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源泉徴収票はいつもらえる?所得税法226条が切っている期限は「退職の日以後1か月以内」です

「源泉徴収票は、退職してから年末まで待たないともらえない」。

転職の手続きを進めていると、この説明をされることがあります。

この記事は、源泉徴収票がいつもらえるのかを、法律の条文と国税庁の公表資料だけで確かめます。

体験談も、伝聞も、転職サイトのまとめも使いません。

使うのは、e-Gov法令検索に載っている条文と、国税庁が自分のサイトに書いている文だけです。

先に結論を書きます。

年の途中で退職した人の源泉徴収票は、所得税法第226条により「その退職の日以後一月以内」に交付することが支払者の義務です。

年末まで待つ期限が条文に書かれているのは、退職していない人の分です。

確認日は2026年9月16日です。

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源泉徴収票がいつもらえるかは、所得税法第226条が2つの期限で切っています

最初に、いちばん大事な条文を置きます。

根拠は所得税法第226条第1項

居住者に対し国内において第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(略)の支払をする者は、財務省令で定めるところにより、その年において支払の確定した給与等について、その給与等の支払を受ける者の各人別に源泉徴収票二通を作成し、その年の翌年一月三十一日まで(年の中途において退職した居住者については、その退職の日以後一月以内)に、一通を税務署長に提出し、他の一通を給与等の支払を受ける者に交付しなければならない。

(出典:所得税法 第二百二十六条 第一項(源泉徴収票))

期限は、かっこの中と外で2つに分かれています。

かっこの外が「その年の翌年一月三十一日まで」です。

かっこの中が「年の中途において退職した居住者については、その退職の日以後一月以内」です。

⇒ 退職した人には、年末を待つという期限がそもそも適用されません。

この記事が何を根拠にしているか

条文はe-Gov法令検索の本文を開いて確認したものだけを引用しています。

行政の説明は、国税庁が自分のサイトに書いている文だけを引用しています。

退職した人が源泉徴収票をいつもらえるかを、国税庁の説明でも確かめます

条文の読み方が合っているかを、国税庁のページで突き合わせます。

給与所得の源泉徴収票は、上記の提出範囲に関わらず、また、源泉徴収票のみなし提出の特例により市区町村に給与支払報告書を提出した場合であっても、すべての受給者に対し、その年の翌年の1月31日まで(年の中途で退職した方の場合は、退職の日以後1か月以内)に交付しなければなりません。

(出典:No.7411 「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等|国税庁)

条文と同じ2つの期限が、そのまま書かれています。

読みどころは「すべての受給者に対し」という一言です。

税務署へ提出するかどうかには金額の線引きがありますが、本人への交付にはその線引きがありません。

⇒ 在籍が数か月でも、支払額が少なくても、交付の対象から外れる書き方にはなっていません。

どの源泉徴収票かいつまでに本人へ交付するか根拠
給与所得の源泉徴収票(在職中)その年の翌年1月31日まで所得税法第226条第1項
給与所得の源泉徴収票(年の途中で退職)その退職の日以後1月以内所得税法第226条第1項かっこ書き
退職所得の源泉徴収票(退職金)その退職の日以後1月以内所得税法第226条第2項
公的年金等の源泉徴収票その年の翌年1月31日まで所得税法第226条第3項

退職金の源泉徴収票をいつもらえるかも、同じ「退職の日以後一月以内」です

給与の分と退職金の分は、別の紙です。

居住者に対し国内において第三十条第一項(退職所得)に規定する退職手当等(略)の支払をする者は、財務省令で定めるところにより、その年において支払の確定した退職手当等について、その退職手当等の支払を受ける者の各人別に源泉徴収票二通を作成し、その退職の日以後一月以内に、一通を税務署長に提出し、他の一通を退職手当等の支払を受ける者に交付しなければならない。

(出典:所得税法 第二百二十六条 第二項)

第2項には、翌年1月31日という選択肢が書かれていません。

国税庁も、同じ期限を明記しています。

退職所得の源泉徴収票等は、退職後1か月以内にすべての受給者に交付しなければなりません。

(出典:No.7421 「退職所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等|国税庁)

⇒ 退職金が出た人は、1か月以内に2種類の源泉徴収票を受け取る立場になります。

同じページは、この紙が市区町村向けの特別徴収票を兼ねていることも説明しています。

「退職所得の源泉徴収票」は、受給者交付用と税務署提出用に加え、市区町村に提出するための「特別徴収票」を兼ねていることから、帳票の名称は「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」となっています

(出典:No.7421|国税庁)

⇒ 手元に届く紙の名前が「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」でも、同じものです。

源泉徴収票の中身が何行あるかは、所得税法施行規則が決めています

いつもらえるかは法律、何を書くかは省令、という分担になっています。

給与の分は所得税法施行規則第93条、退職金の分は第94条です。

どちらの条も、条文の見出しに「源泉徴収票」と入っています(所得税法施行規則)。

ここで押さえておきたいのは、税務署へ出す紙と本人がもらう紙で記載事項が違うことです。

国税庁は、その違いを一文で書いています。

ご注意ください。

(出典:No.7411|国税庁)

⇒ もらった源泉徴収票にマイナンバーが載っていなくても、不備ではありません。

源泉徴収票が紙でもらえるとは限らず、電子交付の条文があります

第226条には、交付の方法についての項があります。

第一項の給与等、第二項の退職手当等又は前項の公的年金等の支払をする者は、これらの規定による源泉徴収票の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払を受ける者の承諾を得て、当該源泉徴収票に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。ただし、当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払を受ける者の請求があるときは、当該源泉徴収票を当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払を受ける者に交付しなければならない。

(出典:所得税法 第二百二十六条 第四項)

読みどころは2つです。

1つ目は、電子で渡すには本人の「承諾」が要ることです。

2つ目は、本人が請求したときは紙で交付しなければならない、というただし書きがあることです。

国税庁も、同じ趣旨を書いています。

あらかじめ支払を受ける方の承諾を得る等一定の要件の下、書面による交付に代えて、給与所得の源泉徴収票に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができます。ただし、電磁的方法により提供した場合でも、受給者から請求があるときは、書面により交付しなければなりません。

(出典:No.7411|国税庁)

⇒ PDFしか出せないと言われても、紙を請求する根拠は条文の側にあります。

期限を過ぎても源泉徴収票をもらえないときの手続が用意されています

国税庁は、交付されない場合の届出を正式な手続として公開しています。

源泉徴収票が支払者から交付されない場合の手続です。

(出典:F5-4 源泉徴収票不交付の届出手続|国税庁)

いつから出せるのかも、同じページに書かれています。

源泉徴収票の交付期限を経過後、随時提出できます

(出典:F5-4 源泉徴収票不交付の届出手続|国税庁)

そのページが示している交付期限は「中途退職は退職後1月」「上記以外は翌年1月31日」の2つです。

⇒ 退職から1か月が過ぎた時点で、この届出はもう出せる状態になります。

出すときに添えるもの

同じページの「添付書類・部数」には、2つが挙げられています。

項目国税庁のページの記載
手続の名前F5-4 源泉徴収票不交付の届出手続
対象になる人源泉徴収票を交付されなかった受給者
提出できる時期源泉徴収票の交付期限を経過後、随時
添付書類給与支払明細書が保存されている場合はその写し/勤務先に対して源泉徴収票の交付を求めたことが分かる書類等
提出先納税地等を所轄する税務署長
手続根拠所得税法第226条

表の内容はF5-4 源泉徴収票不交付の届出手続の各欄から取っています。

⇒ 「交付を求めたことが分かる書類」が要るので、催促はメールなど記録の残る形にしておく意味があります。

なお、同じページは再発行がこの手続の対象外だと書いています。

既に交付された源泉徴収票の再発行については、この手続の対象外です。

(出典:F5-4 源泉徴収票不交付の届出手続|国税庁)

⇒ 無くした場合は、まず勤務先に再発行を頼む流れになります。

源泉徴収票が交付されないことには、罰則の条文があります

交付の義務には、罰則が用意されています。

所得税法第242条は、次の者を「一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する」と定めています。

第二百二十五条第二項に規定する通知書若しくは第二百二十六条第一項から第三項までに規定する源泉徴収票をこれらの書類の交付の期限までにこれらの規定に規定する支払を受ける者に交付せず、若しくはこれらの書類に偽りの記載をして当該支払を受ける者に交付した者

(出典:所得税法 第二百四十二条 第六号)

この号が名指ししているのは「交付の期限までに交付せず」です。

⇒ 期限そのものが罰則の要件に組み込まれている、という構造になっています。

同じ条の第八号は、電子交付を受けた人が紙を請求したのに拒んだ場合にも触れています(所得税法 第二百四十二条)。

源泉徴収票と給与明細は別物で、条文も別です

「明細は出したから」と言われることがあります。

支払明細書の根拠は、第226条ではなく第231条です。

居住者に対し国内において給与等、退職手当等又は公的年金等の支払をする者は、財務省令で定めるところにより、その給与等、退職手当等又は公的年金等の金額その他必要な事項を記載した支払明細書を、その支払を受ける者に交付しなければならない。

(出典:所得税法 第二百三十一条 第一項)

⇒ 給与明細をもらっていても、源泉徴収票の交付義務は別に残ります。

不交付の届出で給与支払明細書の写しを添えるのは、この2つが別の書類だからです。

退職金の源泉徴収票を、確定申告の前に見るべき理由

退職金の源泉徴収は、申告書を出したかどうかで計算が変わります。

国税庁は、提出を受けていない場合について次のように書いています。

退職手当等の支給額に20.42パーセントの税率を乗じて計算した所得税および復興特別所得税の額(1円未満の端数は切り捨てます。)を源泉徴収します。

(出典:No.2732 退職手当等に対する源泉徴収|国税庁)

同じページは、その場合の精算方法にも触れています。

この場合には、退職手当等の受給者本人が確定申告をして、「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けている場合と同様の計算を行い所得税および復興特別所得税の精算をすることになります。

(出典:No.2732 退職手当等に対する源泉徴収|国税庁)

⇒ 退職所得の源泉徴収票は、その精算をするときの手元資料になります。

⇒ だからこそ、条文が1か月という短い期限を切っている、と読むことができます。

源泉徴収票をいつもらえるかで、条文に定めがない点

条文に定めがない点と、公表されていない数字をまとめます。

「一月以内」の起算点を退職日の翌日とするか当日とするかを明示した条文はありません。

退職後どれくらいで実際に届いているかは、官公庁の統計として公表されていない数字です。

源泉徴収票の再発行に期限を設けた条文も、置かれていません。

第242条の罰則が源泉徴収票の不交付で実際に適用された件数も、公表資料には無い数字です。

源泉徴収票がいつもらえるかについてよくある質問

退職してすぐに源泉徴収票をくださいと言えますか

条文が定めているのは「その退職の日以後一月以内」という交付の期限です。

期限の中でいつ渡すかは、支払者の側の段取りになります(所得税法 第二百二十六条)。

「年末にまとめて出すから待って」と言われました

条文の「その年の翌年一月三十一日まで」は、年の中途で退職した人にはかっこ書きで除かれています。

国税庁も、退職した方の場合は退職の日以後1か月以内と書いています(No.7411)。

1か月を過ぎてももらえないときはどうしますか

国税庁が「源泉徴収票不交付の届出手続」を公開しています。

提出時期は交付期限を経過後、随時とされています(F5-4)。

紙ではなくPDFで渡されたのですが

第226条第4項のただし書きにより、請求があるときは源泉徴収票を交付しなければならないとされています。

国税庁も、請求があるときは書面により交付しなければならないと書いています(No.7411)。

退職金の分は別の紙で届くのですか

所得税法第226条は、第1項で給与等、第2項で退職手当等を別に定めています。

国税庁は、退職所得の分を退職後1か月以内にすべての受給者に交付しなければならないとしています(No.7421)。

この記事で確かめたこと:源泉徴収票がいつもらえるかは、退職したかどうかで変わります

条文と国税庁の資料から言えることを並べます。

  • 年の中途で退職した人の給与所得の源泉徴収票は、所得税法第226条第1項により「その退職の日以後一月以内」に交付する義務があります。
  • 退職していない人の分は「その年の翌年一月三十一日まで」です。
  • 退職金の源泉徴収票も、第226条第2項により「その退職の日以後一月以内」です。
  • 電子交付は本人の承諾が前提で、本人が請求したときは交付しなければならないとただし書きが定めています。
  • 期限を過ぎても交付されないときは、国税庁の「源泉徴収票不交付の届出手続」が用意されています。
  • 交付の期限までに交付しないことは、所得税法第242条第六号が罰則の対象として名指ししています。

確認日は2026年9月16日です。最新の内容は、各出典のページで確かめてください。

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