇用保険法施行規則 第百一条の四第一項)

第一号は、六十歳時点の賃金を1か月分に直した額に七十五%を掛けた額です。

法第六十一条第一項に規定するみなし賃金日額に三十を乗じて得た額(以下この項において「みなし賃金月額」という。)に百分の七十五を乗じて得た額

(雇用保険法施行規則 第百一条の四第一項第一号)

第二号は、その月に実際に払われた賃金の額になります。

法第六十一条第二項に規定する支給対象月(次条において「支給対象月」という。)に支払われた賃金額

(雇用保険法施行規則 第百一条の四第一項第二号)

第三号には、みなし賃金月額に千分の四十六を乗じた額を使う調整が置かれています。

条文は率の数字ではなく、割り算の式そのものを書いている形です。

高年齢再就職給付金のほうの率は、同じ条の第二項が言葉を読み替えて使う形になっています。

法第六十一条の二第三項において準用する場合における法第六十一条第五項第二号の厚生労働省令で定める率については、前項中「法第六十一条第一項に規定するみなし賃金日額」とあるのは「法第六十一条の二第一項の賃金日額」と、「みなし賃金月額」とあるのは「離職時賃金月額」と、「法第六十一条第二項に規定する支給対象月(次条において「支給対象月」という。)」とあるのは「法第六十一条の二第二項に規定する再就職後の支給対象月(第百一条の七第二項において「再就職後の支給対象月」という。)」とする。

(雇用保険法施行規則 第百一条の四第二項)

読み替えるのは「みなし賃金日額」を「法第六十一条の二第一項の賃金日額」に、「みなし賃金月額」を「離職時賃金月額」にする部分です。

高年齢雇用継続給付が支給されない下限=雇用保険法61条6項の「百分の八十」

率を掛けて出した額が小さすぎるときの扱いも、条文に置かれています。

第一項及び前項の規定にかかわらず、同項の規定により支給対象月における高年齢雇用継続基本給付金の額として算定された額が第十七条第四項第一号に掲げる額(その額が第十八条の規定により変更されたときは、その変更された額)の百分の八十に相当する額を超えないときは、当該支給対象月については、高年齢雇用継続基本給付金は、支給しない。

(雇用保険法 第六十一条第六項)

基準になるのは第十七条第四項第一号の額で、賃金日額の下限として条文に書かれた額です。

二千四百六十円(その額が次条の規定により変更されたときは、その変更された額)

(雇用保険法 第十七条第四項第一号)

条文の額は二千四百六十円で、その百分の八十に相当する額を超えない月は支給しない並びになります。

この額も第十八条で動くので、カッコの中に「その額が第十八条の規定により変更されたときは、その変更された額」が置かれています。

下限の額が条文の数字そのままではない点は、読むときに外せません。

高年齢雇用継続給付の支給限度額が動く仕組み=雇用保険法61条7項

支給限度額が年度ごとに動く根拠は、第七項です。

厚生労働大臣は、年度の平均給与額が平成二十七年四月一日から始まる年度(この項の規定により支給限度額が変更されたときは、直近の当該変更がされた年度の前年度)の平均給与額を超え、又は下るに至つた場合においては、その上昇し、又は低下した比率を基準として、その翌年度の八月一日以後の支給限度額を変更しなければならない。

(雇用保険法 第六十一条第七項)

動かす基準は年度の平均給与額の上がり下がりで、効き始めるのは翌年度の八月一日以後になります。

賃金日額の上限と下限を動かす第十八条も、同じ作りです。

厚生労働大臣は、年度(四月一日から翌年の三月三十一日までをいう。以下同じ。)の平均給与額(厚生労働省において作成する毎月勤労統計における労働者の平均定期給与額を基礎として厚生労働省令で定めるところにより算定した労働者一人当たりの給与の平均額をいう。以下同じ。)が平成二十七年四月一日から始まる年度(この条の規定により自動変更対象額が変更されたときは、直近の当該変更がされた年度の前年度)の平均給与額を超え、又は下るに至つた場合においては、その上昇し、又は低下した比率に応じて、その翌年度の八月一日以後の自動変更対象額を変更しなければならない。

(雇用保険法 第十八条第一項)

条文に書かれた額何の額か動かす条文
三十五万六千四百円支給限度額第六十一条第七項
二千四百六十円賃金日額の下限(自動変更対象額)第十八条
一万五千五百九十円六十歳以上六十五歳未満の賃金日額の上限第十八条
百分の七十五支給の線(率)変更の条文は無い
百分の十額に乗せる率の上限変更の条文は無い

率は条文で固定され、金額だけが毎年度動くという組み合わせです。

金額を見るときは、その年度の八月一日以後に適用されている額かどうかを確かめることになります。

高年齢雇用継続給付のもう一つの給付金=雇用保険法61条の2の高年齢再就職給付金

高年齢雇用継続給付の2つ目は、別の会社に再就職した場合の給付金です。

高年齢再就職給付金は、受給資格者(その受給資格に係る離職の日における第二十二条第三項の規定による算定基礎期間が五年以上あり、かつ、当該受給資格に基づく基本手当の支給を受けたことがある者に限る。)が六十歳に達した日以後安定した職業に就くことにより被保険者となつた場合において、当該被保険者に対し再就職後の支給対象月に支払われた賃金の額が、当該基本手当の日額の算定の基礎となつた賃金日額に三十を乗じて得た額の百分の七十五に相当する額を下るに至つたときに、当該再就職後の支給対象月について支給する。

(雇用保険法 第六十一条の二第一項)

比べる相手は、みなし賃金日額ではなく「基本手当の日額の算定の基礎となつた賃金日額」です。

前提として、基本手当の支給を受けたことがあることと、算定基礎期間が五年以上あることが括弧の中に置かれています。

こちらにも、支給しない場合を並べた各号があります。

当該職業に就いた日(次項において「就職日」という。)の前日における支給残日数が、百日未満であるとき。

(雇用保険法 第六十一条の二第一項第一号)

当該再就職後の支給対象月に支払われた賃金の額が、支給限度額以上であるとき。

(雇用保険法 第六十一条の二第一項第二号)

第一号は支給残日数が百日未満のときで、再就職の時期で切られています。

期間の長さは第二項が決めています。

前項の「再就職後の支給対象月」とは、就職日の属する月から当該就職日の翌日から起算して二年(当該就職日の前日における支給残日数が二百日未満である同項の被保険者については、一年)を経過する日の属する月(その月が同項の被保険者が六十五歳に達する日の属する月後であるときは、六十五歳に達する日の属する月)までの期間内にある月(その月の初日から末日まで引き続いて、被保険者であり、かつ、介護休業給付金又は育児休業給付金、出生時育児休業給付金若しくは出生後休業支援給付金の支給を受けることができる休業及び教育訓練休暇給付金の支給を受けることができる休暇の取得をしなかつた月に限る。)をいう。

(雇用保険法 第六十一条の二第二項)

就職日の翌日から起算して再就職給付金は最長二年で、支給残日数が二百日未満なら一年です。

額の出し方は、第三項が第六十一条第五項・第六項を準用しています。

前条第五項及び第六項の規定は、高年齢再就職給付金の額について準用する。

この場合において、同条第五項中「支給対象月について」とあるのは「再就職後の支給対象月(次条第二項に規定する再就職後の支給対象月をいう。次条第三項において準用する第六項において同じ。)について」と、「当該支給対象月」とあるのは「当該再就職後の支給対象月」と、「みなし賃金日額」とあるのは「次条第一項の賃金日額」と、同条第六項中「第一項」とあるのは「次条第一項」と、「支給対象月」とあるのは「再就職後の支給対象月」と読み替えるものとする。

(雇用保険法 第六十一条の二第三項)

比べる項目高年齢雇用継続基本給付金高年齢再就職給付金
根拠の条第六十一条第六十一条の二
比べる賃金日額みなし賃金日額基本手当の日額の算定の基礎となつた賃金日額
支給の線百分の七十五に相当する額を下る百分の七十五に相当する額を下る
条文の期間六十歳に達した日の属する月から六十五歳に達する日の属する月まで就職日の属する月から一年または二年(六十五歳に達する日の属する月が先ならその月まで)
出ない場合算定基礎期間が五年未満・賃金が支給限度額以上支給残日数が百日未満・賃金が支給限度額以上
額の根拠第六十一条第五項・第六項第六十一条の二第三項で第六十一条第五項・第六項を準用

高年齢雇用継続給付と就業促進手当は両取りできない=雇用保険法61条の2第4項

再就職したときには、別の給付と重なることがあります。

高年齢再就職給付金の支給を受けることができる者が、同一の就職につき就業促進手当(第五十六条の三第一項第一号に該当する者に係るものに限る。以下この項において同じ。)の支給を受けることができる場合において、その者が就業促進手当の支給を受けたときは高年齢再就職給付金を支給せず、高年齢再就職給付金の支給を受けたときは就業促進手当を支給しない。

(雇用保険法 第六十一条の二第四項)

同じ就職について両方を受けられるときは、先に受けたほうだけが残る書き方です。

条文はどちらか一方しか支給しないと決めており、順番も明示されています。

ここでいう就業促進手当は、第五十六条の三第一項第一号に当たるものに限られます。

就業促進手当の中身と額は、再就職手当を雇用保険法56条の3で確かめた記事で条文の名前から並べています。↓

高年齢雇用継続給付の土台になるみなし賃金日額=雇用保険法17条

七十五%の線を出すには、六十歳時点の賃金日額が要ります。

第六十一条第一項が借りてくるのは、第十七条の賃金日額の算定です。

賃金日額は、算定対象期間において第十四条(第一項ただし書を除く。)の規定により被保険者期間として計算された最後の六箇月間に支払われた賃金(臨時に支払われる賃金及び三箇月を超える期間ごとに支払われる賃金を除く。次項、第六節及び次章において同じ。)の総額を百八十で除して得た額とする。

(雇用保険法 第十七条第一項)

最後の六箇月間に支払われた賃金の総額を百八十で割る、という式です。

臨時に支払われる賃金と三箇月を超える期間ごとに支払われる賃金は、この総額から外れます。

日や時間で賃金が決まる人の下限は、第二項が別に置いています。

前項の規定による額が次の各号に掲げる額に満たないときは、賃金日額は、同項の規定にかかわらず、当該各号に掲げる額とする。

(雇用保険法 第十七条第二項)

賃金が、労働した日若しくは時間によつて算定され、又は出来高払制その他の請負制によつて定められている場合には、前項に規定する最後の六箇月間に支払われた賃金の総額を当該最後の六箇月間に労働した日数で除して得た額の百分の七十に相当する額

(雇用保険法 第十七条第二項第一号)

算定が難しいときや、算定した額を使うのが適当でないときの扱いも条文にあります。

第一項の規定によりみなし賃金日額を算定することができないとき若しくは困難であるとき、又は同項の規定により算定したみなし賃金日額を用いて同項の規定を適用することが適当でないと認められるときは、厚生労働大臣が定めるところにより算定した額をみなし賃金日額とする。

この場合において、第十七条第四項の規定は、この項の規定により算定したみなし賃金日額について準用する。

(雇用保険法 第六十一条第四項)

第六十一条第四項は、厚生労働大臣が定めるところにより算定した額をみなし賃金日額とする形です。

第一項の規定によりみなし賃金日額を算定する場合における第十七条第四項の規定の適用については、同項中「前三項の規定」とあるのは、「第一項及び第二項の規定」とする。

(雇用保険法 第六十一条第三項)

第三項は、第十七条第四項の読み替えを決めている技術的な項になります。

高年齢雇用継続給付の申請=雇用保険法施行規則101条の5の「四箇月」

手続の期限は、雇用保険法施行規則の側に置かれています。

初めて受けようとするときの期限は、第百一条の五第一項です。

初めて高年齢雇用継続基本給付金の支給を受けようとするときは、支給対象月の初日から起算して四箇月以内に

(雇用保険法施行規則 第百一条の五第一項)

出す相手は、事業主を経由してその事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長です。

ただし、やむを得ない理由のため事業主を経由して当該申請書の提出を行うことが困難であるときは、事業主を経由しないで提出を行うことができる。

(雇用保険法施行規則 第百一条の五第一項)

2回目以降の申請月の決め方は、第五項が範囲を切っています。

公共職業安定所長は、前項に規定する支給申請を行うべき月を定めるに当たつては、一又は連続する二の支給対象月について、当該支給対象月の初日から起算して四箇月を超えない範囲で定めなければならない。

ただし、公共職業安定所長が必要があると認めるときは、この限りでない。

(雇用保険法施行規則 第百一条の五第五項)

1回の申請でまとめられるのは一または連続する二の支給対象月までです。

六十歳到達時等賃金証明書を会社から受け取る根拠も、同じ条に置かれています。

事業主は、その雇用する被保険者又はその雇用していた被保険者が第一項の規定により高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書を提出するため六十歳到達時等賃金証明書の交付を求めたときは、これをその者に交付しなければならない。

(雇用保険法施行規則 第百一条の五第三項)

申請書に書いた事項は、第八項により事業主の証明を受ける並びです。

高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書及び高年齢雇用継続給付支給申請書に記載された事項については、事業主の証明を受けなければならない。

(雇用保険法施行規則 第百一条の五第八項)

支給が決まってから払われるまでの日数は、第百一条の六が決めています。

公共職業安定所長は、被保険者に対する高年齢雇用継続基本給付金の支給を決定したときは、その日の翌日から起算して七日以内に高年齢雇用継続基本給付金を支給するものとする。

(雇用保険法施行規則 第百一条の六)

高年齢再就職給付金の申請も、第百一条の七が同じ四箇月の形で置いています。

被保険者は、初めて高年齢再就職給付金の支給を受けようとするときは、再就職後の支給対象月の初日から起算して四箇月以内に

(雇用保険法施行規則 第百一条の七第一項)

手続期限・日数根拠
初回の支給申請(基本給付金)支給対象月の初日から起算して四箇月以内施行規則第百一条の五第一項
2回目以降の申請月の範囲当該支給対象月の初日から起算して四箇月を超えない範囲施行規則第百一条の五第五項
1回でまとめられる月数一または連続する二の支給対象月施行規則第百一条の五第五項
支給決定から支払まで決定した日の翌日から起算して七日以内施行規則第百一条の六
初回の支給申請(再就職給付金)再就職後の支給対象月の初日から起算して四箇月以内施行規則第百一条の七第一項

高年齢雇用継続給付が支給されなくなる場合=雇用保険法61条の3の給付制限

最後に、支給が止まる場合の条文です。

偽りその他不正の行為により次の各号に掲げる失業等給付の支給を受け、又は受けようとした者には、当該給付の支給を受け、又は受けようとした日以後、当該各号に定める高年齢雇用継続給付を支給しない。

(雇用保険法 第六十一条の三)

条文は不正があれば支給しないと書き、受けようとした段階も対象にしています。

同じ項のただし書には、やむを得ない理由があるときの例外が置かれています。

ただし、やむを得ない理由がある場合には、当該高年齢雇用継続給付の全部又は一部を支給することができる。

(雇用保険法 第六十一条の三)

この場合に支給できるのは全部または一部で、どちらになるかは条文が書き分けていません。

申請書の内容は事業主の証明を受けるので、賃金の額をごまかす形は手続の上でも通りにくい作りです。

高年齢雇用継続給付についてよくある質問

高年齢雇用継続給付はいくらまで下がったら出ますか?

第六十一条第一項は、みなし賃金日額に三十を乗じて得た額の百分の七十五に相当する額を下るに至つた場合に支給すると定めています。

ちょうど七十五%に相当する額では「下るに至つた」に当たりません。

高年齢雇用継続給付の率は何%ですか?

第六十一条第五項第一号は、賃金がみなし賃金日額に三十を乗じて得た額の百分の六十四に相当する額未満であるときの率を百分の十と定めています。

第二号は、百分の十から一定の割合で逓減するように厚生労働省令で定める率としています。

高年齢雇用継続給付は何歳から何歳まで出ますか?

第六十一条第二項は、支給対象月を六十歳に達した日の属する月から六十五歳に達する日の属する月までの期間内にある月と定めています。

その月の初日から末日まで引き続いて被保険者であることも、同じ項のカッコで条件になっています。

雇用保険の加入期間が短いと高年齢雇用継続給付は出ませんか?

第六十一条第一項第一号は、第二十二条第三項・第四項の規定を適用した場合に算定されることとなる期間に相当する期間が五年に満たないときを、支給しない場合として挙げています。

賃金が高いと高年齢雇用継続給付が出ないことはありますか?

第六十一条第一項第二号は、支給対象月に支払われた賃金の額が支給限度額以上であるときを、支給しない場合として挙げています。

条文に書かれた支給限度額は三十五万六千四百円で、第七項により年度ごとに変更されます。

高年齢雇用継続給付と再就職手当は両方もらえますか?

第六十一条の二第四項は、同一の就職につき就業促進手当を受けたときは高年齢再就職給付金を支給せず、高年齢再就職給付金を受けたときは就業促進手当を支給しないと定めています。

高年齢雇用継続給付の申請はいつまでにしますか?

雇用保険法施行規則第百一条の五第一項は、初めて支給を受けようとするときの提出を支給対象月の初日から起算して四箇月以内と定めています。

高年齢再就職給付金については、第百一条の七第一項が再就職後の支給対象月の初日から起算して四箇月以内としています。

高年齢再就職給付金はいつまで出ますか?

第六十一条の二第二項は、就職日の属する月から就職日の翌日から起算して二年を経過する日の属する月までと定めています。

就職日の前日における支給残日数が二百日未満の場合は一年で、六十五歳に達する日の属する月後になるときはその月までです。

高年齢雇用継続給付を条文で確かめた結果の一覧

条文で確かめたこと
  • 「高年齢雇用継続給付」は高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金の総称(第十条第六項第一号)
  • 出る線はみなし賃金月額の百分の七十五に相当する額を下ること(第六十一条第一項)
  • 支給対象月は六十歳に達した日の属する月から六十五歳に達する日の属する月まで(第六十一条第二項)
  • 算定基礎期間が五年に満たないとき、賃金が支給限度額以上のときは支給しない(第六十一条第一項各号)
  • 率は六十四%未満まで下がった場合が百分の十、それ以外は省令の逓減する率(第六十一条第五項)
  • 逓減する率の式は雇用保険法施行規則第百一条の四
  • 額が第十七条第四項第一号の額の百分の八十に相当する額を超えない月は支給しない(第六十一条第六項)
  • 支給限度額は年度の平均給与額で変更される(第六十一条第七項)
  • 再就職の場合は第六十一条の二で、期間は一年または二年
  • 就業促進手当とは片方だけ(第六十一条の二第四項)
  • 申請は支給対象月の初日から起算して四箇月以内(施行規則第百一条の五第一項)

自分の額を知りたいときは、六十歳時点の六箇月の賃金と、いまの月の賃金の2つを先に並べることになります。

個別の金額の計算や支給の決定は、事業所の所在地を管轄する公共職業安定所が扱う領域です。


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学び直しに出る給付の率は、教育訓練給付金を雇用保険法60条の2で確かめた記事で並べています。↓

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参考文献

この記事で使った一次資料

条文の確認日は2026年10月9日です。

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