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出向は拒否できるのか──労働契約法14条の「権利を濫用したもの」を条文で確かめた

出向は拒否できるのか──労働契約法14条の「権利を濫用したもの」を条文で確かめた
出向は拒否できるのか──労働契約法14条の「権利を濫用したもの」を条文で確かめた

会社から出向を命じられて、断れるものなのか迷ったことはありませんか。

異動の内示と違って、働く先の会社が変わるため、言われたとおりに応じるしかないのか気になるところです。

この記事は、出向について法律の条文が何を定めているのかを、労働契約法・労働基準法・職業安定法・労働者派遣法の言葉だけで確かめます。

結論から書きます。

条文には出向の命令を無効にする条件が置かれていて、それが労働契約法第十四条です。

条文の確認日は2026年10月8日です。

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出向という言葉が条文のどこにあるか=労働契約法第14条の見出し

最初に押さえておきたいのは、「出向」という言葉が法律の条文にそのまま置かれていることです。

労働契約法の第十四条には、「出向」という見出しが付いています。

使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。

(労働契約法 第十四条)

1つの条文の中に、出向を命じる場面と、その命令が無効になる場面の両方が入っています。

条文の形は「使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において」から始まります。

つまりこの条は、出向を命じられる根拠があることを前提にして、そのうえで命令が無効になる線を引いた条文です。

命じる根拠そのものを作る条文ではない、というのが第十四条の出発点です。

この条には第二項以降がなく、全体が1つの項でできています。

出向の命令が無効になる線=労働契約法14条の「権利を濫用したもの」

第十四条の後半が、出向を命じられた側にとって一番大事な部分です。

その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。

(労働契約法 第十四条)

条文の結論の言葉は「無効とする」で、「無効とすることができる」でも「取り消すことができる」でもありません。

出向の命令が権利の濫用と認められれば、その命令は条文の上で無効になります。

ここで「濫用」の対象になっているのは、使用者が出向を命ずる権利です。

同じ「権利を濫用したもの」という言い方は、労働契約法の第三条第五項にも置かれています。

労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。

(労働契約法 第三条第五項)

第三条第五項は労働者と使用者の双方に向けた原則としての濫用の禁止で、第十四条は出向の命令に絞った効果の条文です。

原則を定めた条と、無効という効果まで書いた条が、別に置かれている形になります。

出向を命じる権利の濫用を見るときの事情=14条が並べる3つの言葉

第十四条は、濫用かどうかを見るときに照らす事情を、条文の中に並べています。

当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして

(労働契約法 第十四条)

並んでいるのは「その必要性」「対象労働者の選定に係る事情」「その他の事情」の3つです。

条文の言葉何を見る言葉か根拠
その必要性出向を命ずること自体の必要性労働契約法第十四条
対象労働者の選定に係る事情誰を出向させるかの選び方労働契約法第十四条
その他の事情前の2つに限らない事情労働契約法第十四条
権利を濫用したものと認められる場合命令が無効になる場合労働契約法第十四条

3番目が「その他の事情」である以上、条文が見る事情は2つに閉じていません。

条文に書かれているのはこの並びまでで、どの事情をどう重く見るかの基準は第十四条の中にありません。

個別の当てはめは条文の外の話になるため、この記事では条文の言葉の範囲で止めます。

働く場所が変わる命令については、転勤は拒否できるのかを労働契約法と裁判例で確かめた記事で「限定する合意」と権利の濫用の順に並べています。↓

出向と懲戒の条文の形の比較=労働契約法15条の読み比べ

第十四条の形は、すぐ次の第十五条とよく似ています。

使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

(労働契約法 第十五条)

どちらも「使用者が◯◯することができる場合において」で始まり、「その権利を濫用したものとして」「無効とする」で終わる形です。

違うのは照らす事情として条文が並べている言葉です。

第十五条には「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」という言葉が入っています。

第十四条には、その言葉がありません。

条文対象条文が並べる事情効果
労働契約法第十四条出向の命令必要性・対象労働者の選定に係る事情・その他の事情無効とする
労働契約法第十五条懲戒労働者の行為の性質及び態様その他の事情無効とする
労働契約法第十六条解雇(客観的に合理的な理由・社会通念上の相当性)無効とする

3つの条が同じ「権利を濫用したもの」という言葉でそろえられているのが、条文を並べたときに見える形です。

懲戒のうち一番重い処分については、懲戒解雇はどこまで有効かを労働契約法15条・16条で確かめた記事で条文の並びを確かめています。↓

出向と解雇の条文の形の比較=労働契約法16条との違い

第十六条は、解雇について同じ言葉を使っています。

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

(労働契約法 第十六条)

第十六条の主語は「解雇」そのもので、「使用者が解雇することができる場合において」という前置きがありません。

出向の第十四条と懲戒の第十五条には、命じられる・できる場合という前置きが付いています。

前置きが付いている2つの条は、命じる根拠があることを前提にした条文という読み方になります。

根拠そのものがどこから来るのかは、第十四条の中には書かれていません。

だから出向の話は、根拠の有無と濫用の2段で読むことになります。

出向の前提にある労働契約の原則=労働契約法3条の5つの項

第十四条の前提を作っているのが、労働契約の原則を並べた第三条です。

労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。

(労働契約法 第三条第一項)

第一項は、労働契約を締結することと変更することの両方について「合意に基づいて」という言葉を置いています。

労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。

(労働契約法 第三条第四項)

第四項には「労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に」という言葉が入っています。

契約の内容を変えるときの条文は、第八条です。

労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

(労働契約法 第八条)

第八条も「その合意により」という言葉で、変更の根拠を合意に置いています。

条文条文の言葉出向の話で見る点
労働契約法第三条第一項対等の立場における合意に基づいて締結と変更の原則
労働契約法第三条第四項信義に従い誠実に、権利を行使し権利行使の仕方
労働契約法第三条第五項それを濫用することがあってはならない濫用の禁止そのもの
労働契約法第八条その合意により労働条件を変更する根拠
労働契約法第十四条その権利を濫用したものと認められる場合出向の命令が無効になる線

出向を命じる場面でも、条文は合意と信義誠実と濫用の禁止を先に並べています。

会社が一方的に労働条件を変える場面は、労働条件の不利益変更は同意なしにできるのかを労働契約法9条・10条で確かめた記事でまとめています。↓

出向を命じる根拠はどこに書かれているか=労働契約法7条と労働基準法89条

第十四条の「命ずることができる場合」は、どの書面から来るのかという話になります。

就業規則と労働契約の関係を定めているのが、労働契約法第七条です。

使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。

(労働契約法 第七条)

第七条には「合理的な労働条件が定められている」と「周知させていた場合」の2つの条件が置かれています。

ただし書は、就業規則と違う労働条件を合意していた部分を別扱いにしています。

ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

(労働契約法 第七条)

就業規則に何を書くかは、労働基準法第八十九条が決めています。

前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

(労働基準法 第八十九条第十号)

第十号は、その事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合の事項です。

出向の定めが就業規則にあるかどうかは、この条の並びの中で確かめる項目になります。

制裁の定めについては、同じ条の第九号が種類及び程度に関する事項を挙げています。

表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項

(労働基準法 第八十九条第九号)

出向と労働条件の明示=労働基準法15条と施行規則5条の「変更の範囲」

入社のときに示される労働条件にも、働く先に関わる事項が入っています。

使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。

(労働基準法 第十五条第一項)

明示しなければならない事項の中身は、施行規則第五条第一項に並んでいます。

就業の場所及び従事すべき業務に関する事項(就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲を含む。)

(労働基準法施行規則 第五条第一項第一の三号)

ここには「就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲を含む」という括弧が付いています。

書面で示す事項の範囲は、同じ条の第三項と第四項が決めています。

法第十五条第一項後段の厚生労働省令で定める事項は、第一項第一号から第四号までに掲げる事項(昇給に関する事項を除く。)とする。

(労働基準法施行規則 第五条第三項)

法第十五条第一項後段の厚生労働省令で定める方法は、労働者に対する前項に規定する事項が明らかとなる書面の交付とする。

(労働基準法施行規則 第五条第四項)

第三項が挙げる第一号から第四号までの中に、第一号の三が入っています。

就業の場所と業務の変更の範囲は書面で示す事項という並びです。

明示された労働条件が事実と違っていた場合の条文は、労働基準法第十五条第二項です。

前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。

(労働基準法 第十五条第二項)

書面出向の話で見る項目根拠
労働条件通知書就業の場所及び従事すべき業務(変更の範囲を含む)施行規則第五条第一項第一号の三
労働条件通知書上記は書面の交付で示す事項施行規則第五条第三項・第四項
就業規則労働者のすべてに適用される定め労働基準法第八十九条第十号
就業規則制裁の種類及び程度労働基準法第八十九条第九号
労働契約就業規則と異なる労働条件の合意労働契約法第七条ただし書

通知書に書かなければならない事項の全体は、労働条件通知書に何を書かなければならないかを労働基準法15条と施行規則5条で確かめた記事で全項目を並べています。↓

出向で会社が利益を受け取ること=労働基準法6条の中間搾取の排除

出向の話で条文を確かめておきたいのが、労働基準法第六条です。

何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。

(労働基準法 第六条)

見出しは「中間搾取の排除」で、主語は「何人も」です。

条文の言葉は業として他人の就業に介入して利益を得てはならない、という形です。

「法律に基いて許される場合の外」という例外が、条文の中に置かれています。

この条に違反した者への罰則は、第百十八条第一項にあります。

第六条、第五十六条、第六十三条又は第六十四条の二の規定に違反した者は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。

(労働基準法 第百十八条第一項)

第百十八条第一項には、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金という言葉が置かれています。

「業として」という言葉が入っているため、条文が対象にしているのは反復して行う形になります。

転職のあっせんで会社がお金を払う形については、転職エージェントの手数料は誰がいくら払うのかを職業安定法で確かめた記事で条文を確かめています。↓

在籍出向と労働者供給の線=職業安定法4条8項と44条

出向を条文で確かめるときに必ず出てくるのが、職業安定法の「労働者供給」です。

この法律において「労働者供給」とは、供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることをいい

(職業安定法 第四条第八項)

定義の言葉は「供給契約に基づいて」「他人の指揮命令を受けて労働に従事させる」の2つでできています。

同じ項の後半では、労働者派遣に該当するものを含まないと書き分けられています。

その労働者供給を事業として行うことを禁じているのが、第四十四条です。

何人も、次条に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。

(職業安定法 第四十四条)

禁じられているのは「労働者供給事業を行い」と「供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させ」の両方です。

例外は、同じ法律の第四十五条に置かれています。

労働組合等が、厚生労働大臣の許可を受けた場合は、無料の労働者供給事業を行うことができる。

(職業安定法 第四十五条)

条文が例外にしているのは、厚生労働大臣の許可を受けた労働組合等の無料の事業だけです。

請負契約の形をとっていても労働者供給の事業に当たる場合の線は、職業安定法施行規則第四条第二項が引いています。

労働者を提供しこれを他人の指揮命令を受けて労働に従事させる者

(職業安定法施行規則 第四条第二項)

作業の完成について事業主としての財政上及び法律上の全ての責任を負うものであること。

(職業安定法施行規則 第四条第二項第一号)

作業に従事する労働者を、指揮監督するものであること。

(職業安定法施行規則 第四条第二項第二号)

作業に従事する労働者に対し、使用者として法律に規定された全ての義務を負うものであること。

(職業安定法施行規則 第四条第二項第三号)

自ら提供する機械、設備、器材(業務上必要なる簡易な工具を除く。)若しくはその作業に必要な材料、資材を使用し又は企画若しくは専門的な技術若しくは専門的な経験を必要とする作業を行うものであつて、単に肉体的な労働力を提供するものでないこと。

(職業安定法施行規則 第四条第二項第四号)

第二項は、四号の全てに該当する場合を除いて労働者供給の事業を行う者とする、という書き方になっています。

前項の各号の全てに該当する場合(労働者派遣法第二条第三号に規定する労働者派遣事業を行う場合を除く。)であつても、それが法第四十四条の規定に違反することを免れるため故意に偽装されたものであつて、その事業の真の目的が労働力の供給にあるときは、法第四条第八項の規定による労働者供給の事業を行う者であることを免れることができない。

(職業安定法施行規則 第四条第三項)

条文条文の言葉何を定めた条文か
職業安定法第四条第八項供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させること労働者供給の定義
職業安定法第四十四条労働者供給事業を行い、又は……自らの指揮命令の下に労働させてはならない労働者供給事業の禁止
職業安定法第四十五条厚生労働大臣の許可を受けた場合は、無料の労働者供給事業を行うことができる禁止の例外
職業安定法施行規則第四条第二項次の各号の全てに該当する場合を除き請負契約の形をとる場合の線
職業安定法施行規則第四条第三項故意に偽装されたものであつて、その事業の真の目的が労働力の供給にあるとき偽装された場合の扱い

第四十四条に違反したときの罰則は、第六十四条の号の1つに置かれています。

第四十四条の規定に違反したとき。

(職業安定法 第六十四条第十号)

出向の形がどちらの線に乗るのかは、この定義と禁止と例外の3つの条文を順に当てることになります。

出向と労働者派遣の違い=労働者派遣法2条1号の定義

もう1つ条文で確かめておきたいのが、労働者派遣の定義です。

自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい

(労働者派遣法 第二条第一号)

定義の言葉には「自己の雇用する労働者を」と「当該雇用関係の下に」が入っています。

続く部分は、他人に雇用させることを約してするものを含まないという書き方です。

当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする。

(労働者派遣法 第二条第一号)

事業として行う場合の言葉は、同じ条の第三号にあります。

労働者派遣事業労働者派遣を業として行うことをいう。

(労働者派遣法 第二条第三号)

条文の用語条文に置かれた言葉根拠
労働者派遣自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて労働者派遣法第二条第一号
労働者派遣(含まないもの)当該他人に雇用させることを約してするもの労働者派遣法第二条第一号
労働者派遣事業労働者派遣を業として行うこと労働者派遣法第二条第三号
労働者供給供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させること職業安定法第四条第八項
労働者供給(含まないもの)労働者派遣法第二条第一号に規定する労働者派遣に該当するもの職業安定法第四条第八項

条文の上では、労働者派遣は労働者供給の定義から外されているという関係になります。

ここで触れたのは定義の条文だけで、派遣で働くときの手続は別の条文の話になります。

出向を拒否したときの懲戒=労働契約法15条と条文の2段の読み方

出向を断った場合に懲戒の話が出てくるときも、見る条文は決まっています。

懲戒が無効になる線は、先に見た労働契約法第十五条です。

客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

(労働契約法 第十五条)

出向の命令については第十四条、懲戒については第十五条という別の条文がそれぞれ無効の線を引いています。

制裁の種類及び程度が就業規則に書かれているかは、労働基準法第八十九条第九号の事項です。

強制労働を禁じている条文も、労働基準法の中にあります。

使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

(労働基準法 第五条)

第五条は「労働者の意思に反して労働を強制してはならない」という言葉です。

この条に違反した者への罰則は、労働基準法の中で最も重い第百十七条に置かれています。

第五条の規定に違反した者は、一年以上十年以下の拘禁刑又は二十万円以上三百万円以下の罰金に処する。

(労働基準法 第百十七条)

場面見る条文条文が置いている効果・罰則
出向の命令労働契約法第十四条権利を濫用したものと認められる場合は無効
出向を断ったあとの懲戒労働契約法第十五条権利を濫用したものとして無効
就業規則の制裁の定め労働基準法第八十九条第九号種類及び程度に関する事項の記載
強制労働労働基準法第五条第百十七条の罰則
中間搾取労働基準法第六条第百十八条第一項の罰則

出向についてよくある質問

出向は拒否できますか?

労働契約法第十四条は、出向の命令が必要性・対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は無効とすると定めています。

条文が置いているのは「無効とする」という効果で、どの事情をどう評価するかの基準は第十四条の中にありません。

出向を定めた条文はどれですか?

労働契約法第十四条で、見出しも「出向」です。

この条は1つの項でできています。

出向の命令が無効になるとどうなりますか?

労働契約法第十四条の言葉は「当該命令は、無効とする」です。

条文は「無効とすることができる」や「取り消すことができる」という書き方をしていません。

出向と懲戒の条文はどう違いますか?

労働契約法第十四条は出向の命令、第十五条は懲戒を対象にしています。

第十五条には「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」という言葉が入っており、第十四条にはその言葉がありません。

出向を命じる根拠はどこで確かめますか?

労働契約法第七条は、合理的な労働条件が定められている就業規則を周知させていた場合に、労働契約の内容がその就業規則で定める労働条件によるものとすると定めています。

就業規則の記載事項は労働基準法第八十九条に並んでおり、第十号が労働者のすべてに適用される定めです。

出向で働く場所が変わることは入社時に示されますか?

労働基準法施行規則第五条第一項第一号の三が挙げているのは、就業の場所及び従事すべき業務に関する事項で、括弧の中に「就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲を含む」という言葉が入っています。

同条第三項と第四項により、この事項は書面の交付で示す事項です。

出向で会社がお金を受け取ってよいのですか?

労働基準法第六条は、何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならないと定めています。

違反した者への罰則は第百十八条第一項で、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金です。

出向と労働者派遣は条文でどう違いますか?

労働者派遣法第二条第一号は、自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることを労働者派遣と定義しています。

職業安定法第四条第八項の労働者供給の定義は、この労働者派遣に該当するものを含まないものとされています。

出向を条文で確かめた結果の一覧

条文で確かめたこと
  • 「出向」は労働契約法第十四条の見出しに置かれた条文上の言葉
  • 出向の命令は「権利を濫用したものと認められる場合」に無効(第十四条)
  • 照らす事情は必要性・対象労働者の選定に係る事情・その他の事情の3つ
  • 懲戒は第十五条、解雇は第十六条が同じ「権利を濫用したもの」で無効の線を引く
  • 原則としての濫用の禁止は第三条第五項、変更の根拠は第八条の「その合意により」
  • 命じる根拠は就業規則と労働契約の側(労働契約法第七条・労働基準法第八十九条)
  • 就業の場所と業務の変更の範囲は書面で示す事項(施行規則第五条第一項第一号の三)
  • 業として他人の就業に介入して利益を得ることは労働基準法第六条が禁止
  • 労働者供給の定義は職業安定法第四条第八項、事業の禁止は第四十四条、例外は第四十五条
  • 労働者派遣の定義は労働者派遣法第二条第一号で、労働者供給の定義から外されている

出向の話が来たら、まず就業規則と労働条件通知書に出向と就業の場所の定めがあるかを見て、そのうえで第十四条の3つの事情に当てはめる順になります。

個別の事情への当てはめは、事業場を管轄する労働基準監督署か弁護士に相談する領域です。


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参考文献

この記事で使った一次資料

条文の確認日は2026年10月8日です。

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