「育休中は給料の67%が出る」。
転職の時期を子どもの予定に合わせて考えるとき、この数字を前提に計算している人は多いと思います。
この記事は、その67%がどの条文のどこに書かれていて、いつまで続くのかを確かめます。
体験談も、伝聞も、保険会社のまとめも使いません。
使うのは、e-Gov法令検索に載っている雇用保険法と育児介護休業法の条文だけです。
先に結論を書きます。
雇用保険法第六十一条の七第六項は、百分の五十を原則に置き、休業日数が通算180日に達するまでの間に限って百分の六十七としています。
67%は全期間の数字ではなく、180日までの数字です。
条文の確認日は2026年9月17日です。
育児休業給付金の67%は「180日まで」と条文に書かれています
検索されている問いの答えを先に置きます。
金額を決めているのは第六十一条の七第六項です。
百分の五十(当該育児休業(同一の子について二回以上の育児休業をした場合にあつては、初回の育児休業とする。)を開始した日から起算し当該育児休業給付金の支給に係る休業日数が通算して百八十日に達するまでの間に限り、百分の六十七)に相当する額
条文の書き方は、原則が先で、かっこの中が例外です。
| 期間 | 条文の割合 | 条文上の位置づけ |
|---|---|---|
| 休業開始から通算180日に達するまで | 百分の六十七 | かっこ書きの特則 |
| 181日目以降 | 百分の五十 | 本体の原則 |
原則は50%で、67%のほうが期間限定の上乗せです。
同じ第六項は、掛ける相手も決めています。
休業開始時賃金日額に、支給日数を乗じた額が土台になります。
支給日数は、第六項の各号がこう分けています。
- 終了月以外の支給単位期間=三十日
- 育児休業を終了した日の属する支給単位期間=開始日または休業開始応当日から終了した日までの日数
育児休業給付金をもらう条件は「2年間に12か月」です
支給の入口は第一項です。
みなし被保険者期間が通算して十二箇月以上であつたときに、支給単位期間について支給する。
数える期間の起点も同じ第一項にあります。
当該育児休業(当該子について二回以上の育児休業をした場合にあつては、初回の育児休業とする。以下この項及び第三項において同じ。)を開始した日前二年間
2回以上の育休を取った場合、数える起点は初回の育休の開始日です。
2回目の育休のたびに条件を数え直す形にはなっていません。
なお、この2年間は伸びることがあります。
疾病、負傷その他厚生労働省令で定める理由により引き続き三十日以上賃金の支払を受けることができなかつた被保険者については、当該理由により賃金の支払を受けることができなかつた日数を二年に加算した期間(その期間が四年を超えるときは、四年間)
そして、みなし被保険者期間そのものの定義は第三項です。
第一項の「みなし被保険者期間」は、育児休業を開始した日を被保険者でなくなつた日とみなして第十四条(第二項第三号を除く。)の規定を適用した場合に計算されることとなる被保険者期間に相当する期間とする。
育児休業給付金は1歳までが原則で、条文に延長の道が書かれています
対象になる子の年齢も第一項に置かれています。
その子が一歳に達した日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合に該当する場合にあつては、一歳六か月に満たない子(その子が一歳六か月に達した日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合に該当する場合にあつては、二歳に満たない子)
条文の形は、1歳が原則、そこから1歳6か月、さらに2歳という二段の延長です。
ただし、どういう場合に延長できるかは『厚生労働省令で定める場合』とされていて、法律の条文本体には書かれていません。
配偶者が育休を取っている場合の特則も、同じ条にあります。
被保険者の養育する子について、当該被保険者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。第六十一条の十第一項第三号及び第二項において同じ。)が当該子の一歳に達する日以前のいずれかの日において当該子を養育するための休業をしている場合における第一項の規定の適用については、同項中「その一歳」とあるのは、「その一歳二か月」とする。
1歳が1歳2か月に読み替えられる形です。
育児休業給付金は「支給単位期間」ごとに計算されます
給付は月給のようにまとまって出るのではなく、条文が定義した期間ごとに出ます。
この条において「支給単位期間」とは、育児休業をした期間を、当該育児休業を開始した日又は各月においてその日に応当し、かつ、当該育児休業をした期間内にある日(その日に応当する日がない月においては、その月の末日。以下この項及び次項において「休業開始応当日」という。)から各翌月の休業開始応当日の前日(当該育児休業を終了した日の属する月にあつては、当該育児休業を終了した日)までの各期間に区分した場合における当該区分による一の期間をいう。
区切りは暦月ではなく、休業を開始した日に応当する日です。
たとえば10日に休業を始めたなら、区切りは翌月の9日までになります。
最後の1区切りだけは、終了した日までの実日数で数えます。
育児休業給付金は、育休中に賃金が出ると減ります
休業中に会社から賃金が支払われる場合の扱いは第七項です。
当該賃金の額に当該支給単位期間における育児休業給付金の額を加えて得た額が休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の百分の八十に相当する額以上であるときは、休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の百分の八十に相当する額から当該賃金の額を減じて得た額を、当該支給単位期間における育児休業給付金の額とする。
読み取れるのは、合計の上限が80%だということです。
さらに、その先も同じ項に書かれています。
当該賃金の額が休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の百分の八十に相当する額以上であるときは、第一項の規定にかかわらず、当該賃金が支払われた支給単位期間については、育児休業給付金は、支給しない。
会社から80%以上の賃金が出ている支給単位期間は、給付金が支給されません。
| 会社から支払われた賃金 | 第7項が定める育児休業給付金の額 |
|---|---|
| 合計が80%未満におさまる | 第6項の計算どおり |
| 合計が80%以上になる | 80%相当額から賃金額を差し引いた額 |
| 賃金だけで80%以上 | 支給しない |
育児休業給付金は同じ子について3回目以降が支給されません
回数の制限も条文にあります。
被保険者が育児休業についてこの節の定めるところにより育児休業給付金の支給を受けたことがある場合において、当該被保険者が同一の子について三回以上の育児休業(厚生労働省令で定める場合に該当するものを除く。)をした場合における三回目以後の育児休業については、前項の規定にかかわらず、育児休業給付金は、支給しない。
『厚生労働省令で定める場合に該当するものを除く』という留保が付いている点は、読み飛ばさないほうが安全です。
なお、育休そのものの回数は、雇用保険法ではなく育児介護休業法の側にあります。
前項の規定にかかわらず、労働者は、その養育する子が一歳に達する日(以下「一歳到達日」という。)までの期間(当該子を養育していない期間を除く。)内に二回の育児休業(第七項に規定する育児休業申出によりする育児休業を除く。)をした場合には、当該子については、厚生労働省令で定める特別の事情がある場合を除き、前項の規定による申出をすることができない。
給付の回数と、休業を申し出られる回数は、別の法律が別に決めています。
育児休業給付金と出生時育児休業給付金は別の条文です
子の出生直後に取る休業には、別の給付が用意されています。
その子の出生の日から起算して八週間を経過する日の翌日まで
同じ条文は、休業の長さも区切っています。
の期間内に四週間以内の期間を定めて当該子を養育するための休業
日数の上限も第二項にあります。
同一の子について当該被保険者がした出生時育児休業ごとに、当該出生時育児休業を開始した日から当該出生時育児休業を終了した日までの日数を合算して得た日数が二十八日に達した日後の出生時育児休業
28日という数字は、第六十一条の八の側にあります。
第六十一条の七の育児休業給付金とは、条文も要件も別です。
育児休業給付金の前提になる育児休業の申出は、育児介護休業法が定めています
給付の条文を読む前に、休業そのものの根拠を確かめておきます。
労働者は、その養育する一歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業
有期契約で働いている場合の条件も、同じ項のただし書にあります。
期間を定めて雇用される者にあっては、その養育する子が一歳六か月に達する日までに、その労働契約
転職して間もない時期にこの条文を見る人は、まずここで自分が対象かを確かめることになります。
休業を取れるかどうかが育児介護休業法、取ったときにいくら出るかが雇用保険法です。
育児休業給付金について、条文から確かめられなかったこと
この記事で扱ったのは条文に書いてあることだけです。
読んでも出てこなかったものを並べます。
- 1歳6か月・2歳への延長が認められる『厚生労働省令で定める場合』の中身
- 休業開始時賃金日額の上限額・下限額の具体的な金額
- 申請の書類と提出先の手順
- 給付金に税や社会保険料がどうかかるか
これらは雇用保険法と育児介護休業法の条文本体には書かれていません。
個別の事情に当てはめた判断は、住所地を管轄する公共職業安定所または社会保険労務士の領域です。
まとめ|育児休業給付金の67%は180日までの数字です
条文だけで確かめられたことを並べます。
- 金額の根拠は雇用保険法第六十一条の七第六項=原則は百分の五十、通算180日までは百分の六十七
- 土台は休業開始時賃金日額×支給日数(終了月以外は三十日)
- 入口は、初回の育休開始日前2年間にみなし被保険者期間が通算12か月以上
- 対象は1歳未満の子が原則で、省令の場合に1歳6か月・2歳まで延びる
- 配偶者が育休をしている場合は第八項で1歳2か月に読み替えられる
- 会社から賃金が出るときは第七項で合計80%が上限、賃金だけで80%以上なら支給しない
- 同じ子について3回目以降の育休は第二項で支給しない
- 出生直後の休業は第六十一条の八の出生時育児休業給付金で、28日の上限がある
『育休は67%』という覚え方は、条文のかっこ書きだけを見た言い方です。
休業を長く取る予定なら、181日目から原則の50%に戻ることを先に計算に入れておくことになります。
この記事で使った一次資料
条文の確認日は2026年9月17日です。

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