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育児短時間勤務は1日何時間になるのか──育児介護休業法施行規則73条の「原則として六時間」を条文で確かめた

育児短時間勤務は1日何時間になるのか──育児介護休業法施行規則73条の「原則として六時間」を条文で確かめた
育児短時間勤務は1日何時間になるのか──育児介護休業法施行規則73条の「原則として六時間」を条文で確かめた

育児短時間勤務を申し出ようとして、1日何時間まで短くできるのかが分からず止まっていませんか。

会社の説明では「6時間が標準」と言われることが多いところですが、その数字がどの条文から来ているのかは案内されないままになりがちです。

この記事は、育児のための時短勤務について法律と省令が置いている言葉を、育児介護休業法と育児介護休業法施行規則の条文だけで並べます。

結論を先に書くと、1日の所定労働時間の線は原則として六時間という省令の言葉で置かれています。

条文の確認日は2026年10月9日です。

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育児短時間勤務の根拠=育児介護休業法23条1項の「育児のための所定労働時間の短縮措置」

最初に押さえておきたいのは、法律の条文に「育児短時間勤務」という言葉が無いことです。

条文が使っているのは「育児のための所定労働時間の短縮措置」という言い方になります。

事業主は、その雇用する労働者のうち、その三歳に満たない子を養育する労働者であって育児休業をしていないもの(一日の所定労働時間が短い労働者として厚生労働省令で定めるものを除く。)に関して、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の申出に基づき所定労働時間を短縮することにより当該労働者が就業しつつその子を養育することを容易にするための措置(以下この条及び第二十三条の三第一項第三号において「育児のための所定労働時間の短縮措置」という。)を講じなければならない。

(育児介護休業法 第二十三条第一項)

主語は事業主で、文末は「講じなければならない」です。

会社の側に措置を置く義務があり、働く人の側は「申出」でそれを使う、という組み立てになっています。

条文の言葉を1つずつ分けると、対象は「三歳に満たない子を養育する労働者」、条件は「育児休業をしていないもの」、中身は「所定労働時間を短縮すること」です。

条文の言葉何を指しているか根拠
育児のための所定労働時間の短縮措置この記事で扱う制度の正式な呼び名第二十三条第一項
三歳に満たない子を養育する労働者対象になる人第二十三条第一項
育児休業をしていないもの育児休業中は対象にならない第二十三条第一項
一日の所定労働時間が短い労働者省令で対象から外される人第二十三条第一項かっこ書
労働者の申出に基づき会社が勝手に始めるものではない第二十三条第一項
講じなければならない事業主の義務第二十三条第一項

このあとに見る時間の数字も、除外される人も、すべてこの第一項が置いた「厚生労働省令で定めるところにより」から省令につながっていきます。

育児短時間勤務の1日は何時間か=育児介護休業法施行規則73条の「原則として六時間」

時間の数字は、法律ではなく省令に置かれています。

根拠は、育児介護休業法施行規則の第七十三条です。

法第二十三条第一項の育児のための所定労働時間の短縮措置は、一日の所定労働時間を原則として六時間とする措置を含むものとしなければならない。

(育児介護休業法施行規則 第七十三条)

措置の中に一日の所定労働時間を六時間とするものを含めることが、省令の求めている形です。

条文の言葉は「六時間とする措置を含むものとしなければならない」であり、「六時間だけにしなければならない」とは書かれていません。

そのため、六時間の選択肢を置いたうえで、七時間や五時間といった別の選択肢を併せて用意することは、この条文の言葉と矛盾しません。

「原則として」という言葉が付いているのも、条文を読むうえで見落とせない点です。

省令の言葉読み取れること
一日の所定労働時間を短くする単位は「1日」で、週や月ではない
原則として六時間六時間の選択肢を置くことが原則
とする措置を含むものと六時間以外の選択肢を足すことは禁じられていない
しなければならない事業主が守る形で書かれている

1日の所定労働時間が8時間の職場なら、六時間への短縮は2時間分を短くする形になります。

短くした分の賃金をどう扱うかについては、第七十三条には何も書かれていません。

所定労働時間そのものが書面でどう示されるかは、労働条件通知書の記載事項を労働基準法15条と施行規則5条で確かめた記事で全項目を並べています。↓

育児短時間勤務の対象になる子の年齢=第23条第1項の「三歳に満たない子」

第二十三条第一項が対象にしているのは、三歳に満たない子を養育する労働者です。

小学校就学前までではなく、三歳という線がここで引かれています。

この年齢の線は、同じ法律の中でも制度ごとに違います。

所定外労働の制限(第十六条の八)と深夜業の制限(第十九条)は「小学校就学の始期に達するまでの子」で、こちらのほうが広い範囲です。

制度条文対象になる子
育児のための所定労働時間の短縮措置第二十三条第一項三歳に満たない子
育児休業に準ずる措置など(代替措置)第二十三条第二項三歳に満たない子
二以上の措置から選ぶ制度第二十三条の三第一項三歳から小学校就学の始期に達するまでの子
所定外労働の制限第十六条の八第一項小学校就学の始期に達するまでの子
深夜業の制限第十九条第一項小学校就学の始期に達するまでの子

子が三歳になると、第二十三条第一項の「三歳に満たない子」という条件から外れることになります。

では三歳からはどうなるのか、という続きは、後ろで第二十三条の三の条文を見ます。

育児短時間勤務の対象から省令が外す労働者=施行規則72条の「六時間以下」

第二十三条第一項のかっこ書は、「一日の所定労働時間が短い労働者として厚生労働省令で定めるもの」を対象から外しています。

その中身を決めているのが、施行規則第七十二条です。

法第二十三条第一項本文の一日の所定労働時間が短い労働者として厚生労働省令で定めるものは、一日の所定労働時間が六時間以下の労働者とする。

(育児介護休業法施行規則 第七十二条)

もともと1日の所定労働時間が六時間以下の労働者は、この措置の対象から外れます。

短縮の到達点が六時間なので、すでに六時間以下で働いている人は短縮する余地が無い、という並びになっています。

「六時間以下」なので、ちょうど六時間の人も外れる書き方です。

1日の所定労働時間第23条第1項の対象根拠
8時間対象になる施行規則第七十二条の除外に当たらない
7時間対象になる施行規則第七十二条の除外に当たらない
6時間30分対象になる施行規則第七十二条の除外に当たらない
6時間対象から外れる施行規則第七十二条(六時間以下)
5時間対象から外れる施行規則第七十二条(六時間以下)

この除外はかっこ書による除外で、労使協定を結ぶかどうかとは関係なく働きます。

次に見る労使協定による除外とは、条文上の位置が別です。

育児短時間勤務を労使協定で除外できる労働者=第23条第1項ただし書の3つの号

第二十三条第一項には、ただし書が付いています。

ただし、当該事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる労働者のうち育児のための所定労働時間の短縮措置を講じないものとして定められた労働者に該当する労働者については、この限りでない。

(育児介護休業法 第二十三条第一項)

除外の条件は「書面による協定」で、口頭の取り決めや会社の方針だけでは条文の言葉に当たりません。

協定で除外できる労働者は、次に掲げる3つの号に限られています。

当該事業主に引き続き雇用された期間が一年に満たない労働者

(育児介護休業法 第二十三条第一項第一号)

前号に掲げるもののほか、育児のための所定労働時間の短縮措置を講じないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの

(育児介護休業法 第二十三条第一項第二号)

前二号に掲げるもののほか、業務の性質又は業務の実施体制に照らして、育児のための所定労働時間の短縮措置を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者

(育児介護休業法 第二十三条第一項第三号)

第二号の「厚生労働省令で定めるもの」は、施行規則第七十三条の二に置かれています。

法第二十三条第一項第二号の厚生労働省令で定めるものは、一週間の所定労働日数が二日以下の労働者とする。

(育児介護休業法施行規則 第七十三条の二)

協定で除外できる労働者根拠条文の言葉
雇用された期間が1年に満たない労働者第二十三条第一項第一号引き続き雇用された期間が一年に満たない
1週間の所定労働日数が2日以下の労働者第二十三条第一項第二号・施行規則第七十三条の二一週間の所定労働日数が二日以下
短縮措置を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者第二十三条第一項第三号業務の性質又は業務の実施体制に照らして

第三号の労働者を協定で除外したときは、会社の義務が消えるわけではありません。

第二十三条第二項が、別の措置を置くことを求めています。

育児短時間勤務が困難な業務で代わりに講じる措置=第23条第2項

第二十三条第二項は、第一項第三号の労働者を協定で除外した場合の定めです。

事業主は、その雇用する労働者のうち、前項ただし書の規定により同項第三号に掲げる労働者であってその三歳に満たない子を養育するものについて育児のための所定労働時間の短縮措置を講じないこととするときは、当該労働者に関して、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の申出に基づく育児休業に関する制度に準ずる措置又は次の各号のいずれかに掲げる措置を講じなければならない。

(育児介護休業法 第二十三条第二項)

ここも文末は「講じなければならない」で、義務として書かれています。

労働者の申出に基づき、当該労働者が就業しつつその子を養育することを容易にするため、住居その他これに準ずるものとして労働契約又は労働協約、就業規則その他これらに準ずるもので定める場所における勤務(第二十四条第四項において「在宅勤務等」という。)をさせる措置(第二十三条の三第一項第二号及び第二十四条第二項において「在宅勤務等の措置」という。)

(育児介護休業法 第二十三条第二項第一号)

前号に掲げるもののほか、労働基準法第三十二条の三第一項の規定により労働させることその他の労働者の申出に基づく厚生労働省令で定める当該労働者が就業しつつその子を養育することを容易にするための措置(第二十三条の三第一項第一号並びに第二十四条第一項第一号及び第二号において「始業時刻変更等の措置」という。)

(育児介護休業法 第二十三条第二項第二号)

代わりに置ける措置は、育児休業に準ずる措置・在宅勤務等の措置・始業時刻変更等の措置の3つです。

第一号が「在宅勤務等の措置」、第二号が「始業時刻変更等の措置」という略称を条文の中で定めています。

第二号には労働基準法第三十二条の三第一項、つまりフレックスタイム制の条文が引かれています。

第三号の業務に当たるかどうかとは別に、育児休業そのものの給付については、育児休業給付金はいくらもらえるのかを雇用保険法61条の7で確かめた記事で率と期間を確かめています。↓

育児短時間勤務の代替措置の中身=施行規則74条の3つの方法

第二十三条第二項第二号の「厚生労働省令で定める……措置」は、施行規則第七十四条に並んでいます。

法第二十三条第二項第二号の厚生労働省令で定める当該労働者が就業しつつその子を養育することを容易にするための措置は、当該制度の適用を受けることを希望する労働者に適用される次に掲げるいずれかの方法により講じられる措置とする。

(育児介護休業法施行規則 第七十四条)

労働基準法第三十二条の三第一項の規定による労働時間の制度を設けること。

(育児介護休業法施行規則 第七十四条第一号)

一日の所定労働時間を変更することなく始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度を設けること。

(育児介護休業法施行規則 第七十四条第二号)

労働者の三歳に満たない子に係る保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与を行うこと。

(育児介護休業法施行規則 第七十四条第三号)

施行規則第七十四条方法条文の言葉
第一号フレックスタイム制労働基準法第三十二条の三第一項の規定による労働時間の制度
第二号時差出勤一日の所定労働時間を変更することなく始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度
第三号保育施設などの便宜の供与保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与

第二号は「一日の所定労働時間を変更することなく」と書かれているので、時間を短くする措置ではありません。

時間の総量は変えずに、始業・終業の時刻を動かす形です。

代替措置のうち時間が短くなるものは条文の言葉には入っていません。

「いずれかの方法により」なので、3つ全部ではなく1つでよい書き方になっています。

育児短時間勤務の申出を理由とする不利益取扱い=育児介護休業法23条の2

申出をためらう理由として多いのが、申し出たあとの扱いです。

この点は第二十三条の二が1文で定めています。

事業主は、労働者が前条の規定による申出をし、又は同条の規定により当該労働者に措置が講じられたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

(育児介護休業法 第二十三条の二)

申出をしたこと、措置が講じられたことを理由とする解雇その他不利益な取扱いが禁じられています。

主語は事業主、文末は「してはならない」です。

禁じられる行為は「解雇」だけでなく「その他不利益な取扱い」まで含む書き方になっています。

理由の側は「前条の規定による申出をし、又は同条の規定により当該労働者に措置が講じられたこと」の2つです。

条文禁じられること主語
第二十三条の二申出・措置を理由とする解雇その他不利益な取扱い事業主
第二十三条の三第七項二以上の措置に係る申出・措置・意向の内容を理由とする解雇その他不利益な取扱い事業主
第二十五条第二項相談したこと・事実を述べたことを理由とする解雇その他不利益な取扱い事業主

妊娠・出産を理由とする扱いの禁止については、マタハラはどこまで禁止されているのかを男女雇用機会均等法9条で確かめた記事で4つの項を並べています。↓

三歳から小学校就学前の育児短時間勤務=第23条の3第1項の「二以上の措置」

子が三歳になったあとの定めが、第二十三条の三です。

事業主は、その雇用する労働者のうち、その三歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育するものに関して、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の申出に基づく次に掲げる措置のうち二以上の措置を講じなければならない。

(育児介護休業法 第二十三条の三第一項)

三歳からは、並んだ措置のうち二以上の措置を置くことが事業主の義務です。

並んでいる措置は5つで、そのうちの1つが所定労働時間の短縮措置です。

始業時刻変更等の措置であって厚生労働省令で定めるもの

(育児介護休業法 第二十三条の三第一項第一号)

在宅勤務等の措置

(育児介護休業法 第二十三条の三第一項第二号)

育児のための所定労働時間の短縮措置

(育児介護休業法 第二十三条の三第一項第三号)

労働者が就業しつつ当該子を養育することを容易にするための休暇(子の看護等休暇、介護休暇及び労働基準法第三十九条の規定による年次有給休暇として与えられるものを除く。)を与えるための措置

(育児介護休業法 第二十三条の三第一項第四号)

前各号に掲げるもののほか、労働者が就業しつつ当該子を養育することを容易にするための措置として厚生労働省令で定めるもの

(育児介護休業法 第二十三条の三第一項第五号)

第三号に「育児のための所定労働時間の短縮措置」が入っていますが、二以上を選ぶ中の1つという位置づけです。

そのため、会社が第一号と第二号を選んだ場合、三歳以降は時短の選択肢が置かれない形もあり得ます。

子の年齢条文の義務時短が必ず置かれるか
三歳に満たない育児のための所定労働時間の短縮措置を講ずる(第二十三条第一項)原則として置かれる
三歳から小学校就学の始期まで5つの措置のうち二以上を講ずる(第二十三条の三第一項)選ばれた措置によって変わる
小学校就学の始期以降第二十三条・第二十三条の三の対象ではない条文上の義務は無い

どの措置を選ぶかを決めるときの手続も、同じ条に置かれています。

事業主は、第一項の規定による措置を講じようとするときは、あらかじめ、当該事業所に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。

(育児介護休業法 第二十三条の三第四項)

措置を選ぶ前に過半数組合または過半数代表者の意見を聴くことが求められています。

育児短時間勤務の選択肢を知らせる面談=第23条の3第5項の意向確認

第二十三条の三には、三歳に満たない子を養育する労働者への知らせ方と意向確認の定めもあります。

事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、三歳に満たない子を養育する労働者に対して、当該労働者が第一項の規定により当該事業主が講じた措置(以下この項及び第七項において「対象措置」という。)のいずれを選択するか判断するために適切なものとして厚生労働省令で定める期間内に、対象措置その他の厚生労働省令で定める事項を知らせるとともに、対象措置に係る申出に係る当該労働者の意向を確認するための面談その他の厚生労働省令で定める措置を講じなければならない。

(育児介護休業法 第二十三条の三第五項)

条文が求めているのは、措置を知らせることと、申出に係る意向を確認するための面談その他の措置です。

どの期間に行うか、どの事項を知らせるかは、いずれも厚生労働省令に委ねられています。

知らせと意向確認の対象は三歳に満たない子を養育する労働者です。

事業主は、労働者が対象措置に係る申出をし、若しくは第一項の規定により当該労働者に措置が講じられたこと又は前項において準用する第二十一条第二項の規定により確認された意向の内容を理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

(育児介護休業法 第二十三条の三第七項)

確認された意向の内容を理由とする不利益な取扱いも、第七項で禁じられています。

育児短時間勤務と所定外労働・深夜業の制限の違い=第16条の8と第19条

時短と混ざりやすいのが、残業や深夜の働き方を制限する2つの制度です。

どちらも所定労働時間そのものを短くするものではありません。

事業主は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者であって、当該事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる労働者のうちこの項本文の規定による請求をできないものとして定められた労働者に該当しない労働者が当該子を養育するために請求した場合においては、所定労働時間を超えて労働させてはならない。

(育児介護休業法 第十六条の八第一項)

第十六条の八が禁じているのは「所定労働時間を超えて労働させ」ることで、所定労働時間を短くすることではありません。

こちらは所定の時間を超える分を止める制度として書かれています。

深夜の側は、第十九条が時刻で線を引いています。

事業主は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者であって次の各号のいずれにも該当しないものが当該子を養育するために請求した場合においては、午後十時から午前五時までの間(以下この条及び第二十条の二において「深夜」という。)において労働させてはならない。

(育児介護休業法 第十九条第一項)

制度条文条文が動かすものきっかけの言葉
育児のための所定労働時間の短縮措置第二十三条第一項所定労働時間そのもの労働者の申出
所定外労働の制限第十六条の八第一項所定労働時間を超える労働労働者の請求
深夜業の制限第十九条第一項午後十時から午前五時の労働労働者の請求

時短は「申出」、制限の2つは「請求」という言葉で書き分けられています。

また、制限の2つにはどちらも「事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない」というただし書が付いており、第二十三条第一項にはその言葉がありません。

第二十三条第一項の除外は書面による協定と省令だけで、事業の運営を理由に個別に断る言葉は置かれていません。

子の看護のために取れる休暇の日数は、子の看護休暇は何日取れるのかを育児介護休業法16条の2で確かめた記事で条文の数字を確かめています。↓

育児短時間勤務についての言動とハラスメント=第25条と施行規則76条

時短を申し出たことについて周囲から言われる、という相談もあります。

この点は第二十五条第一項が、会社に体制の整備を求めています。

事業主は、職場において行われるその雇用する労働者に対する育児休業、介護休業その他の子の養育又は家族の介護に関する厚生労働省令で定める制度又は措置の利用に関する言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

(育児介護休業法 第二十五条第一項)

「厚生労働省令で定める制度又は措置」の中身は、施行規則第七十六条に並んでいます。

法第二十三条第一項の育児のための所定労働時間の短縮措置

(育児介護休業法施行規則 第七十六条第八号)

法第二十三条第二項の規定による育児休業に関する制度に準ずる措置又は同項第一号の在宅勤務等の措置若しくは同項第二号の始業時刻変更等の措置

(育児介護休業法施行規則 第七十六条第九号)

第八号に法第二十三条第一項の育児のための所定労働時間の短縮措置が入っています。

つまり、時短の利用に関する言動で就業環境が害されることのないようにする義務が、条文の上で会社に置かれている形です。

事業主は、労働者が前項の相談を行ったこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

(育児介護休業法 第二十五条第二項)

相談したことや、相談への対応に協力して事実を述べたことを理由とする不利益な取扱いも、第二項が禁じています。

育児短時間勤務と転勤の配慮・努力義務の措置=第24条と第26条

第二十三条の義務とは別に、第二十四条は「講ずるように努めなければならない」という形の措置を並べています。

前項に定めるもののほか、事業主は、その雇用する労働者のうち、その三歳に満たない子を養育する労働者(第二十三条第二項に規定する労働者を除く。)で育児休業をしていないものに関して、在宅勤務等の措置に準じて、必要な措置を講ずるように努めなければならない。

(育児介護休業法 第二十四条第二項)

第二項は、三歳に満たない子を養育する労働者について在宅勤務等の措置に準ずる措置を求めるものです。

文末が「努めなければならない」なので、第二十三条第一項の「講じなければならない」とは強さが違います。

条文文末の言葉性質
第二十三条第一項講じなければならない義務として書かれている
第二十三条第二項講じなければならない義務として書かれている
第二十三条の三第一項講じなければならない義務として書かれている
第二十四条第一項・第二項講ずるように努めなければならない努力する形で書かれている
第二十六条配慮しなければならない配慮する形で書かれている

条文を読むときは文末の言葉の違いを見ておくと、会社に何を求められるかが分かります。

転勤で育児が難しくなる場合の定めは、第二十六条です。

事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない。

(育児介護休業法 第二十六条)

ここは「配慮しなければならない」で、転勤そのものを禁じる言葉ではありません。

育児短時間勤務についてよくある質問

育児短時間勤務は1日何時間まで短くできますか?

育児介護休業法施行規則第七十三条は、育児のための所定労働時間の短縮措置について「一日の所定労働時間を原則として六時間とする措置を含むものとしなければならない」と定めています。

六時間以外の選択肢を併せて置くことを禁じる言葉は、この条文にはありません。

子が何歳になるまで使えますか?

育児介護休業法第二十三条第一項の対象は「その三歳に満たない子を養育する労働者」です。

三歳から小学校就学の始期までは、第二十三条の三第一項が5つの措置のうち二以上を講ずるよう定めています。

もともと1日6時間で働いている人は対象になりますか?

育児介護休業法施行規則第七十二条は、第二十三条第一項本文の「一日の所定労働時間が短い労働者」を「一日の所定労働時間が六時間以下の労働者」と定めています。

この定めにより、1日の所定労働時間が六時間以下の人は第二十三条第一項の対象から外れます。

会社が「対象外」と言うことはできますか?

第二十三条第一項ただし書は、書面による協定で定められた労働者について、この限りでないとしています。

協定で除外できるのは、雇用された期間が一年に満たない労働者(第一号)、省令で一週間の所定労働日数が二日以下とされた労働者(第二号・施行規則第七十三条の二)、短縮措置を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者(第三号)です。

業務の性質で除外されたら何も無いのですか?

第二十三条第二項が、育児休業に関する制度に準ずる措置、在宅勤務等の措置、始業時刻変更等の措置のいずれかを講ずるよう定めています。

施行規則第七十四条は、その方法としてフレックスタイム制、始業・終業時刻の繰上げ繰下げ、保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与を挙げています。

申し出たことで評価を下げられることはありますか?

第二十三条の二は、申出をしたこと又は措置が講じられたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならないと定めています。

条文の言葉は「解雇その他不利益な取扱い」で、解雇だけに限られていません。

時短にすると残業の免除も付いてきますか?

所定外労働の制限は第十六条の八第一項、深夜業の制限は第十九条第一項に、それぞれ別の制度として置かれています。

どちらも労働者の請求が条件で、第二十三条第一項の申出とは別の手続です。

時短の利用について言われたときの根拠はどこですか?

第二十五条第一項が、制度又は措置の利用に関する言動により就業環境が害されることのないよう、相談に応じ適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講ずるよう定めています。

対象の制度は施行規則第七十六条に並び、第八号が法第二十三条第一項の育児のための所定労働時間の短縮措置です。

育児短時間勤務を条文で確かめた結果の一覧

条文で確かめたこと
  • 法律の条文の呼び名は「育児のための所定労働時間の短縮措置」(第二十三条第一項)
  • 対象は三歳に満たない子を養育し、育児休業をしていない労働者(第二十三条第一項)
  • 1日の線は「原則として六時間」(施行規則第七十三条)
  • もともと1日の所定労働時間が六時間以下の労働者は対象外(施行規則第七十二条)
  • 労使協定で除外できるのは3つの号の労働者だけ(第二十三条第一項ただし書)
  • 困難な業務で除外したときは別の措置が義務(第二十三条第二項・施行規則第七十四条)
  • 申出・措置を理由とする解雇その他不利益な取扱いは禁止(第二十三条の二)
  • 三歳から小学校就学の始期までは5つの措置のうち二以上(第二十三条の三第一項)
  • 利用に関する言動への体制整備は事業主の義務(第二十五条第一項・施行規則第七十六条第八号)

申出の前に見ておけるのは、就業規則に短縮後の所定労働時間がどう書かれているか、労使協定で除外の定めがあるかどうかの2点です。

個別の事情への当てはめは、都道府県労働局の雇用環境・均等部門か弁護士に相談する領域になります。


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出産前後の休業の週数は、産前産後休業は何週間取れるのかを労働基準法65条で確かめた記事で条文の数字を並べています。↓

家族の介護を理由にした休業については、介護休業は何日取れるのかを育児介護休業法11条で確かめた記事にまとめています。↓


参考文献

条文の確認日は2026年10月9日です。

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