
妊娠や出産を理由に不利益な扱いを受けることをマタハラと呼びます。
妊娠を報告したら退職をすすめられた、産休明けに違う部署へ回された、という話を聞いたことはありませんか。
ところが法律の条文を開くと、その4文字はどこにも出てきません。
この記事は、マタハラと呼ばれる扱いを禁じている条文がどれなのかを、男女雇用機会均等法・育児介護休業法・労働基準法の言葉だけで並べます。
先に結論を書くと、中心は男女雇用機会均等法9条の4つの項になります。
条文の確認日は2026年10月8日です。
マタハラという言葉は条文に0件──法律が使うのは別の言葉
最初に確かめたのは、「マタハラ」という語が条文に何回出てくるかです。
e-Gov法令検索が配信している法令XMLの全文を機械で数えました。
結果は、関係する5つの法令のすべてで0件でした。
| 数えた法令 | 「マタハラ」の語 | 「ハラスメント」の語 | 条文が使っている言葉 |
|---|---|---|---|
| 男女雇用機会均等法 | 0件 | 0件 | 不利益な取扱い/言動/就業環境 |
| 男女雇用機会均等法施行規則 | 0件 | 0件 | 妊娠又は出産に関する事由 |
| 育児介護休業法 | 0件 | 0件 | 不利益な取扱い/言動/就業環境 |
| 育児介護休業法施行規則 | 0件 | 0件 | 制度又は措置の利用 |
| 労働基準法 | 0件 | 0件 | 解雇してはならない/就業させてはならない |
数えた結果は「マタハラ」の語は0件で、カタカナの名前は条文の外にあります。
条文が置いているのは、「解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」という形の禁止です。
だから、どんな扱いが禁止されるのかを知りたいときに読む言葉は、「マタハラ」ではなく各条文の禁止の文になります。
名前が条文に無いという形は、パワハラやセクハラと同じ立て方です。
同じ数え方をパワハラでもやった結果は、パワハラの定義はどこに書いてあるのかを条文で確かめた記事に並べています。↓

マタハラを禁じる条文の中心=男女雇用機会均等法9条の見出し
マタハラと呼ばれる扱いを正面から禁じているのは、男女雇用機会均等法の第九条です。
この条には、条文そのものに見出しが付いています。
見出しは「婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等」です。
第九条は4つの項に分かれ、禁止の内容が項ごとに違います。
| 男女雇用機会均等法9条 | 禁止されていること | 主語 |
|---|---|---|
| 第一項 | 婚姻・妊娠・出産を退職理由として予定する定め | 事業主 |
| 第二項 | 婚姻したことを理由とする解雇 | 事業主 |
| 第三項 | 妊娠・出産その他省令で定める事由を理由とする解雇その他不利益な取扱い | 事業主 |
| 第四項 | 妊娠中・出産後1年を経過しない女性への解雇(無効とする) | (効力の定め) |
第一項から第三項までは事業主への禁止で、第四項だけが解雇の効力そのものを決めています。
以下、4つの項を1つずつ条文で確かめます。
マタハラの入口=均等法9条1項の「退職理由として予定する定め」
第一項が禁じているのは、個別の処分ではなく、あらかじめ置く「定め」です。
事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。
(男女雇用機会均等法 第九条第一項)
禁じられているのは退職理由として予定する定めをすることです。
「婚姻し、妊娠し、又は出産したこと」が並び、そのどれを退職の理由として先に決めておくことも、この項の言葉に当たります。
就業規則や労働契約に「結婚したら退職する」「妊娠が分かったら退職する」と書く形が、ここで止まる形です。
この項が見ているのは実際に辞めさせたかどうかより前の段階になります。
第一項には「解雇」という言葉がなく、対象は定めをすること自体です。
マタハラと結婚=均等法9条2項が禁じる婚姻を理由とする解雇
第二項は、婚姻だけを取り出して解雇を禁じています。
事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない。
(男女雇用機会均等法 第九条第二項)
ここで禁じられているのは婚姻したことを理由として、解雇することです。
主語は事業主で、理由は「婚姻したこと」に限られています。
妊娠と出産を理由とする扱いは、次の第三項が受け持つ形に分かれています。
| 項 | 対象の事由 | 禁止される行為 |
|---|---|---|
| 第一項 | 婚姻・妊娠・出産 | 退職理由として予定する定めをすること |
| 第二項 | 婚姻 | 解雇すること |
| 第三項 | 妊娠・出産ほか省令で定める事由 | 解雇その他不利益な取扱いをすること |
第二項の言葉は解雇だけに向いている点が、第三項と違うところです。
マタハラの本体=均等法9条3項の「解雇その他不利益な取扱い」
妊娠・出産や産前産後休業を理由とする扱いを禁じているのが、第三項です。
事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第六十五条第一項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第二項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
(男女雇用機会均等法 第九条第三項)
禁じられているのは解雇その他不利益な取扱いです。
理由として並んでいるのは、妊娠したこと、出産したこと、労働基準法第六十五条第一項の休業を請求したこと、同項または同条第二項の休業をしたこと、そして「その他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるもの」です。
第二項と違い、禁止の対象が解雇に限られず「その他不利益な取扱い」まで広がっています。
条文の言葉が解雇以外の扱いまで含んでいることが、この項の要点になります。
ただし、どの扱いが「不利益な取扱い」に当たるかの列挙は、第三項の中にはありません。
条文が列挙しているのは、理由になる事由のほうです。
マタハラの理由になる事由9つ=均等法施行規則2条の2
第三項の「厚生労働省令で定めるもの」は、男女雇用機会均等法施行規則の第二条の二に置かれています。
法第九条第三項の厚生労働省令で定める妊娠又は出産に関する事由は、次のとおりとする。
(男女雇用機会均等法施行規則 第二条の二)
各号は9つに分かれています。
妊娠したこと。
(男女雇用機会均等法施行規則 第二条の二第一号)
出産したこと。
(男女雇用機会均等法施行規則 第二条の二第二号)
法第十七条若しくは第十八条第一項の規定による措置を求め、又はこれらの規定による措置を受けたこと。
(男女雇用機会均等法施行規則 第二条の二第三号)
労働基準法第六十五条第一項の規定による休業を請求し、若しくは同項の規定による休業をしたこと又は同条第二項の規定により就業できず、若しくは同項の規定による休業をしたこと。
(男女雇用機会均等法施行規則 第二条の二第五号)
労働基準法第六十五条第三項の規定による請求をし、又は同項の規定により他の軽易な業務に転換したこと。
(男女雇用機会均等法施行規則 第二条の二第六号)
労働基準法第六十七条第一項の規定による請求をし、又は同条第二項の規定による育児時間を取得したこと。
(男女雇用機会均等法施行規則 第二条の二第八号)
妊娠又は出産に起因する症状により労務の提供ができないこと若しくはできなかつたこと又は労働能率が低下したこと。
(男女雇用機会均等法施行規則 第二条の二第九号)
| 施行規則2条の2第1項 | 理由になる事由 |
|---|---|
| 第一号 | 妊娠したこと |
| 第二号 | 出産したこと |
| 第三号 | 法第十七条・第十八条第一項の措置を求め、又は受けたこと |
| 第四号 | 労働基準法の危険有害業務・坑内業務に関する定めで業務に就けなかったこと等 |
| 第五号 | 労働基準法65条1項の休業を請求し、又は同条1項・2項の休業をしたこと |
| 第六号 | 労働基準法65条3項の請求をし、又は軽易な業務に転換したこと |
| 第七号 | 労働基準法66条1項の請求をし、法定労働時間を超えて労働しなかったこと等 |
| 第八号 | 労働基準法67条1項の請求をし、又は育児時間を取得したこと |
| 第九号 | 妊娠又は出産に起因する症状により労務の提供ができないこと・労働能率が低下したこと |
9つの号には請求をしたこと自体も理由として並んでいます。
第九号は、妊娠や出産に起因する症状で働けなかったことや、労働能率が低下したことを挙げています。
休んだ事実そのものではなく、その事実を理由とする扱いが第三項で止まる形です。
マタハラで一番強い条文=均等法9条4項の「解雇は、無効とする」
第四項は、禁止ではなく解雇の効力を決めています。
妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。
(男女雇用機会均等法 第九条第四項)
条文の言葉は解雇は、無効とするです。
対象は、妊娠中の女性労働者と、出産後一年を経過しない女性労働者です。
同じ項には、ただし書も置かれています。
ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない。
(男女雇用機会均等法 第九条第四項)
証明する相手として条文が書いているのは事業主です。
つまり、この期間の解雇について「第三項の事由を理由とする解雇でないこと」を示す側が、条文の上では事業主の側に置かれています。
期間と効力が条文の数字で切られている点が第四項の特徴になります。
| 均等法9条4項 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 対象(1) | 妊娠中の女性労働者 |
| 対象(2) | 出産後一年を経過しない女性労働者 |
| 効力 | なされた解雇は、無効とする |
| 例外 | 事業主が前項の事由を理由とする解雇でないことを証明したとき |
マタハラの言動そのものへの措置義務=均等法15条
第九条は不利益な取扱いを禁じる条文で、言動そのものには別の条文が置かれています。
それが第十五条です。
事業主は、職場において行われるその雇用する女性労働者に対する当該女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法第六十五条第一項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第二項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものに関する言動により当該女性労働者の就業環境が害されることのないよう、当該女性労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
(男女雇用機会均等法 第十五条第一項)
条文が求めているのは、相談に応じ適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置です。
対象の言動は、妊娠したこと・出産したこと・労働基準法65条の休業に関する事由などに関する言動です。
ここは禁止ではなく事業主が措置を講じる義務という形になっています。
第二項は、相談したことや事実を述べたことを理由とする扱いを禁じています。
事業主は、労働者が前項の相談を行つたこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
(男女雇用機会均等法 第十五条第二項)
相談した側が不利益を受けない形が、同じ条の中で用意されています。
国・事業主・労働者の責務は、次の第十六条に並んでいます。
国は、労働者の就業環境を害する前条第一項に規定する言動を行つてはならないことその他当該言動に起因する問題(以下この条において「妊娠・出産等関係言動問題」という。)に対する事業主その他国民一般の関心と理解を深めるため、広報活動、啓発活動その他の措置を講ずるように努めなければならない。
(男女雇用機会均等法 第十六条第一項)
第十六条第一項は、この問題を「妊娠・出産等関係言動問題」と呼んでいます。
マタハラと妊婦健診=均等法17条・18条の保健指導と健康管理
妊娠中と出産後の健康管理については、第十七条と第十八条が置かれています。
事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、その雇用する女性労働者が母子保健法(昭和四十年法律第百四十一号)の規定による保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間を確保することができるようにしなければならない。
(男女雇用機会均等法 第十七条)
母子保健法の保健指導または健康診査を受けるための時間を確保できるようにすることが、条文の求めです。
事業主は、その雇用する女性労働者が前条の保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするため、勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を講じなければならない。
(男女雇用機会均等法 第十八条第一項)
指導事項を守れるようにするため、勤務時間の変更や勤務の軽減等の措置を講じることが第十八条第一項の求めです。
この2つの条の措置を求めたことも、施行規則2条の2第三号で理由の列挙に入る点がつながっています。
健診の時間を求めたことを理由に不利益な取扱いをする扱いは、第九条第三項と施行規則第三号の組み合わせで止まる形です。
| 条文 | 求められていること |
|---|---|
| 均等法17条1項 | 保健指導・健康診査を受けるために必要な時間の確保 |
| 均等法18条1項 | 指導事項を守れるようにするための勤務時間の変更・勤務の軽減等 |
| 施行規則2条の2第3号 | 17条・18条1項の措置を求め、又は受けたことを9条3項の理由に含める |
マタハラと育休=育児介護休業法10条の不利益取扱いの禁止
育児休業を理由とする扱いは、育児介護休業法の第十条が受け持っています。
事業主は、労働者が育児休業申出等(育児休業申出及び出生時育児休業申出をいう。以下同じ。)をし、若しくは育児休業をしたこと又は第九条の五第二項の規定による申出若しくは同条第四項の同意をしなかったことその他の同条第二項から第五項までの規定に関する事由であって厚生労働省令で定めるものを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
(育児介護休業法 第十条)
禁止の形は均等法第九条第三項と同じで、「解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」です。
対象は女性労働者に限られず、条文の言葉は「労働者」です。
育休を理由とする扱いは男性も同じ条文で守られる並びになっています。
職場での言動については、第二十五条が措置義務を置いています。
事業主は、職場において行われるその雇用する労働者に対する育児休業、介護休業その他の子の養育又は家族の介護に関する厚生労働省令で定める制度又は措置の利用に関する言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
(育児介護休業法 第二十五条第一項)
対象の制度や措置の中身は、育児介護休業法施行規則の第七十六条に列挙されています。
法第二十五条第一項の厚生労働省令で定める育児休業、介護休業その他の子の養育又は家族の介護に関する制度又は措置は、次のとおりとする。
(育児介護休業法施行規則 第七十六条)
育児休業
(育児介護休業法施行規則 第七十六条第一号)
子の看護等休暇
(育児介護休業法施行規則 第七十六条第三号)
法第二十三条第一項の育児のための所定労働時間の短縮措置
(育児介護休業法施行規則 第七十六条第八号)
育児休業・子の看護等休暇・所定労働時間の短縮措置などが、号として並んでいます。
事業主は、労働者が前項の相談を行ったこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
(育児介護休業法 第二十五条第二項)
育休中のお金の話は条文の別の場所で、育児休業給付金はいくらもらえるのかを雇用保険法61条の7で確かめた記事にまとめています。↓

マタハラと産前産後=労働基準法19条と65条の2つの線
解雇できない期間を直接切っているのは、労働基準法第十九条です。
使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。
(労働基準法 第十九条第一項)
産前産後の女性が第六十五条で休業する期間と、その後三十日間が対象です。
第六十五条の期間そのものは、次の条文で決まっています。
使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
(労働基準法 第六十五条第一項)
使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。
ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。
(労働基準法 第六十五条第二項)
使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。
(労働基準法 第六十五条第三項)
均等法9条4項の「出産後一年」と、労基法19条の「休業期間+30日」は別の線です。
| 条文 | 切られている期間 | 効果 |
|---|---|---|
| 労働基準法19条1項 | 65条の休業期間とその後30日間 | 解雇してはならない(打切補償・天災事変等を除く) |
| 労働基準法65条1項 | 6週間(多胎妊娠は14週間)以内に出産する予定で請求した場合 | 就業させてはならない |
| 労働基準法65条2項 | 産後8週間(6週間経過後は医師の認めた業務に就けることは差し支えない) | 就業させてはならない |
| 男女雇用機会均等法9条4項 | 妊娠中と出産後1年を経過しない間 | なされた解雇は無効とする |
19条は解雇を禁じる条文で、均等法9条4項は解雇の効力を無効とする条文です。
どちらも産前産後に関わりますが、条文の作りが違います。
休業できる週数と出産手当金は、産前産後休業は何週間取れるのかを労働基準法65条で確かめた記事に並べています。↓

マタハラの相談先と行政が動く根拠=均等法21条・23条・35条・36条
社内の手続については、第二十一条が自主的解決を求めています。
事業主は、第六条、第七条、第九条、第十七条及び第十八条第一項に定める事項(労働者の募集及び採用に係るものを除く。)に関し、労働者から苦情の申出を受けたときは、苦情処理機関(事業主を代表する者及び当該事業場の労働者を代表する者を構成員とする当該事業場の労働者の苦情を処理するための機関をいう。)に対し当該苦情の処理を委ねる等その自主的な解決を図るように努めなければならない。
(男女雇用機会均等法 第二十一条)
第九条も、苦情の自主的解決を図る対象として名前が挙がっています。
社外では、都道府県労働局長の援助が第二十三条に置かれています。
都道府県労働局長は、前条に規定する紛争に関し、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができる。
(男女雇用機会均等法 第二十三条第一項)
事業主は、労働者が前項の援助を求めたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
(男女雇用機会均等法 第二十三条第二項)
援助を求めたことを理由とする不利益な取扱いも、第二項で禁じられています。
報告の徴収と勧告は、第三十五条第一項です。
厚生労働大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、事業主に対して、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。
(男女雇用機会均等法 第三十五条第一項)
勧告に従わなかった場合の公表は、第三十六条に置かれています。
厚生労働大臣は、第五条から第七条まで、第九条第一項から第三項まで、第十一条第一項及び第二項、第十三条第一項及び第二項、第十五条第一項及び第二項、第十七条、第十八条第一項、第二十三条第二項並びに第二十四条第二項の規定に違反している事業主に対し、前条第一項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかつたときは、その旨を公表することができる。
(男女雇用機会均等法 第三十六条)
第三十六条の列挙には、第九条第一項から第三項までが入っています。
報告をしない、または虚偽の報告をした場合の過料は、第三十九条です。
第三十五条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の過料に処する。
(男女雇用機会均等法 第三十九条)
条文の並びは社内の自主的解決→労働局長の援助→勧告→公表という順になっています。
労働基準法側の窓口の権限は、労働基準監督署への相談はどこまで動くのかを条文で確かめた記事で確かめています。↓

マタハラについてよくある質問
- 条文に「マタハラ」という言葉はありますか?
-
e-Gov法令検索が配信する法令XMLの全文を数えた結果は、男女雇用機会均等法・同施行規則・育児介護休業法・同施行規則・労働基準法のすべてで0件でした。
条文が使っているのは「解雇その他不利益な取扱い」「言動」「就業環境」という言葉です。
- 妊娠を理由に解雇されたら条文上どうなりますか?
-
男女雇用機会均等法9条4項は、妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は無効とすると定めています。
ただし書は、事業主が同条3項の事由を理由とする解雇でないことを証明したときはこの限りでないとしています。
- 「結婚したら退職」という社内の決まりは条文に反しますか?
-
男女雇用機会均等法9条1項は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならないと定めています。
この項が禁じているのは、個別の処分ではなく定めをすること自体です。
- 解雇ではない配置転換や減給も条文の対象ですか?
-
男女雇用機会均等法9条3項の言葉は「解雇その他不利益な取扱い」で、解雇に限られていません。
どの事由を理由とする扱いが対象になるかは、同法施行規則2条の2第1項の9つの号に列挙されています。
- 妊婦健診のために休んだことを理由にできますか?
-
均等法施行規則2条の2第1項3号は、法17条若しくは18条1項の規定による措置を求め、又はこれらの規定による措置を受けたことを理由に挙げています。
この事由を理由とする解雇その他不利益な取扱いは、9条3項が禁じています。
- 男性が育休を理由に不利益を受けた場合の条文はどれですか?
-
育児介護休業法10条が、育児休業申出等をし、若しくは育児休業をしたこと等を理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないと定めています。
条文の言葉は「労働者」で、性別による区別はありません。
- 会社に何かをさせる義務を定めた条文はありますか?
-
均等法15条1項は、妊娠や出産に関する言動により就業環境が害されることのないよう、相談に応じ適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならないと定めています。
育児介護休業法25条1項が、育児休業等の制度の利用に関する言動について同じ形の措置義務を置いています。
- 産前産後に解雇できない期間はどこに書かれていますか?
-
労働基準法19条1項が、産前産後の女性が65条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は解雇してはならないと定めています。
ただし書は、81条の打切補償を支払う場合と、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合を挙げています。
マタハラを条文で確かめた結果の一覧
- 「マタハラ」の語は、数えた5つの法令すべてで0件
- 中心は男女雇用機会均等法9条で、1項=退職理由として予定する定めの禁止
- 2項=婚姻したことを理由とする解雇の禁止
- 3項=妊娠・出産その他省令の事由を理由とする解雇その他不利益な取扱いの禁止
- 4項=妊娠中・出産後1年を経過しない女性への解雇は無効(事業主の証明があればこの限りでない)
- 3項の「省令で定めるもの」は施行規則2条の2第1項の9つの号
- 言動への措置義務は均等法15条、責務は16条、健康管理は17条・18条
- 育休を理由とする不利益取扱いの禁止は育児介護休業法10条、措置義務は25条
- 産前産後の解雇制限は労働基準法19条1項、休業の週数は65条
- 社内の自主的解決は均等法21条、労働局長の援助は23条、勧告は35条、公表は36条
自分の扱いがどの条文の言葉に当たるのかを見るときは、まず「何を理由とされたか」を施行規則2条の2の9つの号と照らす順番になります。
個別の事情への当てはめは、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)か弁護士に相談する領域です。
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家族の介護で休む制度も同じ法律の中にあり、介護休業は何日取れるのかを育児介護休業法11条で確かめた記事に並べています。↓

解雇そのものの線引きは、懲戒解雇はどこまで有効かを労働契約法15条・16条で確かめた記事で確かめています。↓

参考文献
- 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(e-Gov法令検索・デジタル庁)
- 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律施行規則(e-Gov法令検索・デジタル庁)
- 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(e-Gov法令検索・デジタル庁)
- 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則(e-Gov法令検索・デジタル庁)
- 労働基準法(e-Gov法令検索・デジタル庁)
条文の確認日は2026年10月8日です。

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