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外資系転職に年齢制限はあるのか。外資系 転職 年齢の扱いを法律の条文と公的統計で確かめます

「外資系は35歳を過ぎると難しい」。

転職を考えると、必ずこの話が出てきます。

この記事は、その話が日本の法律と公的統計の上でどこまで成り立つのかを確かめます。

体験談も、伝聞も、転職サイトのまとめも使いません。

使うのは、e-Gov法令検索に載っている条文と、厚生労働省が公表している資料と統計だけです。

先に結論を書きます。

日本国内で募集・採用を行う限り、外資系かどうかにかかわらず、求人に年齢制限を設けることは原則としてできません。

例外は省令で限定列挙されており、その数は6つです。

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外資系転職でも年齢で応募を断ることは、法律の側で原則として禁止されています

最初に、いちばん大事な条文を置きます。

根拠は労働施策総合推進法第9条

事業主は、労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められるときとして厚生労働省令で定めるときは、労働者の募集及び採用について、厚生労働省令で定めるところにより、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。

(出典:労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律 第九条)

条文に「外資系」という区分はありません。

主語は「事業主」です。

日本国内で労働者を募集し採用する事業主であれば、資本の出どころに関係なく同じ条文の下にいます。

義務化されたのは平成19年の法改正

厚生労働省は、この規定について「平成19年の法改正により義務化され」と説明しています。

さらに同じページで、次のように書いています。

年齢を理由に応募を断ることや、書類選考や面接において年齢を基準に採否を判断することも、法の規定に反します

(出典:募集・採用における年齢制限禁止について|厚生労働省)

⇒ 求人票に年齢を書かなくても、選考の中で年齢を基準にすれば同じ扱いになります。

この記事が何を根拠にしているか

先に、この記事の作り方を書いておきます。

条文はe-Gov法令検索で本文を開いて確認したものだけを引用しています。

統計の数字は、厚生労働省が公表しているPDFを開いて、そこに載っている値だけを書いています。

外資系転職の年齢制限が認められるのは、省令が挙げる6つの場合だけです

例外は事業主が自由に決められるものではありません。

労働施策総合推進法施行規則第1条の3が、限定して列挙しています。

施行規則の書き方

法第九条の厚生労働省令で定めるときは、次の各号に掲げるとき以外のときとする。

(出典:同法施行規則 第一条の三)

条文は「次の各号に掲げるとき以外のとき」という書き方です。

つまり、各号に当てはまらない募集は、すべて年齢にかかわりなく機会を与えなければならない、という構造になっています。

6つの例外を表にする

ハローワークインターネットサービスは、この各号を実務向けに整理して公開しています。

号認められる場合
1号定年年齢を上限として、当該上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
2号労働基準法等法令の規定により年齢制限が設けられている場合
3号イ長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を募集・採用する場合
3号ロ特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
3号ハ芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請がある場合
3号ニ60歳以上の高年齢者、就職氷河期世代又は特定の年齢層の雇用を促進する施策の対象となる者に限定して募集・採用する場合

出典はハローワークインターネットサービス「年齢制限該当事由について」です。

条文そのものは施行規則第1条の3で読めます。

転職者にとっていちばん効くのは3号イです

3号イには、条文の側で厳しい縛りが付いています。

施行規則の本文はこう書いています。

長期間の継続勤務による職務に必要な能力の開発及び向上を図ることを目的として、青少年その他特定の年齢を下回る労働者の募集及び採用を行うとき(期間の定めのない労働契約を締結することを目的とする場合に限り、かつ、当該労働者が職業に従事した経験があることを求人の条件としない場合であつて(略))

(出典:同法施行規則 第一条の三 第一項第三号イ)

読みどころは2つです。

1つ目は「期間の定めのない労働契約」に限られることです。

2つ目は「職業に従事した経験があることを求人の条件としない場合」に限られることです。

⇒ 経験を求める求人は、3号イを使えません。

⇒ 「実務経験5年以上・35歳まで」という求人は、この条文の組み合わせでは成り立ちません。

外資系転職の求人票に年齢欄がある場合、事業主には説明の義務がかかります

年齢制限が例外に当たる場合でも、そこで終わりではありません。

明示が求められる仕組み

施行規則第1条の3第2項は、次のように定めています。

事業主は、法第九条に基づいて行う労働者の募集及び採用に当たつては、事業主が当該募集及び採用に係る職務に適合する労働者を雇い入れ、かつ、労働者がその年齢にかかわりなく、その有する能力を有効に発揮することができる職業を選択することを容易にするため、当該募集及び採用に係る職務の内容、当該職務を遂行するために必要とされる労働者の適性、能力、経験、技能の程度その他の労働者が応募するに当たり求められる事項をできる限り明示するものとする。

(出典:同法施行規則 第一条の三 第二項)

つまり、年齢の代わりに職務の内容と必要な能力を書け、という構造です。

労働条件そのものの明示は職業安定法が定めています

求人の段階で何を書かなければならないかは、別の法律にあります。

職業安定法第5条の3は、職業紹介や労働者の募集にあたり、従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないと定めています(職業安定法 第五条の三)。

⇒ 年齢欄の有無より、業務の内容と必要な経験の欄のほうが法律上の根拠が厚い、という順番になります。

詳しい運用はQ&Aが公開されています

厚生労働省は、この義務化に関する質疑応答を公開しています。

具体的な求人表現の可否については労働者の募集及び採用における年齢制限禁止の義務化に係るQ&Aにまとまっています。

事業主向けのリーフレット「その募集・採用 年齢にこだわっていませんか?」も公表されています。

外資系転職の年齢の上限は、実は「その会社の定年」で決まっています

1号の例外を読み直すと、上限の正体が分かります。

1号は定年を上限にする例外です

1号が認めているのは「定年年齢を上限として、当該上限年齢未満の労働者を」募集する場合です。

では、定年そのものは何歳に置けるのでしょうか。

定年は60歳を下回れません

事業主がその雇用する労働者の定年(以下単に「定年」という。)の定めをする場合には、当該定年は、六十歳を下回ることができない。

(出典:高年齢者等の雇用の安定等に関する法律 第八条)

さらに、定年を65歳未満に定めている事業主には、65歳までの雇用確保措置が義務づけられています。

定年(六十五歳未満のものに限る。以下この条において同じ。)の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の六十五歳までの安定した雇用を確保するため、次の各号に掲げる措置(略)のいずれかを講じなければならない。

(出典:同法 第九条)

⇒ 1号の例外で置ける年齢の上限は、その会社の定年です。

⇒ 定年は60歳を下回れないので、1号を根拠に「35歳まで」とすることはできません。

⇒ 「35歳まで」という制限を出すなら、根拠は3号イしかなく、そのときは経験不問の無期雇用でなければなりません。

外資系転職で年齢が効いてくる本当の場所は、賃金カーブのほうです

法律の話は以上です。

ここからは、公的統計で確かめられる数字だけを置きます。

令和6年賃金構造基本統計調査の年齢階級別賃金

厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況から、一般労働者の年齢階級別賃金を引きます。

単位は千円で、6月分の所定内給与額です。

概況は「本概況に用いている『賃金』は、令和6年6月分として支払われた所定内給与額の平均をいう」と定義しています(出典:令和6年賃金構造基本統計調査 主な用語の定義)。

年齢階級男女計男女
年齢計330.4363.1275.3
20〜24歳232.5234.2230.6
25〜29歳267.2274.7258.1
30〜34歳299.5316.3271.6
35〜39歳328.7352.3284.3
40〜44歳351.4385.5288.4
45〜49歳372.7416.0298.0
50〜54歳380.4428.2295.4
55〜59歳392.0444.1294.0
60〜64歳317.7344.7259.9
65〜69歳275.5294.3234.0

数値は同調査「性別」の第2表から引用しています。

概況が書いている読み方

概況は、賃金カーブについて次のように書いています。

男女別に賃金カーブをみると、男性では、年齢階級が高くなるにつれて賃金も高く、55〜59歳で 444.1 千円(20〜24 歳の賃金を 100 とすると 189.6)と賃金がピークとなり、その後下降している。女性では、45〜49 歳の 298.0 千円(同 129.2)がピークとなっているが、男性に比べ賃金の上昇が緩やかとなっている。

(出典:令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況「性別」)

この数字を転職の判断にどう使うか

3つに分けます。

1つ目は、35〜39歳の男女計が328.7千円で、年齢計の330.4千円とほぼ並ぶことです。

つまり、統計上の平均に届くのは30代後半です。

2つ目は、ピークが男性で55〜59歳、女性で45〜49歳にあることです。

「35歳が上限」という話は、この賃金カーブとは一致しません。

3つ目は、この調査が外資系かどうかで分けていないことです。

⇒ 外資系だけの年齢別賃金を示した官公庁の統計は、今回の調査では見つけられませんでした。

注意点

この数字は「所定内給与額」です。

賞与や時間外手当は含みません。

年収に直すには、その会社の賞与の比重を別に確かめる必要があります。

外資系転職の年齢で、求人票のどこを読むかを手順にします

条文と統計から導ける読み方を、順番に並べます。

求人票を開いたら見る欄

見る欄何が分かるか
年齢の記載の有無と理由記載があるなら6つの例外のどれかに当たるはず
「経験不問」かどうか3号イは経験を条件にできない。経験必須なら3号イは使えない
雇用期間の定めの有無1号・3号イ・3号ロはいずれも無期雇用が前提
職務の内容の具体性施行規則第1条の3第2項が明示を求めている欄
賃金の欄職業安定法第5条の3が明示を求めている欄

記載が矛盾しているとき

「実務経験3年以上」と「35歳まで」が同時に書かれている求人は、3号イの条件と合いません。

その場合、応募前に理由を確認する余地があります。

厚生労働省は、年齢制限を設ける場合の考え方をQ&Aで公開しています(年齢制限禁止の義務化に係るQ&A)。

相談先

募集・採用の年齢制限に関する相談は、都道府県労働局とハローワークが窓口です。

例外事由の該当性についてはハローワークインターネットサービスの解説が最も具体的です。

外資系転職の年齢で、法令に定めがない点と公表されていない統計

条文に定めがない点と、官公庁が公表していない統計をまとめます。

外資系企業に限った年齢別の採用実績は、官公庁の統計として公表されていません。

外資系企業に限った年齢別賃金も、基幹統計には無い区分です。

年齢制限禁止に違反した場合の罰則規定は、労働施策総合推進法には置かれていません。

外資系転職の年齢についてよくある質問

求人票に「35歳まで」と書いてあるのは違法ですか

3号イの例外に当たる場合は認められます。

ただし3号イは、期間の定めのない労働契約であり、かつ職業に従事した経験を条件としない場合に限られます(施行規則第1条の3)。

経験を求めながら年齢の上限を置く求人は、この条件と合いません。

「若手歓迎」という表現なら問題ないのですか

厚生労働省は、年齢を理由に応募を断ることや、書類選考や面接で年齢を基準に採否を判断することも法の規定に反するとしています(募集・採用における年齢制限禁止について)。

表現ごとの可否についてはQ&Aに整理されています。

外資系だから日本の法律は適用されないのではありませんか

労働施策総合推進法第9条の主語は「事業主」です。

条文に資本構成による場合分けはありません(e-Gov法令検索)。

年齢の上限は最大で何歳まで置けますか

1号の例外は定年年齢を上限とするものです。

定年は60歳を下回ることができないと高年齢者雇用安定法第8条が定めています(e-Gov法令検索)。

40代でも統計上は賃金が上がるのですか

令和6年賃金構造基本統計調査では、男女計で40〜44歳が351.4千円、45〜49歳が372.7千円です。

いずれも年齢計の330.4千円を上回っています(第2表)。

まとめ:外資系転職の年齢は、求人票の年齢欄ではなく「経験欄と雇用期間の欄」で決まります

条文から言えることを3行にします。

  • 年齢にかかわりない均等な機会は、労働施策総合推進法第9条により事業主の義務です。
  • 例外は施行規則第1条の3が限定列挙する6つだけで、そのうち経験不問で使えるのは3号イです。
  • 上限を置ける根拠となる1号は定年が基準で、定年は60歳を下回れません。

⇒ したがって「35歳まで」という求人が成り立つのは、経験不問の無期雇用に限られます。

⇒ 経験を求める求人で年齢を気にする必要は、条文の側からは出てきません。


この記事で使った一次資料

条文と統計の確認日は2026年9月8日です。

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