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海外赴任と年金|国民年金の任意加入を条文と日本年金機構の公表資料だけで確かめる

「海外赴任している間は、日本の年金は止まる」。

赴任の話が出ると、たいていこの言い方が付いてきます。

この記事は、その言い方が日本の法令と日本年金機構の公表資料の上でどこまで成り立つのかを確かめます。

体験談も、伝聞も、転職サイトのまとめも使いません。

使うのは、e-Gov法令検索で本文を開いた国民年金法の条文と、日本年金機構が公表しているページだけです。

先に結論を書きます。

海外に転出すると国民年金の強制加入からは外れますが、日本国籍があれば20歳以上65歳未満の間は任意加入でき、任意加入しなかった期間も受給資格期間には算入されます。

つまり、赴任で変わるのは「年金を受け取れるかどうか」ではなく「いくら受け取れるか」のほうです。

なお、この記事が軸にするのは国民年金の任意加入と、その先の受け取りです。

厚生年金に加入したまま赴任する場合の扱いや、社会保障協定による二重加入の防止は、別の記事の論点として扱います。

TOC

海外赴任で年金がどうなるかは、「国民年金の強制加入から外れる」ところから始まります

最初に、いちばん大事な1文を置きます。

日本年金機構が書いている出発点

海外に居住することになった方は、国民年金の強制加入被保険者ではなくなりますが、日本国籍の方であれば、国民年金に任意加入することができます。

(出典:国民年金の任意加入の手続き(日本の年金制度への継続加入)|日本年金機構)

この1文の中で、2つのことが同時に起きています。

1つ目は、国民年金の強制加入被保険者ではなくなることです。

2つ目は、日本国籍があれば任意加入できることです。

「止まる」のではなく、「自分で入るかどうかを選ぶ形に変わる」というのが、資料に沿った言い方です。

条文の側も同じ構造になっています

国民年金法第7条第1項第1号は、強制加入となる第1号被保険者を「日本国内に住所を有する二十歳以上六十歳未満の者」と書いています。

いっぽう、任意加入の側は同法の附則にあります。

日本国籍を有する者その他政令で定める者であつて、日本国内に住所を有しない二十歳以上六十五歳未満のもの

(出典:国民年金法 附則第五条第一項第三号(e-Gov法令検索))

強制加入の条文には「日本国内に住所を有する」と書かれ、任意加入の条文には「日本国内に住所を有しない」と書かれています。

⇒ 住所が国内にあるかどうかが、強制加入と任意加入を入れ替えるスイッチになっています。

⇒ 年齢の上限も、強制加入は60歳未満、任意加入は65歳未満で違います。

この記事が何を根拠にしているか

条文はe-Gov法令検索で本文を開いて確認したものだけを引用しています。

金額と手続きは、日本年金機構のページに書かれている内容だけを書いています。

海外赴任中に年金へ任意加入できるのは、日本国籍で20歳以上65歳未満の人です

入口の条件は、年齢と国籍と住所の3つだけです。

誰が入れるのか

日本年金機構は、任意加入できる人の一覧の中に次の区分を置いています。

外国に居住する日本人で、20歳以上65歳未満の方

(出典:任意加入制度|日本年金機構)

国内に住む人の任意加入は60歳以上65歳未満が中心の制度です。

これに対して、海外に住む日本人は20歳から入れます。

つまり、20代・30代で赴任した人も、その日から任意加入の対象になります。

上限については、生年月日による特例もあります。

また、昭和50年4月1日以前に生まれた方については、70歳までの間に年金を受けられる加入期間を満たすまで、特例的に任意に加入することができます。

(出典:海外に住んでいても国民年金に加入できますか。|日本年金機構)

どこで手続きするのか

窓口は、いつ手続きするかで変わります。

いつ手続きするか窓口
これから海外に転出するお住まいの市区町村窓口
すでに海外に居住していて、国内協力者がいる日本における最後の住所地を管轄する市区町村窓口
すでに海外に居住していて、国内協力者がいない(日本に住んだことがある)日本における最後の住所地を管轄する年金事務所
すでに海外に居住していて、国内協力者がいない(日本に住んだことがない)千代田年金事務所

出典は日本年金機構「国民年金の任意加入の手続き」です。

同じページは「国内協力者」を、国内にいる親族で、手続きや保険料の納付を代わりに行う方と説明しています。

⇒ 出発前に市区町村で済ませておくのが、いちばん窓口が近い形です。

提出する書類は「国民年金被保険者関係届書(申出書)」です。

保険料をどうやって納めるのか

納め方は2つあると書かれています。

1つ目は、国内にいる親族等の協力者が本人の代わりに納める方法です。

2つ目は、日本国内に開設している預貯金口座から引き落とす方法です。

どちらも「日本国内に残しておくもの」が前提になっている点が、赴任前に効いてきます。

なお、口座振替の扱いは国内居住者と海外居住者で違います。

任意加入については、「外国に居住する日本人で、20歳以上65歳未満の方」を除き、保険料の納付方法は、口座振替が原則となります。

(出典:任意加入制度 加入手続きの留意点|日本年金機構)

⇒ 海外に住む日本人は、口座振替を原則とするルールの対象から外れています。

任意加入すると使えなくなるもの

なお、国民年金に任意加入している方は、免除・納付猶予や学生納付特例の申請ができません。

(出典:国民年金の任意加入の手続き 2.保険料を納める方法|日本年金機構)

⇒ 任意加入は「入ったら全額納める」前提の制度だ、ということです。

入るタイミングにも縛りがあります。

国民年金法附則第5条第3項は、申出をした日に被保険者の資格を取得すると定めています。

⇒ 過去にさかのぼって任意加入することはできません。

抜けるときの条文も置いておきます。

同条第5項は、65歳に達したとき、厚生年金保険の被保険者の資格を取得したとき、本人の申出が受理されたとき、そして第27条各号の月数を合算した月数が480に達したときに資格を失うとしています。

海外に住む任意加入被保険者には、さらに次の規定があります。

保険料を滞納し、その後、保険料を納付することなく二年間が経過したとき。

(出典:国民年金法 附則第五条第八項第四号(e-Gov法令検索))

⇒ 納めないまま2年が過ぎると、任意加入者としての資格そのものが消えます。

海外赴任中に年金へ任意加入しなかった期間は、合算対象期間として受給資格期間に入ります

ここが、この記事でいちばん誤解されている論点です。

まず、受け取るのに必要な期間は10年

老齢基礎年金は、保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上ある場合に、65歳から受け取ることができます。

(出典:老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額|日本年金機構)

条文の側は国民年金法第26条です。

老齢基礎年金は、保険料納付済期間又は保険料免除期間(略)を有する者が六十五歳に達したときに、その者に支給する。ただし、その者の保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が十年に満たないときは、この限りでない。

(出典:国民年金法 第二十六条(e-Gov法令検索))

同じページは、この10年が平成29年8月1日から適用されていることも書いています。

それ以前は25年必要でした。

合算対象期間という受け皿がある

そこで、このような方も年金を受給できるよう、年金額には反映されませんが受給資格期間としてみなすことができる期間があり、この期間を「合算対象期間」といいます。

(出典:合算対象期間|日本年金機構)

そして、主な合算対象期間の1番目に挙がっているのが次の期間です。

日本人であって海外に居住していた期間のうち国民年金に任意加入しなかった期間

(出典:合算対象期間 主な合算対象期間 1.昭和61年4月1日以降の期間|日本年金機構)

同ページは、この区分に「20歳以上60歳未満の期間に限ります」という注記を付けています。

⇒ 赴任中に任意加入しなくても、その期間は10年の勘定には入ります。

⇒ ただし、年金額には1円も反映されません。

条文でも同じ設計になっています。

合算対象期間(附則第五条第一項第一号又は第三号に該当した期間(第二号被保険者又は第三号被保険者であつた期間、保険料納付済期間及び六十歳以上であつた期間を除く。)をいう。

(出典:国民年金法 附則第九条第一項(e-Gov法令検索))

ここで引かれている「附則第五条第一項第三号」は、この記事の前半で読んだ海外居住者の任意加入の号そのものです。

⇒ 「任意加入できたのに、しなかった期間」を、受給資格期間としてだけ拾い上げる、という条文の作りになっています。

入る場合と入らない場合を並べる

論点任意加入して納めた場合任意加入しなかった場合
受給資格期間(10年)への算入入る(保険料納付済期間)入る(合算対象期間)
老齢基礎年金の額への反映反映される反映されない
赴任中の障害基礎年金支給されるこの扱いは同ページに記載なし
赴任中の遺族基礎年金支給されるこの扱いは同ページに記載なし
保険料の負担ありなし

「支給される」と書いた2行の根拠は、次の記述です。

また、任意加入して保険料を納めることで、海外在住期間に死亡したときや病気やけがで障害が残ったときに遺族基礎年金や障害基礎年金が支給されます。

(出典:国民年金の任意加入の手続き 3.将来の年金|日本年金機構)

同じ箇所には、納めなかった場合の注意も書かれています。

(任意加入しても保険料を納めない場合には、年金額には反映されません。)

(出典:国民年金の任意加入の手続き 3.将来の年金|日本年金機構)

⇒ 手続きだけして納めない状態は、いちばん得るものが少ない形になります。

海外赴任中の年金は、いくら払っていくら増えるのかを数字で置きます

ここからは、公表されている額だけで計算します。

払う側の額

国民年金保険料の金額は、1カ月あたり17,920円です(令和8年度)。

(出典:国民年金保険料|日本年金機構)

同じページは、この保険料を納める人として「国民年金第1号被保険者や任意加入被保険者」を挙げています。

⇒ 海外で任意加入している人も、国内の第1号被保険者と同じ額です。

この記事に出てくる金額は、日本年金機構が公表している額をそのまま書いています。

保険料額にも年金額にも、税込・税抜といった書き分けは付いていません。

もらう側の額

老齢基礎年金の満額は、令和8年4月分から847,300円(年額)です。

これは昭和31年4月2日以後生まれの方の額で、昭和31年4月1日以前生まれの方は844,900円と書かれています。

計算式は、満額に「保険料納付月数などの合計」を掛けて、40年(加入可能年数)×12月で割る形です。

出典は日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」です。

この式を使うと、1月分の重みは年額でおよそ1,765円になります(847,300円÷480月)。

赴任の長さ別に並べる

任意加入した期間納める保険料の合計(令和8年度の額で計算)老齢基礎年金の年額に上乗せされる額(満額847,300円で計算)
12月(1年)215,040円約21,183円
24月(2年)430,080円約42,365円
36月(3年)645,120円約63,548円
48月(4年)860,160円約84,730円
60月(5年)1,075,200円約105,913円

この表は、公表されている2つの額を掛け算しただけのものです。

保険料の額も満額も毎年度改定されるので、実際の額は年度ごとに変わります。

⇒ 年額でいくら増えるかは、赴任の月数にほぼ比例します。

付加保険料という上乗せもあります

任意加入被保険者は、月額400円の付加保険料を納めることもできます。

付加年金額(年額)は、200円×付加保険料を納付した月数で計算し、2年以上受け取ると、納付した付加保険料以上の年金を受け取れます。

(出典:付加保険料の納付|日本年金機構)

同ページは、40年間納めた場合の例として200円×480月=96,000円を挙げ、847,300円と足して943,300円になると書いています。

ただし、付加保険料を納められるのは65歳未満の任意加入被保険者です。

⇒ 任意加入の手続きと同時に申し出るかどうかを決める項目、という位置づけになります。

海外赴任者の年金と「脱退一時金」は、そもそも対象が違います

ここは、検索すると混ざりやすいところです。

制度の1行目に国籍が書いてある

日本国籍を有しない方が、国民年金、厚生年金保険(共済組合等を含む)の被保険者(組合員等)資格を喪失して日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に脱退一時金を請求することができます。

(出典:脱退一時金の制度|日本年金機構)

条文の見出しも同じ書き方です。

(日本国籍を有しない者に対する脱退一時金の支給)

(出典:国民年金法 附則第九条の三の二(e-Gov法令検索))

支給要件の一覧でも、1番目が「日本国籍を有していない」です。

⇒ 日本国籍を持つ赴任者は、この制度の入口に立てません。

⇒ 「海外に出るから納めた分を返してもらう」という発想は、日本国籍の赴任者には当てはまりません。

それでも中身を知っておく意味はあります

外国籍の同僚や配偶者が日本を離れるときに関係するからです。

国民年金の脱退一時金の支給額は、次のように定められています。

保険料納付済期間等の月数支給額計算に用いる数支給額(令和8年度)
6月以上12月未満653,760円
12月以上18月未満12107,520円
24月以上30月未満24215,040円
36月以上42月未満36322,560円
48月以上54月未満48430,080円
60月以上60537,600円

表は日本年金機構「脱退一時金の制度」の、最後に保険料を納付した月が2026年(令和8年)4月から2027年(令和9年)3月の場合の一覧から抜き出したものです。

同ページは、2021年(令和3年)4月から計算に用いる月数の上限が36月から60月に引き上げられたと書いています。

なお、脱退一時金を受け取ると、その計算の基礎になった期間は被保険者でなかったものとみなされます。

この点は国民年金法附則第9条の3の2第4項に書かれています。

⇒ 受け取った分の期間は、あとで受給資格期間として使えなくなります。

海外赴任のまま年金を受け取るときは、請求・現況届・送金の3つで手続きします

受け取る段階になると、やることが3つに分かれます。

1つ目は請求です

老齢年金を受け取る権利(受給権)は、受給開始年齢に到達することで発生しますが、自動的に受け取りが始まるものではありません。

(出典:海外にお住まいの方の年金の請求|日本年金機構)

海外に住んでいる場合は、年金請求書に「外国居住年金受給権者 住所・受取金融機関 登録(変更)届」を添付します。

提出先は、日本における最終住所地を管轄する年金事務所または街角の年金相談センターです。

添付する戸籍や住民票は、受給権発生年月日以降で、かつ年金請求書の提出日から6カ月以内に交付されたものが必要と書かれています。

2つ目は現況届です

海外にお住まいの方が年金を受け取る場合は、年1回「現況届」の提出が必要です。

(出典:海外にお住まいの年金を受けている方が誕生月を迎えたとき|日本年金機構)

提出期限は誕生月の末日です。

日本国籍の方は、お住まいの国の日本領事館等が発行した在留証明を添付します。

添付する書類の証明日は、誕生月を含めて過去6カ月以内に証明を受けたものが有効と書かれています。

⇒ 国内に住んでいるときには要らない「生きていることの証明」が、毎年1回入ってきます。

3つ目は送金です

海外にお住まいの方でも日本国内の金融機関を年金の振込先として指定することができます。

(出典:年金を受けている方が海外に居住するとき|日本年金機構)

ただし、同じページには例外が1つ書かれています。

「ゆうちょ銀行」を振込先として指定することはできません。

(出典:年金を受けている方が海外に居住するとき 3.留意事項|日本年金機構)

海外の口座で受け取る場合は、通貨も自由には選べません。

海外の金融機関への年金の送金は、国ごとに送金通貨を指定しています。個々に希望する通貨を指定することはできません。

(出典:海外にお住まいの年金を受けている方が年金を受け取る金融機関を届出するとき|日本年金機構)

海外送金にはSWIFT(またはBIC)コードが必須で、欧州などIBAN採用国ではIBANも要ると書かれています。

届出の提出期限は、年金支払日の前々月末日です。

受取先を変えたあとの初回振込には、3週間から4週間かかる場合があると書かれています。

税金の扱いにも届出があります

受けている年金が老齢年金で、日本と滞在国が年金の受け取りに関する租税条約を締結しているときは、手続きによって所得税の免除を受けられると書かれています。

提出するのは「租税条約に関する届出書(様式9)」で、アメリカ合衆国に居住する場合はさらに付表と居住者証明書が要ります。

ただし、条約があっても適用にならない国・地域があるとも書かれています。

同ページはその例として、カナダ、タイ、スウェーデン、中国のマカオ、アメリカ合衆国のプエルトリコ、グアムなどを挙げています。

受け取り段階の手続きを表にする

やることいつ主な添付書類
年金請求書の提出受給開始年齢に到達した日(誕生日の前日)以降外国居住年金受給権者 住所・受取金融機関 登録(変更)届
現況届の提出年1回・誕生月の末日まで在留証明(日本国籍の場合)
受取金融機関の届出年金支払日の前々月末日まで口座証明・小切手帳のコピー・通帳のコピー等
租税条約の届出免除を受けたいとき租税条約に関する届出書(様式9)

海外赴任から帰国したときの年金の手続きは、強制加入への戻りです

帰りの手続きは、行きの裏返しです。

住民票を入れた時点で強制加入に戻ります

日本年金機構は、任意加入被保険者が帰国して日本国内に住所を有した場合、国民年金の強制加入被保険者になると書いています。

手続きは、転入した市区町村役場で行います。

短期の帰国にも注意書きが付いています。

一時帰国などで短期間だけ国内に住所を有した場合(住民票への登録)でも、その期間は強制加入被保険者となりますので、手続きが必要です。

(出典:国民年金の任意加入の手続き 4.帰国したときの手続き|日本年金機構)

⇒ 判定の軸は「住民票を入れたかどうか」で、滞在の長さではありません。

同ページは、付加保険料や口座振替を続けたい場合は、強制加入の手続きの際に再度申し出る必要があるとも書いています。

赴任中に記録を確かめる方法

「ねんきん定期便」の送付先は、原則、国内のご住所(ご家族の方等の住所)です。

(出典:海外にお住まいの方にお送りする「ねんきん定期便」|日本年金機構)

海外の住所へ送ってもらうには、専用ページからの申し込みが要ると書かれています。

申し込みからお手元に届くまで、おおむね3カ月程度の期間を要するとも書かれています。

「ねんきんネット」であれば、電子版のねんきん定期便を確認できます。

⇒ 赴任前に、記録をどこで見るかを決めておくと、帰国後の確認が楽になります。

海外赴任の年金で、日本年金機構のページに記載がない点

日本年金機構の公表ページに記載がない点をまとめます。

日本国籍を持つ赴任者が脱退一時金を請求できるという記述は、日本年金機構「脱退一時金の制度」のページにはありません。

同ページで「日本国籍」という語が出てくる箇所は3つあり、いずれも「有しない」「有していない」という書き方でした。

海外の金融機関へ送金するときの手数料の額は、受け取り関係の2ページのいずれにも記載が無い項目です。

海外赴任と年金についてよくある質問

海外赴任中は国民年金を払わなくていいのですか

海外に居住すると強制加入被保険者ではなくなるため、納付の義務は外れます。

そのうえで、日本国籍があれば任意加入できると日本年金機構は書いています(国民年金の任意加入の手続き)。

任意加入しないと年金を受け取れなくなりますか

任意加入しなかった海外居住期間は合算対象期間となり、年金額には反映されませんが受給資格期間としてはみなされます(合算対象期間)。

⇒ 10年の受給資格期間の勘定からは外れません。

海外赴任者も脱退一時金をもらえますか

脱退一時金の支給要件の1番目は「日本国籍を有していない」です(脱退一時金の制度)。

国民年金法の条文の見出しも「日本国籍を有しない者に対する脱退一時金の支給」です。

帰国後にさかのぼって任意加入できますか

国民年金法附則第5条第3項は、申出をした日に被保険者の資格を取得すると定めています(e-Gov法令検索)。

⇒ 過去の期間を後から任意加入で埋めることはできません。

海外の銀行口座で年金を受け取れますか

受け取れますが、SWIFT(BIC)コードを有する金融機関を指定するのが原則で、送金通貨は国ごとに指定されています(受取金融機関の届出)。

日本国内の口座も指定できますが、ゆうちょ銀行は指定できません。

65歳を過ぎても任意加入できますか

原則は65歳未満までです。

ただし、昭和50年4月1日以前に生まれた方については、70歳までの間に年金を受けられる加入期間を満たすまで特例的に任意加入できると書かれています(日本年金機構Q&A)。

まとめ:海外赴任の年金で変わるのは「受け取れるか」ではなく「いくらか」です

資料から言えることを3行にします。

  • 海外に転出すると国民年金の強制加入からは外れますが、日本国籍があれば20歳以上65歳未満の間は任意加入できます。
  • 任意加入しなかった海外居住期間は合算対象期間となり、受給資格期間の10年には入りますが年金額には反映されません。
  • 脱退一時金は日本国籍を有しない方に向けた制度で、日本国籍の赴任者は支給要件の1番目で外れます。

⇒ したがって、赴任が決まったときに決めるのは「入るか、入らないか」の1つです。

⇒ その判断材料は、月17,920円(令和8年度)を納めて、年額でおよそ1,765円ずつ将来の年金を積むかどうか、という比較になります。


この記事で使った一次資料

条文と金額の確認日は2026年9月12日です。

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